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埃はシミになる!【袖丸事件簿①】

皆さん信じられますか?
埃ってシミ汚れの原因の一つなんですよ…
信じられないですよね

書いてる本人ですら衝撃なのですから、疑う方がいても何ら不思議ではありません。今日はいつもの和裁のお仕事とは少し違う、ものぐさ実体験の着物怖〜い話をお届けしたいと思います👻👻👻

⚠️縫製に携わる方も必読です!
⚠️私は和裁士として縫製のプロでありますが、染み抜きやお手入れのプロではありません。ここでは私の確信できた情報を記載していますが、不確かな情報も含まれている可能性が充分にあり得ます。その事実を踏まえた上で続きをご覧ください。


◯お古で手に入れた襦袢

最近手にしたお古の襦袢ですが、全体は綺麗なのに裾と両袖丸だけが酷く茶色に変色していました。

「ありゃりゃ?何か付けてしまったんだろうかしら?」初めはそんな風に呑気に頭の中では考えました。

裾汚れは分かる。疑問点は袖丸汚れが襦袢だということ。この部分は布が集中しているので、この厚みのある着物の袖丸を通過して、襦袢にまで影響するような大胆な汚れ事件が発生したのだろうか??だとしたらその他の場所にも影響しているはずだが………🕵️

まるで探偵になったかのようにこの襦袢の人生を思い巡ってみる。

想像するだけでは分からないから…


◯汚れの原因を探る🕵️

⬆️このシミから中を覗いてみよう!

分からないから、裏に返して様子を伺ってみました。すると…

内側の様子(縫い目を解く前)

おやおや??埃が集まってるぞ?
しかし茶変はわずかしか見当たらない。原因を探るために縫い目を解いてみることに

縫い目を解いていざ潜入!

ほぉーーーー。
表から見えていた茶変に沿って何やら小さなカスが出てきました。写真でも捉えられないようなほんの小さな塵のようなカスで、指で払うと見えない程の何かが散っていく。

まさかこんな小さな塵ゴミが悪さをしていたのか………懐疑心を隠せない。続いてもう一方の袖丸を見ることに

こちらはこの1箇所のみの確認しやすい汚れ

↓↓↓↓
この先閲覧注意です⚠️⚠️⚠️
※汚れのある画像なので気分を害す心配のある方はスルーしてくださいね。虫は出てきません。

うっひゃーーー
茶変に沿ってみごとに埃が溜まっています

探偵ものぐさは見た!
これは明らかにこの埃が原因でシミになったと確証できる証拠です🕵️

思わず写真の埃を払いのけてしまいたくなる衝動に駆られました。

縫い目を解いて内側を見たところ、こちらに塵は見当たらないが、シミは侵食しています。
埃のパワーってすごい。。。

念のため裾汚れも覗いてみることに。

裾汚れの表と裏面

裾の茶変には埃は溜まっておらず、シミ部分が硬くなっているため、原因は泥ハネなど何かしらの汚れが付いたのだろうと推察できる。


◯原因と対策

袖丸汚れには衝撃です。
埃パワーを舐めてはいけません。

埃の溜まり方と汚れ具合に左右差があったので、溜まる埃の種類にもよるのだと思いますが、埃や目に見えない程の小さな塵ゴミが着物を変色させる原因となることがこの襦袢で分かりました。

どうして袖丸に埃が溜まるのでしょうか?

和服に限らず洋服でも、静電気などの影響で隙間に埃が入り込み、洗濯を繰り返しても落ちきらない埃が内側から見つかることはしばしばあります。和服も同様に収納に向いた袖の形は「埃の収納場所」ともなり得るわけです。

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虫干しの様子
裏返しは必須!!

⚫︎対策をしよう

・年3回の虫干しシーズンでは和服を裏返して干し、丸みの埃だけでなく全体をチェックして収納する。
・静電気で埃が集まってきている可能性があるので、着用後は半日以上は干して埃を払ってから仕舞う。

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⚠️残念ながらこの事件簿には続きがあります。
②はこちらです↓↓

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「 和裁は我が国必須の英知の結晶。」
私は古より連綿と受け継がれてきた美しい着物を形にする技術【和裁】を慣用にする活動に力を入れています。

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菊瓢  kikuhisago
ものぐさ和裁師は着物と和裁の振興に貢献したいと考えています。美しい着物を未来に残していくためにサポートをどうぞよろしくお願いいたします。