術後 (9)
病室へ
術後ICUではなく病室に行くことを知らされた。
急変のリスクが少ないのだろう、病室に戻れることが嬉しかった。
移動中、ベッドに横になり目を閉じていた。
頭は、まだぼんやりとしていたが、振動でエレベーターから降りたのがわかった。
暫くすると、「なんで先生1人で運んでいるのですか?」と誰かの声がした。
医師は「他の人は戻ってもらった。」と返事をしていた。
人が良いのだろう、術後で疲れているだろうに。
病棟の看護師さんも加わり、病室に着いた。
窓のカーテンがほんの少しだけ開いていて、もう直ぐ夕暮れ時なのがわかった。
境界悪性
医師が手術の結果を分かりやすく教えてくれた。
・子宮内膜症で臓器に癒着していた為、手術に時間が掛かったこと。
・臓器への癒着が激しく、手術前のCT検査でリンパ節が腫れていなかった為、リンパ節は取り除かなかったこと。
・術中の病理診断で境界悪性腫瘍だったこと。
・術中は簡易的な検査なので、術後の病理検査によっては今後、再手術か抗がん剤治療をするかもしれないこと。
・悪性だった場合でも臓器への癒着が激しかった為、再手術よりも抗がん剤治療になる可能性があること。
他にも説明してくれたかもしれないが、覚えていた事はこれくらい。
手術後のぼんやりとした頭で医師の話を理解しようとしていた。
悪性では無かった、とほっと胸を撫で下ろした。
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