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山の生活
自分の住処は、北に八ヶ岳南に富士山そしてそれらを繋ぐように茅ヶ岳や甲斐駒ヶ岳南アルプスと名だたる山々に囲まれた標高800メートルに位置している。
田舎を持たない東京生まれ東京育ちの所謂江戸っ子の自分がこの地で生活を始めて20年が過ぎようとしている。東京では昼夜逆転の生活をしていたため引っ越した当初は周囲が闇に包まれても眠気は襲ってこず長い夜を過ごしていた。そして山の朝の凛とした空気も味わえずにいた。それがどうして、今は夜明け直前に鳴く鳥の声が目覚まし代わりになり夜は早々に店仕舞いとなる。
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山での生活は一日のリズムは太陽と共にあるが、一年のリズムは季節と共にある。春夏秋冬を周囲の山の動植物や庭の花やハーブで感じ取る事ができる。そして何より畑で野菜を育てることは一番そのリズムを肌で感じる事ができる。さらにちゃんと手をかけてやる事によりご褒美までもらえるなんて素晴らしい。
今この文章を書いている二月は、一年の中で一番寒さが厳しく日照時間も短くて辛く永い日々だが、それ故に太陽の暖かさをより貴重に感じながら刻一刻と春に向かっていると確信する事ができる季節だ。
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去年の秋までに大量にストックした薪のお陰でこの冬も家の中は薪ストーブの温もりに包まれている。台所からは妻が味噌の仕込みのために大量の大豆を茹でた甘い香りがしている。
春はもうそこまで来ている。