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続 殺し屋
この作品は続編です。まず「#11 殺し屋」をお読みいただいた後にお読みください。
一年ぶりになろうか。
以前、通っていたパン屋を久しぶりに覗いた。
勿論、黒のハットにサングラス。今日はトレンチコートに、黒の手袋までしている。
入口は以前のまま、ドアを開けるとチャイムがなる。
パンの種類や並べ方も変わっていない。
が、見慣れた店員も店長もいなかった。
ちょっと残念だったが、前と同じように美味しい食パンを手にする。
「いくら?」
「250円です」
「ほう、まだ同じ値段なんだ!」
とつい声が出た。
すると、初めて会ったその店員が覗き込むように、
「あの〜もしかして、殺し屋さんですか?」
と聞く。
「え〜!なんで知ってるの?」
驚いて聞き返す。
「前にいた子が、ここには、殺し屋が来るから気をつけてと言ってたんで」
「それで?」
「聞いていた格好がそっくりだったので、つい聞きました」
となぜか、眼を輝かせ、とても嬉しそうに話す。
まるで、前々から憧れの芸能人にでも会ったかのように。
とうとう、殺し屋も指名手配をされるようになったらしい。