見出し画像

プルアップジャンパーの希少性

記 skills power plant ken393
最近のNBAのバスケットの中でも、ドリブルからのプルアップジャンパーをする選手が確実に減ってきていて、それは現代バスケットの流れからして、どんどん変わってるっていうのは明確にあります。
マイケルジョーダンの時代からジャンパーで育だった僕らとしては、寂しい気持ちもありました。

しかしその中でも今、そのプルアップジャンプを打てるNBA選手いうものの希少性、そういう選手がどれだけ貴重かと言うことが示されている文献を見ました。
NBAでシーズン1000本以上ミッドレンジからのプルアップジャンパーを決めている選手を上げたところ、デマー・デローザンとデビン・ブッカー、ケビン・デュラントとブランドン・イングラム、この4人しかいないそうです。

デマー・デローザン

名前を挙げられた選手で言うと、ものすごく超一流のトッププレイヤーのみがこのミッドレンジからのプルアップジャンパーをいまだ成功させ、NBAでの自らの存在価値を示していると言う結果となっています。

ここでアキレス腱断裂の大怪我を経験しているNBA選手を上げてみたいと思います。まず印象の第一にあげられる選手としては、コービー・ブライアント、そして今でも現役のスコアラーとしてナンバーワンを維持しているケビン・デュラント、この文献でも挙げられているデマー・デローザン、ジョン・ウォール、クレイ・トンプソン、ルディ・ゲイと言ったような、ものすごいスピードからストップ、そしてプルアップジャンパーに持ち込めるような超一流のスター選手がアキレス腱断裂の経験をしています。
ここにあげられた選手のほぼ全てが、NBAでトップクラスのミッドレンジシューターということも印象的に残る結果となっています。
そして何より、ここにあげられた選手は皆がトップスコアラーであり、何か1つの事だけに特化した選手ではない「オールラウンドダー」として、NBAのトップに君臨しているような選手たちだと言うことです。
1試合50点や60点、デビンブッカーにしては70点を超える得点記録を保持しています。
 その理由としては、スリーポイントシュートやゴール下の確率の高いシュートだけでは積み上げられない点数、そしてスリーポイントやゴール下、そしてレイアップを含めた確率の高いシュートをつなぐ中間のシュートとしての、ミッドレンジジャンパーをより確実に沈められる身体能力とシュート確率を得る選手たちだからこそだといえる。

ルディ・ゲイ

しかし、各選手がアキレス腱の断裂をした瞬間のプレイを検証してみると、ドライブからのストップジャンプショットの瞬間ではなく、やはりドライブを仕掛ける蹴り足、今で言うとこのネガティブステップを後ろに引いて、爆発的なドライブを仕掛けるその瞬間の断裂がほぼ大半を占めています…。
身体の中での最大の強度太さを誇るアキレス腱と言う筋は、そうめったに断裂するような筋ではありません。
ではなぜ、何が原因でアキレス腱断裂が起こるのでしょう。
よく聞く話としては、運動を何年もせずにトレーニングもしなくなった体の大人が、筋肉や筋なども硬化し、柔軟性を失っている状態で急に過度なスピードで走ったり、飛んだりといったような行動を行った時、柔軟性を失った筋や筋肉がゴムが切れたように断裂するケース。
もう一つ挙げられることとしては、過度なトレーニングを日々続ける選手たちが身を削り、筋肉や体の筋も徐々に痛み、再生が追いつかない状態のまま疲労負傷が蓄積し、筋や筋肉に亀裂が入ったような状態で、爆発的なスピードやドライブをしたときに切れてしまうようなケースがあります。
 その様な強固なアキレス腱が断裂するほどの、爆発的瞬発力を有するアスリートだけが背負うリスクとも言えます。

ケビン・デュラント

近年のスポーツ会全てにおける進化と言えることだとは思いますが、身体に過度な負荷負担をかけるような行動を避け、効率的かつ期待値の高いシュートや戦術を選べるような知識なども、進化と言う形でバスケットボール自体のレベルが上がってきています。
その中で育成年代などから身体に負担をかけるようなプレイではなく、怪我の少ない状態でプレイを長く維持できるような指導の方法や、プレイスタイルに年々進化していると感じています。

1980.90年代と近年の大きなバスケットでの変化は、ゴールデンステート・ウォリアーズのステファンカリーによるスリーポイントへの価値の爆発的な考え方の変化により、プルアップジャンパーやミッドレンジ、シュートの期待値を超えるスリーポイントの価値を見出したことが1つ大きなきっかけになっています。
進化したバスケットの中で磨かれているプレーとしては、コーナーのkickoutスリーポイントシュートや、ディープスリーと言ったようなスリーポイントラインから1メーター以上も離れて放つフリーで打てるようなスリーポイントシュート。
そしてその逆の、インサイドへドライブで破るようなプレイ。そのために様々なステップワークが進化して今のバスケットになっています。

そこで起きる現象としては、インサイドへのドライブには必ず「身体の接触」がつきものだと言うことです。ドライブ中ステップに入った後の身体の接触でディフェンスに責任があった場合には、それはフリースローとしてオフェンス側に有利に働きます。高確率と言うよりも期待値、そして効率的に得点が加算されるようなシステムにバスケットが進化しているといえます。
スリーポイントシュートがバスケットのシュートの期待値のトップに値するプレイであると証明されてから、育成年代の小学生等でのうちから長距離のシュートを放てるようなシュートフォームに、現在のバスケットが変化していると感じます。そしてその背景には直接的な影響として、その状距離から放たれるシュートのフォームでは、プルアップジャンパーやミッドレンジジャンパーのようなシュートと同じようなフォームで放つことができない…と言ったような障害が生まれます。
要するに2種類以上のシュートフォームを習得する必要性があるということです。
野球で例えてみれば、オーバースローの投手が、試合中に時折アンダースローで投げる様なものでしょうか。
これによりU15.U18の選手たちの中で、長距離のシュートは放てるものの、ミッドレンジのシュートの確率が格段に落ち、一流の身体能力を用いるオールラウンダーだけが使用できるようなスキルとして、プルアップジャンパーが希少性を増しています。
NBAの中でも身長の優劣は確実にあるものなので、長距離からのシュートであればあるほど、身長の低い選手が飛び込んで、リバウンドを取るオフェンスリバウンドの回数が増えることもシステム上解明されていますし、プルアップジャンパーなどの中距離シュートはfoulになりづらく、リバウンドがゴール付近に落ちるケースが多いので、身長の高いチームのリバウンドが増えるというのが懸念点でもあります。
技術やシステムの効率化、考え方の進化と共に「万人が行う事の出来る戦術やスキル」が増えているのが現状です。
ビッグマンのいない低身長のチームでも、スクリーンアウトで中を固められても、ゾーンDFをされても、身体能力が低くても…という、それでも勝利するための理論により、本当の武器となりえる必殺技としての技術は、万人には諦めざるをえないモノになりつつあります。

現代バスケットのディフェンスの考え方の中に、ドライブからのゴール下のレイアップや、スリーポイントを危険視するがあまり、ミッドレンジのdeep2ポイントなどのジャンプシュートをタフショットとして考え、選択肢として、中間距離のプルアップジャンパーなどはディフェンスとしては守らず打たせる傾向にあります。
現代多数の選手が身体能力が追いつかず、体幹が育っておらず、身体に大きく負担をかけるジャンプシュートを得意とはしていません。そもそも、出来ない選手のジャンパーこそ→タフショットである。
しかし、プルアップジャンパーが放てる、高確率で沈められるオールラウンドシューターの選手からしてみれば、体幹が強固であり、ジャンプ力があり、空中でのバランスをコントロールすることが容易にできるので、中間距離のミッドレンジジャンパーを行う際、その選手からすれば「ゴール下のジャンプショット」と変わらないような感覚で、ミッドレンジを放つことができるのである。
世界最高のバスケットリーグであるNBAの中でもシーズン中1000本以上、ブルアップジャンパーを沈めることができる選手が、たった4人と言うことの結果から言える事は、確率や期待値や効率の良い戦術を求めるバスケットに進化する結果、ジャンプシュートと言うミッドレンジの中間距離のシュートの「価値」が劇的に上がり、その他の技術と精査されるとともに、「誰にでも容易に使用することができる技術ではない」と言うことが明確に証明されてきていると感じる。

ken393

つまり、憧れの選手であるマイケルジョーダンの真似事で、なんとなくジャンプショットを使用することができると思い、中途半端なシュート真似てきたこれまでの選手たちのレベルから、本当にプルアップミッドレンジシュートを「武器」として高確率で決めていけるような選手にのみ本当に使用され、習得できるスキルとして「プルアップジャンパー」がスコアラーとしてのトップ技術としての地位を確立してきているのではないでしょうか。

いいなと思ったら応援しよう!