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いま癌告知をした?(18)

いつの間にかそんな歳に

病院は自分より年上の医師が多かったはずなのに、いつの間にか年下の医師が多くなっていた。

大きな病院だと更に若い医師が多いのかな?と思いながら自分の年齢を再確認した。年々自分が何歳だったか直ぐ頭に浮かばなくなっていた。

いい歳だ。病気になるはずだね。もっと自分の身体と向き合わないといけなかった。

前の病院の紹介で大きな病院に来た。大きな病院で手術をするためだった。検査前と検査後の2回、診察室で主治医から話を聞いた。

外来診察だけでも患者さん多過ぎだし、外来診察以外にも手術やその前後のカンファレンスとか何やらやらなくていけない事がたくさんあって大変そう、と勝手な想像を膨らませていた。

癌告知?

診察室では、パソコンに目を通す医師の隣に座り、医師から血液検査とCT検査結果を聞いていた。その時に何度も電話が鳴った。

医師は鳴ってる電話には出なかった。気にしている素振りを見せつつ私に話し続けていた。しかし、突然「今、癌の告知をする大事な話の時だから!」と鳴り続ける電話の方を見て苛立ちを抑え切れない様子で言い放った。

医師の言葉を聞いた看護師さんが、慣れた感じで医師の代わりに電話に出て「今、患者さんと話しているので電話に出れません。」と言った。

看護師さんも大変だ。

医師は患者の気持ちを思ってのことだろう。

患者の反応は人それぞれ違うだろうし、病状も異なるし、神経を使うのだろうなあ、と医師の心情を察した。

人の生命に関わる大変な仕事だなぁ。

あれ?何か変??

医師は、患者に言うよりも先に電話に向かって癌告知していた。

何!?これ?

目の前でコントを観ているように思えた。

医師から手術をして検査をしないと癌と確定しない、と聞いていた。しかし、目の前で「癌告知」と医師が言った。

私は慌てて「疑いということですよね?」と聞いた。

やはり、開腹手術をして検査しないと癌かどうか解らないとのことだったが、腫瘍の形から何となく悪性であると予想はできるらしい。

この時は院内でコロナが流行っていた。この医師は私の手術前日に体調を崩し、急遽他の医師が執刀してくれた。

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