精神科医は嘘を見抜けるのか:精神科診療における患者申告の真偽と処方の適切性に関する考察

はじめに
精神疾患を抱える患者が診療の場で症状を隠す場合、医師はどの程度それを見抜けるのだろうか。特に統合失調症のような診断が既に下されている患者が、故意に症状を隠した場合、診断や処方に影響が出るのかについての興味が、この実験の動機である。本論では、ローゼンハンの実験(【社会実験】精神科医はなりすまし患者を見抜けるのか?【ゆっくり解説】【雑学】 - YouTube)から着想を得て、統合失調症患者が自身の症状を隠しつつ複数の精神科クリニックを訪れた結果を記録し、現行の精神科医療体制について考察する。


隠す症状:幻聴、部屋に一人しかいないのに声が聞こえる。悪口と幻聴の区別ができない。病院で統合失調症の診断済み。他の病院でそのことを伏せる。
実験期間:2013年~2024年
背景:メンタルクリニックを訪れる患者には、症状を正確に言葉で伝えられない人や、社会的な偏見を恐れて意図的に症状を隠す人がいる。こうした患者に対して、現在の診療方法がどの程度適切な薬を処方できているのかは、重要な課題である。特に、医師が患者の自己申告にどの程度依存しているかは、患者の治療結果に直結する可能性がある。
動機:ローゼンハンの実験「精神科医はなりすまし患者を見抜けるのか」を知り、逆に本当に病気の人がそのことを隠したら見抜けるのだろうかと考えた。
実験方法:録音をとり第三者(健常者)に確認をしてもらう。テキストと録音に不一致がないようにする。


Mクリニック
初診日:簡単な心理テストを受ける。点数が高く鬱病の可能性があると言われる。レクサプロ5mgを処方される。
2回目:医師「どうでしたか調子は」私「大丈夫です(嘘)」医師「では同じ薬を処方しますね」(3分診療)
3回目:以下同じ
4回目:引っ越しをするので紹介状を書いてくれるようにお願いする。

紹介状の内容「あいさつもなしに診察室に入ってきて唐突に~(嘘)と嘘の内容が書かれていた。精神科医が書いた紹介状は必ずチェックすることをお勧めします


H病院 医師S.T
初診日:なぜ引っ越してきたのかを聞かれ説明をすると「あー(笑)」と気持ちの悪い笑みを浮かべる。紹介状に書いてある内容が一部嘘であることを正直に伝えると医師の緊張がほぐれたように見えた。その後簡単な質問を受ける。「人が近づいてきたときに攻撃してくるように感じるか」など。私は質問にすべて「いいえ(嘘)」と答えた。カンのいい人だと思った。私がすべての質問に即答で「いいえ」と答えるので医師は笑った。レクサプロ10㎎を処方。
2回目:医師「調子はどうでしたか」私「大丈夫です(嘘)」医師「大丈夫ですね。」レクサプロ10㎎処方。
3回目:以下同じことの繰り返し


Tクリニック
初診日:医師「失礼ですが友達はいたことはありますか」と聞かれ発達障害を疑われる。
私「通販でレクサプロを買って飲んでいます。」医師「効いているようなので同じ薬を処方しますね。」
2回目:医師「どうでしたか調子は」私「大丈夫です(嘘)」医師「同じ薬を処方しますね」 レクサプロ10mgを処方。
3回目:以下同じことの繰り返し

Mクリニック H.M 前回とは違う医師
初診日:医師「今日はどうされましたか。」私「元気がでません。(嘘)」
医師「トリンテリックスを処方します」私「わかりました。」
2回目:医師「調子はどうでしたか」私「大丈夫です(嘘)」
医師(は?)というような顔をされる。医師「そうですか、じゃ」とだけ言われる。
3回目:統合失調症の診断書をみせる。医師「人生がたのしいと思ったことはありますか」と聞かれる。若干キレた様子だった。
トリンテリックス10mgとハロペリドール20mg×2を処方。その後、処方する量を間違えましたと薬局に連絡が入りハロペリドール0.75mgに修正。

結果:本当の症状(病気)を見抜けた人は4人中0人だった。
本実験から、現行の精神科医療は以下の課題を抱えていることがわかった。

  1. 患者申告への依存度が高い:症状を隠した場合でも、医師がその真偽を深く追求することは少なかった。

  2. 形式的な診療の多さ:短時間での診療が主流となり、患者の状態を正確に把握する余地が限られていた。

  3. 診療記録の信頼性:紹介状や診療内容に事実と異なる記載が含まれていたケースがあり、他院での診療に悪影響を及ぼす可能性があった。

今後の医療体制には、患者の申告を補完する客観的な診断方法の導入や、診療記録の透明性を高める仕組みが求められる。本実験が精神科医療の改善に寄与することを願う。


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