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中秋の名月
夜空に浮かぶスーパームーンを穏やかに眺める。
が、今年はいつもとは違い、えらく身近なものに感じる。
やはり、あの月に1200坪の自分の土地があると思うようになったからか?
昨年まで、月など見向きもしなかったのに、現金なものだ。
孫の海が学校で、南江のジイジは月の土地を買ったということから、えらく噂が広がっているという。
車庫は広いのに、中古の軽自動車しか置いてないのは仮りの姿だったのかとか、いつも家の庭でワインを飲みながら、優雅にハンモックで昼間から寝ているだとか、そもそも、まだあの若さでいつも家でぶらぶらしているのは、やはり何かおかしいと思われているらしい。
なんたって、月の土地を買ったんだから。
ん~、なんとも実に世間は恐ろしい。
広い車庫を作っても、何十年経っても、未だクラウンを買う資金は貯まっていないし、庭にハンモックなどありはしない。
身体が蚊に全く弱く、外に出ると直ぐに刺される。夏の冷房代を節約するつもりで、昼間は三千円の蚊帳を買って吊り下げ、麦茶を飲みながらその中で過ごすことは多い。
あの若さというが、確かに自分でいうのもおかしいが、いつも若く50代に見られる。既にリタイアしているとは決して思われない。当の中身は年以上にガタがきているのに。
実態と世間の噂はほとほと違っているのだ。
とはいえ、別に声をあげて訂正するつもりはないが、あまりにこれ以上おかしな噂をたてられると、
「月にかわってお仕置きよ!」
『とうとう、スーパームーンを通り越して、セーラームーンになったみたい。人間、普段持ってないものを持つとおかしくなるらしい・・・』