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Photo by
yumenotamago
てるてる坊主のラブレター【毎週ショートショートnote】
「あめ、きらい」
同じ組のみおちゃんが言った。
暗い空を恨めしそうに見上げる。
外で遊べないもんね、とぼくが言うと、みおちゃんは首を振った。
「おひさまがすき」
「てるてる坊主の作り方教えて」
ぼくは、スマホをいじる姉に聞いた。
姉はダルそうな顔をしながら、ティッシュを丸めて、白い紙で包んだ。
輪ゴムで止めながら、ぼくに言う。
「なんで?あんた、雨好きじゃん」
ぼくは、姉を真似しながら言った。
「でもみおちゃんが、お日様見たいって」
すると姉はキョトンとして、「へー好きな子!」とニヤニヤした。
ぼくは無視して、てるてる坊主に顔を描く。
ニコニコ顔のてるてる坊主を、姉が「貸して」と横取りした。
赤いペンでハートを描く。
ぼくは、別にいいのに、と俯いた。
「これあげる」
次の日、てるてる坊主をみおちゃんにあげた。
みおちゃんは「ハートかわいい」と喜んだ。
これで、明日はおひさまが出るね。
ぼくが言うと、みおちゃんは笑った。
ぼくは、雨の方が好き。
でも、みおちゃんのおひさまみたいな笑顔は、もっと好き。
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【432字】
ひさしぶりに、参加します。
書く手が進みにくい時期、「甘口」のお題はありがたいです。
「ぼく」のイメージは、長男。