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河村🏀コミュ力発揮して、グリズリーズの一員に!

「恥ずかしがっている時間はない、そんなの関係ない」
 メンフィス・グリズリーズのロッカールームに入るなり、目の前に広がった光景は、河村勇輝がチームメートと無邪気に笑い合う姿だった。

「(英語は)良くなっていると思う反面、まだまだと感じることも多くて。なので、また一から文法をやり直そうと思って」と真面目に答える。だが、河村がエグジビット10契約で、グリズリーズのトレーニングキャンプに参加するために渡米したのは9月21日だ。


 それから2カ月も経たない間に2way契約を勝ち取り、故障者の多いグリズリーズで開幕戦からベンチ入り。この日、ロサンゼルス・レイカーズのホーム、クリプトドットコム・アリーナで行われた試合が12試合目で、河村は、もう何年もこのチームにいるかのようにコート上では見ることのない“素顔”を見せていた。

 今夏行われたパリオリンピックでは、フランス戦で29得点を挙げるなど、3試合で1試合平均20.3得点。平均得点ランキングでNBAのスター、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス、ギリシャ代表:4試合で25.8得点)、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(オクラホマシティ・サンダー、カナダ代表:4試合で21.0得点)に次ぐ3位に名を連ねた。平均7.7アシストも3位タイだった。

 だが、グリズリーズのキャンプに参加したときに自らのことを知っていた選手は「数人だけ」。「(みんな自分のことは)全然知りませんでした。数人だけ知ってくれていて。その話をしてないというのもあるんですけど。僕が「オリンピック出たよ!」みたいに言っているわけじゃないので(笑)」と茶目っ気を見せた河村。「ルーク(・ケナード)とかジョン・コンチャーも、2人とも知らなかった。サンティ(・アルダマ、スペイン代表としてパリオリンピックに出場)は知っていました」とロッカールームの角を隔てて向かいに座っていたアルダマを見ながら、微笑んだ。

 中には、河村のことを知っていたと話す機会がなかった選手もいたかも知れない。しかしながら、オリンピックでいくら活躍しようとも、NBAの競争は別物だ。身長172センチそこそこのアジア人選手が舐められる要素は十分にある。

 まずは、リスペクトを得ることから始まった河村の挑戦だった。しかし、それに時間を要することはなかった。

「アメリカは実力主義みたいなところがあるというのは聞いていましたし、とにかくプレーできるということを証明すれば受け入れてくれると思っていました。最初の数日の練習で、自分としてもある程度いいパフォーマンスができたのが、チームメートが受け入れてくれた要因なのかなと思う」。河村は続けた。「あと、英語は喋れませんでしたけど、とにかく喋りにいきまくったというか、それで信頼関係を少しでも…。恥ずかしがっている時間はない、そんなの関係ないと思いながら、初日から喋りに行っていました」。

 誰からも見える“外”だけでなく、関係者にしか見えない“中”でも見せたチームメートとの関係は、そういった河村の努力と、両手を広げて受け入れてくれたグリズリーズのチームメートから成るもの。「チームメートが本当に親切で環境がすごく良かった。僕は喋れないけど、喋れる雰囲気を作ってくれているチームメートには本当に感謝しかないです。英語を教えてくれたり、喋りかけてくるチームメートがいての今の僕がある」声を弾ませた。

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