だって、ほら
街のはずれにある、1つ目立つ木の根元。
片耳の黒い猫が倒れていた。それを見つけた少年。
猫は「1口で良い、ミルクが欲しい」と。
少年はミルクを盗んだ。
盗んだところを店の子供に見られた。
子供は騒いだりせず「なぜそんなことをするのか」と聞いてきた。
少年は猫のことを説明したが、子供は理解に苦しむ顔をしていた。
少年は猫の居た場所まで子供を案内した。
人を案内するというのは初めてだった。
子供が私に付いてくるのは、妙な興奮と不安を感じさせる。
あの大きな木が広げる葉。茂みを抜けて、視界が開ける。
そこに猫はいなかった。
なんだかわかってたような気がした。