いつかふたりで、歩きましょう。
わたしは、運動をしない。
私より運動しない人って、いるのだろうか。
そのくらい、しない。
人生において、スポーツ経験はほとんどない。
もちろん部活も、文化部ばかり。
体育は一番の苦手科目。
なわとび、鉄棒、跳び箱、マラソン。
どんな動きも、慣れていない。
体はかたく、体力はカスだ。
運動経験が少ないので、もはや運動音痴かどうかすら分からないレベルといえるだろう。
よくもまあ、そんなので小学校教諭をやっているなあと、自分でも思う。
教員採用試験のときは、実技の平泳ぎ、バスケ、跳び箱を死ぬほど練習した。
実際に子どもに教えるときは、若さと、映像資料と、得意な子を頼りに乗り越えてきた。
産前の若さはもう失ったので、復帰後の体育が不安である。
さて。
そんな運動から縁遠いわたしの、パートナーである夫はといえば。
やはり、どちらかといえば「動かないタイプ」といえるだろう。
しかし、彼はテニス部出身。
テレビで、野球を観るのが好きだし、休日は、10キロ以上のランニングをしたがる人だ。
私からすれば、テレビでスポーツ観戦する人と、空いた時間に走りたがる人は、もれなくみんな「運動好き」。
だから、夫もその部類に入れている。
忙しくて、なかなか継続が難しいようだが、ランニング習慣はわたしも応援したい。
なぜなら、子どもたちがいるからだ。
わたしのように、動かない人間を見て育てば、息子たちもきっと運動から縁遠くなる。
特に長男は動くのが嫌いで、すぐ抱っこをせがむショボ体力である。
せめて、夫が運動を楽しむ姿を見せてやりたい。
あわよくば、「俺も朝走ろうかな」とか言う中高生になってほしい。
いつか、息子二人と夫が地域のマラソン大会に出場したら、道端で3人に声援をおくるのが、わたしのひそかな夢である。
あれ?
じゃあ、わたしの運動は?
わたしは一生、運動しないつもりか?
‥正直、運動のハードルは高い。
今は、たまに行っているママのヨガ教室と、公園で遊ぶのが精一杯である。
しかし、この記事は珈琲次郎さんの企画に寄せて書いている。
テーマは「パートナーとの運動」。
ならば、わたしも我々夫婦の運動について書いておきたい。
というわけでここは、わたしが夫と取り組みたい、憧れの「夫婦の運動」を2つあげよう。
ひとつは、夫のランニングに合わせて、わたしがウォーキングをすることである。
ともに走るのは、たぶん無理だ。
わたしは1キロ走ると死ぬからだ。
ともに歩くのも、たぶん無理だ。
亀の如きわたしのスピードでは、夫の運動にならないからだ。
だが、同時に出発するくらいならできる。
「ほながんばろなー、じゃあねー」と手を振り合って、お互いのコースを出発する。
同じ頃に帰宅して、シャワーを浴び、一緒に一息つく。
こんな具合なら、楽しく継続できそうだ。
もうひとつは、山登り。
山登りというと、ものすごく大変そうに思えるが、どちらかというとハイキングのようなものをイメージしている。
開けた高原のような場所を歩いたり、低山を登ったりするようなことを、常々やってみたいと思っていた。
でも、程よい場所も知らず、無知なため準備の仕方も分からず、うだうだやってるうちに子連れになった。
子どもがもう少し大きくなったら、夫婦で山を歩いてみたい。
ただ、山歩きにはわたしの敵がいる。
虫だ。
山歩きには、虫がつきものだ。
わたしは、虫が苦手である。
わたし以上に虫が苦手な人は、いないのではないかと思うくらい嫌悪している。
こわいのだ、もうMUSIと書くのもイヤ。
これまた、よく教師やってるなと思う。
夫と並んで歩いても、虫に怯えては楽しめない。
何か方法を考えなければ。
夫との山歩きは、まだまだ先になりそうだ。
こんな調子で、夫婦で運動できる日は来るのだろうか。
正直、自信がない。
それでも、ここに書いておく。
将来私たちが「運動」を楽しむ日が来たときに、この記事を思い出して、「こんなんだった」と笑いあえたら気も晴れる。
まだ見ぬそんな遠い日に向けて。
とりあえずわたしは、人並みの体力を手に入れるところから始めなければな、と遠い目である。