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【映画】※ネタバレあり どうすればよかったか?を観て

日曜の有楽町で朝イチ観賞だったが、ほぼ満席。
監督の統合失調症の姉と、それを受け入れることが出来ない医学研究者の両親を含めた家族のドキュメント。
姉が病気にならなければ映画監督にならなかったのではと思うと、この映画を手放しで褒めるのは複雑な気持ちではあるが、今まで観た作品の中でもちょっと記憶にないくらい強烈だった。
決して病気と認めない両親。弟である監督がいくら再診を提示してもなまじ医学知識がある両親は却下してしまう。マコちゃん(姉)はたまに正常な時もあるし、頭も良いままだと頑なに認めない。
その間も姉は奇声を発したり意味不明の行動をしたりと、観ている我々からすれば病人にしか見えず、撮っている監督からすればやりきれなかっただろう。
やがて両親も老い母親自身も認知症を患い、発症から20数年でついに入院することになった姉は症状に合う薬が見つかり『たった3か月』で退院することになり、これにはさすがに絶句してしまった。
頑なに娘の病気を否定し家から出さずに過ぎた20数年は『気づけば』とは言えないあまりに長い年月である。
やがて母が亡くなり姉も肺がんで亡くなり、最後に監督が父親に撮り続けた家族を作品にすることを伝えながら、どうすればよかった?と聞くが父親はそれでも間違っていなかったと言う。
これを統合失調症の家族といった特殊なケースとはとても観れない。
親というのは子に対し、多かれ少なかれ支配的な存在である。
それは子の従ではなく、むしろ親の主かもしれない。
子供のことを一番わかっているは親であるという気持ちは、子供を叱るとき、進路を決めるとき、もしかすると着る服にさえ及ぶものかもしれない。
観る我々からすれば痛々しい家族だが、果たして姉は両親はどうだったのだろうか。
症状が穏やかになり父親や弟である監督を写ルンですで楽し気に撮る姉に
自分をここまで長く病人として放置させてたという恨み辛みの様子もなく、父親に至ってはそもそも最初から姉は病気ではないのである。

混雑していたとはいえ、終わってからも席を立たず黙考している人もおり
、観終わった人全てが問いかけられるタイトル。





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