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なぜ「鯨尺」を使い続けるの?

鯨尺くじらしゃくを使う和裁について、簡単に説明します。


◯鯨尺と尺貫法

鯨尺とは、和裁で使われる度量衡どりょうこうの単位で、尺貫法しゃっかんほうが使われています。
昭和9年の計量法によって、日本で使うことを制限されましたが、今でも、和裁を含む文化的な場面では使うことが認められています。

↑鯨尺の使い方を紹介しているよ!


◯計量法と例外

経済産業省「計量器に関する規制の例外」より抜粋

https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/11_gaiyou_tani5.html
経済産業省のQ&Aより抜粋
https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/51_qanda_tani.html

⬆️こちらの写真2枚の「計量法」の「尺」についての欄を分かりやすく解説すると
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昔使われていた「尺」や「寸」などの単位(例えば和裁の鯨尺)は、今の店や証明書で使うことはできません。さらに、その単位で測る道具も売ることができません。
でも、日常会話や文化的な場面では使っても問題はありません。
加えて、尺の目盛りがついた道具でも今のメートル法の単位も一緒に書いてあれば販売することができます。
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要するに、法律によって取引には使えなくなったけれど、文化的な場面や和裁のような伝統的な場面では今でも使って良い⭕️ということです。

 昭和9年(1934)6月で従来の尺貫法(尺・枡・秤・華氏温度計)が廃止となる旨の案内
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/233278

◯和裁に鯨尺が必要な理由

🍓キセを見込んだ寸法の使用

和裁において鯨尺が必要な理由は、キセを見込んだ寸法で印を付けるためです。
キセとは、縫い目が見えないように布を少し被せることで、縫い合わせ部分を美しく仕上げる技法です。通常、キセ量は5厘(約1.89㎜)が基本となっており、和服の美しさを引き出すために最適な量です。

メートル法では「キセ量2㎜」と表現されることもありますが、2㎜だと深すぎることや目盛りが細かすぎて測りづらいという問題があります。鯨尺を使用すれば、5厘を簡単に測ることができ、作業がスムーズに進み、仕上がりの美しさにもつながります。

このように、キセを見込んだ寸法のために、鯨尺は今でも実用的で欠かせない道具となっています。

鯨尺の目盛り

🍓鯨尺で理想寸法が明瞭

和服における紋の位置、特に前面の「抱き紋」においては絶妙なバランスで配置されています。これが少しズレると、見る人に下品な印象を与えかねません。

五ツ紋の振袖

五ツ紋を入れる際は、以下の寸法で配置されます

・抱き紋下がり…肩山より4寸(15.1㎝)
・背紋下がり…衿付けより1寸5分(5.7㎝)
・袖紋下がり…袖山より2寸(7.5㎝)

これらの寸法を鯨尺で測ると、区切りが良く覚えやすく、正確な位置決めがしやすくなります。


これからのことを考えると、鯨尺は和裁に欠かせない道具として、今日でも重要な役割を果たしていると言えます

世界との交流が進む中で、確かに「世界の中の日本」として円滑な関係を築く必要はありますが、日本のアイデンティティを失ってまでその交流を続ける理由はありません。

海外の国々が日本に求めているものは、まさにこのような独自の文化や伝統に根ざした価値です。
尺貫法や鯨尺に象徴されるように、日本の歴史と文化は世界に誇れるものであり、それが日本の強みでもあるのです。


▷「和裁って何だろう?」この疑問にスッキリと答えます⭕️「和裁」を10代の若い世代の子でも読めるようにまとめています。

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菊瓢  kikuhisago
ものぐさ和裁師は着物と和裁の振興に貢献したいと考えています。美しい着物を未来に残していくためにサポートをどうぞよろしくお願いいたします。