見出し画像

私の彼氏は考えすぎる


 私の名前は山下美月。私には、○○君という幼馴染みの彼氏がいるのだけど、その彼氏には、あらゆる物事を考えすぎちゃう癖が有ります。


ピンポーン

○母:はーい。

ガチャ🚪

○母:あ、おはよう。美月ちゃん。

美月:おはようございます。○君を迎えに来ました。

○母:そう。いつも悪いわねぇ。

美月:いえ。好きでやってますから。まだ寝てますか?

○母:起きてるわ。でも、今日は行きたくないって言っててね。

美月:行きたくない?それってもしかして?

○母:ええ。また見ちゃったみたいなの。

美月:・・・とりあえず、上がっても良いですか?

○母:もちろん。どうぞ。

美月:お邪魔します。


○○の部屋


コンコン🚪

美月:○君?おはよう。美月だけど・・・入るよ?

ガチャ🚪

美月:○君?

 部屋に入ると、○君は布団にくるまっていた。

美月:○君。おはよう。

 私が話しかけると、彼はそっと頭を覗かせた。

○○:・・・みっちゃん?

美月:うん。おはよう。

○○:おはよう・・・

美月:おばさんに聞いたよ。また見ちゃったんだって?

○○:うん・・・みんなが僕を見て笑ってるんだ・・・なんも出来ない無能だって!クラスみんなが僕を見て笑ってる。生徒だけじゃなく先生も・・・現実でもそうなっちゃうんだ。だから・・・学校なんて行きたくない。

美月:いつも言ってるじゃん。現実ではそんな事無いから。

○○:有るよ!みんなで僕を馬鹿にしてるんだ!きっとそうだ!

美月:○君。ギュッ

○○:・・・みっちゃん・・・

美月:大丈夫。何があっても、私はアナタのそばに居るから。ね?

○○:・・・うん・・・

美月:じゃあ、学校に行こ?

○○:・・・行かなきゃ駄目?

美月:一緒に行きたいなぁ。

○○:じゃあ・・・行く。

美月:☺️分かった。下で待ってるね。

○○:うん・・・


リビング


美月:おばさん。

○母:あ、美月ちゃん。どう?

美月:行くそうです。

○母:ホント?!良かったぁ~・・・ありがとね。

美月:いえ😊

数分後・・・

○○:おまたせ・・・

美月:あ、もう・・・ネクタイ、曲がってるよ。

○○:え?あ・・・

美月:ふふっ。はい。オッケー!

○○:ありがとう。

美月:いえいえ。

○母:ふふっ。なんか、夫の世話を焼く妻みたいね。

○○:な、何言ってんのさ/////

美月:そ、そうですよ/////

○母:ふふっ。ほら、いってらっしゃい。

美月:いってきます!

○○:・・・

美月:ほら○君。行くよ?

○○:・・・うん・・・いってきます・・・

○母:いってらっしゃい!


通学路


 私達は、手を繋いで学校に向かっていた。

美月:今日も良い天気だね。あ、ほら!あの雲、鳥みたいじゃない?

○○:・・・違うね。

美月:えぇ~?そうかな・・・

○○:・・・いつもゴメン。

美月:?どうしたの?

○○:・・・迷惑かけてゴメン。

美月:迷惑だなんて思ってないよ。何度も言ってるけど、私が好きでやってるんだよ。

○○:でも、僕が居なければ、もっと友達と青春を謳歌出来ただろうし・・・

美月:ふふっ。青春を謳歌って・・・彼氏と一緒に学校生活を送る。これも立派な青春だよ?それに、友達とも、ちゃんと楽しんでるよ。良い友達が居てくれるし。

?:美月、○○君。おはよう。

美月:あ、おはよう。史緒里、美波。

史緒里:今日もお熱いですね、お二人さん。

美波:そういうんじゃないでしょ。また見たんだね?

美月:うん。

 この二人も、○君の事情は理解している。

史緒里:で、なんの話してたの?

美月:青春を謳歌してるって話。

二人:?

○○:友達って、この二人?

美月:そうだよ!私の大事な親友じゃん!

史緒里:・・・よく分かんないけど、私からしても、美月も美波も大好きだよ!

美波:ふふっ。私も同じ気持ち。美月も史緒里も大好きだよ。

美月:ほらね?

○○:・・・うん。でも、僕って、友達居ないし。

二人:え?

○○:え?

史緒里:じゃあ、私達は・・・

美波:友達じゃないの?

○○:だって二人は、みっちゃんの友達でしょ?

史緒里:うん。だから・・・

美波:私達も○○君の友達だよ。

○○:・・・

美月:ふふっ。良かったね。

○○:・・・うん・・・


教室

🚪ガラガラ

三人:おはよう。

クラス:おはよう。

クラスの女子:おはよう伊藤君。

○○:あ、お、おは、よう・・・

クラスの女子:ふふっ。おはよう。

美月:ね?だれも笑ってないでしょ?

○○:うん・・・

美月:だからさ・・・

?:相も変わらず暗いなぁ・・・伊藤。

○○:・・・中村君・・・

中村:一人じゃ何も出来ないもんな、へっぽこ伊藤君?

○○:っ!・・・グスッ😢ダッ🏃💨

美月:あ、○君!

中村:・・・ダッせ・・・

美月:😒最っ低!ダッ🏃💨

中村:・・・な、なんだよ・・・事実を言ったまでだろ。

美波:ちょーっと良いかな?😊💢

中村:ひぃっ!

美波:いつも言ってるよね、中村君。○○君を傷付けたら、許さないって・・・

中村:お、落ち着けよ、梅澤。な?

美波:私は落ち着いてるよ?

中村:アハハハ😅助けて久保!

史緒里:同情の余地なし。安心しなさい。二人でみっちり、お仕置きしてあげるから😊💢

中村:アワワワワワワ😖

二人:覚悟!

中村:ぎゃあーーーーっ!

クラス:・・・自業自得。





美月:○君・・・屋上かな・・・


屋上

🚪ガチャ

美月:○君?居る?居たら返事して?

ガタッ

美月:・・・やっぱり此処にいた。

○○:・・・みっちゃん・・・ゴメン。

美月:・・・ううん。大丈夫?

○○:・・・ゴメン・・・ゴメン・・・

美月:気にしちゃ駄目だよ。私は、○君の良い所、ちゃんと分かってるから。

○○:みっちゃん・・・

美月:教室に戻ろう?

○○:・・・フリフリ

美月:○君・・・

○○:・・・

美月:分かった。気が向いたら、戻ってきてね。

 そう言って立ち上がった。でも・・・

ギュッ

美月:・・・○君?

○○:・・・行っちゃヤダ・・・一人に、しないで・・・

美月:・・・じゃあ、一緒に居るよ。

○○:ゴメン・・・無茶言って・・・嫌だよね。こんな彼氏でゴメン・・・ゴメンね😢

美月:もう・・・泣かないの。

○○:うっ・・・ヒグッ・・・グスッ

ギュッ

美月:大丈夫だから。

○○:うぅ~・・・ウワアアアアン😭

美月:○君・・・ギューーッ

○○:ウワアアアア😭


教室


中村:うぅ~・・・す"み"ま"せ"ん"!

美波:まったくもう・・・

史緒里:大丈夫かな・・・○○君・・・

美波:大丈夫だよ。美月が居るから。

史緒里:うん。

🚪ガラガラ

担任:おはよう。

クラス:おはようございます。

担任:ホームルーム始めるよ。あら?伊藤君と山下さんは、休み?

美波:二人とも、多分屋上です。

担任:・・・中村君。

中村:はい!

史緒里:もう復活してる。

中村:なんですか、先生。あ・・・もしかして、デートのお誘いですか?

担任:ふふっ。そうね。行きましょう?

中村:よっしゃー!何処に行く?

担任:彼処しか無いでしょ?

中村:え、何処だろ?もしかして、ホテル?

担任:密室よ。

中村:おぉ~ほっほ~!

美波:先生!本気で言ってるんですか?

担任:本気よ。じゃ、行きましょうか・・・

中村:はい!

担任:"生徒指導室"に。

中村:はい!は?

クラス:プッ😙

中村:え、え?嘘💦

担任:どうせまた伊藤君を傷つけることを言ったんでしょ。いつも言ってるでしょ?彼は考えすぎちゃうから、変な事を言わないようにって。へたをすれば、命に関わるのよ?そこんところ、ちゃんと考えなさい。

中村:はい・・・(心:くそっ・・・なんで俺が怒られなきゃいけないんだよ・・・伊藤○
○・・・山下も山下だ・・・なんで俺じゃなくて彼奴を・・・そうだ!ふっ😏良いこと思い付いた・・・ププププッ)

担任:じゃあ、放課後ね。

中村:はい。

担任:梅澤さん、久保さん。後で、様子見てきてくれる?

二人:分かりました。

担任:お願いします。じゃあ、改めて、ホームルームを始めます。

 ホームルームが終わり、二人は屋上に向かった。



美月:落ち着いた?

○○:うん・・・ゴメン・・・また迷惑、掛けちゃったね・・・

美月:気にしないでって言ったでしょ。

○○:・・・

🚪ガチャ

美月:?

美波:やっぱり居た。

美月:美波・・・

史緒里:大丈夫?

美月:史緒里・・・うん。取り敢えずね。

史緒里:そっか・・・

○○:・・・

美月:どうかした?

○○:ううん・・・なんでも無い・・・

美月:ホームルームは?

美波:もう終わったよ。

美月:そっか。先生は、なんか言ってた?

史緒里:中村が生徒指導室に呼ばれた。

美月:へぇ~・・・ほら、言ったとおりでしょ?先生は○君の味方なんだから。ね?

○○:うん・・・

美月:どうする?教室に戻る?

○○:・・・うん・・・

美月:よしっ!じゃあ、行こ?🖐️

○○:・・・✋ギュッ

美月:😊

二人:😄


教室


🚪ガラガラ

クラスの女子:あ、おかえり。

○○:・・・どうも。

クラスの女子:大丈夫だったみたいだね?

美月:うん。

 その後、何事も無く時は過ぎ、放課後になった。

美月:○君、先に帰っといてね。

○○:あ、此処で、待ってるよ。

美月:そっか。分かった。じゃあ、行ってくるね?

○○:うん・・・いってらっしゃい。

美月:美波、史緒里、行こ?

二人:分かった。


数分後・・・


○○:・・・遅いな・・・みっちゃん・・・

?:あれれ?伊藤じゃん。

○○:?あ、な、中村君・・・

中村:今は一人?

○○:うん・・・

中村:ふうん。ところでさ・・・お前なんで山下と付き合ってんの?

○○:え?

中村:いや・・・正直さ、ずっと謎だったんだよ。どうしてお前みたいな、何の取り柄も無い奴が、山下の彼氏なのかなぁって・・・何が言いたいかというと、釣り合ってねぇんだよ。お前と山下は。

○○:・・・

中村:一人じゃ何にも出来ない、役立たずのお前と、クラスのマドンナみたいな山下。流石のお前でも分かるだろ?山下と今すぐ別れろ。

○○:っ!

中村:ははっ!役立たず、無能、雑魚。👂️死ね。

○○:!?あ、あぁ・・・ダッ🏃💨

中村:・・・プッ😙アッハハハハハ!あぁ~おもしれぇ。


下駄箱


○○:🏃💨

美月:あ、○君!

○○:っ!み、みっちゃん・・・

美月:ごめんね、遅くなっちゃって・・・

美波:片付けに時間掛かっちゃって。

史緒里:ちゃんとLINE見てたんじゃん。

美月:うん。

○○:LINE?

美波:部活終わったっていうLINEだよ。

○○:そっか・・・

美月:どうかした?

○○:・・・

美月:○君?

 彼女の手が近付いてきた。けど・・・

(中村:釣り合ってねぇんだよ。お前と山下は。)

(中村:山下と今すぐ別れろ。)

(中村:役立たず、無能、雑魚。👂️死ね。)

○○:っ!パシッ

 彼女の手をはねのけてしまった。

美波と史緒里:!?

美月:え?

○○:あ・・・

美月:えっと・・・○君?

○○:っ!止めろ!触るな!

美月:○君。どうしたの?

○○:・・・いや・・・止めて・・・

美月:○君、落ち着いて?大丈夫だよ。どうしたの?何かあった?ねえ、○君?

○○:・・・来るな!触るな!近付くな!

美月:どうしたの?ねえ!○君!

美波:待って美月・・・なんか変だよ。

史緒里:○○君?どうしたの?

○○:・・・ダッ🏃💨

美月:あ、○君!○君!・・・そんな・・・どうして・・・

美波:美月・・・

史緒里:大丈夫?

美月:・・・うん・・・

 重苦しい雰囲気の中、私達は帰路についた。○君が私を避けるようになったのは、翌日からだった。そして、一週間後・・・

ピンポーン

○母:はーい!

🚪ガチャ

○母:あ、美月ちゃん。おはよう。

美月:おはようございます。あの、○君は?

○母:ごめんなさいね。ちょっと熱が有るみたいで、今日はお休みさせるわ。

美月:そう、ですか・・・分かりました。じゃあ。

○母:うん。いってらっしゃい。

美月:いって、きます・・・

🚪ガチャ

美月:・・・○君・・・


○○の部屋


○母:○○?大丈夫?

○○:・・・

○母:・・・お休みの連絡、入れとくからね。

○○:・・・

○母:😞

○○:・・・やっぱり僕なんて・・・

(中村:役立たず、無能、雑魚。👂️死ね。)

○○:・・・"死んだ方"が良いんだ。


学校


担任:はーい、ホームルーム始めるよ。えっと、伊藤君は休みっと・・・伊藤君以外はみんな居るね。

美月:・・・(心:○君・・・一体何があったの?教えてよ・・・)


昼休み


史緒里:美月、大丈夫?

美月:う、うん・・・大丈夫、だよ。

美波:嘘だね。

美月:え?

史緒里:何年友達やってると思ってるの?すぐに分かるよ。

美波:○○君の事、でしょ?

美月:敵わないなぁ・・・そうだよ。○君の事。

美波:やっぱり・・・それにしても、何があったんだろう。

史緒里:部活の前は、普通だったもんね。

美月:うん。

美波:ということは、私達を待ってる間に何かあったのかも。

史緒里:問題はその、何があったか、だね。

美月:うん。

史緒里:あれから話したの?

美月:何も。声掛けても無視されるし、電話掛けても出ないし、LINEも既読無し。連絡取ってたとしても、○君は何も話さないよ。すぐ一人で抱え込んじゃうから。

二人:・・・一体どうすれば・・・

美月:・・・

🚪ガチャ

クラスの女子:あ、山下さん!

美月:どうしたの?そんなに慌てて・・・

クラスの女子:伊藤君が、伊藤君が・・・!

美波:落ち着いて。伊藤君がどうしたの?

クラスの女子:伊藤君が・・・"病院"に運ばれたって!

二人:病院!?

美月:え・・・フラッ

三人:!?

二人:美月!

美月:・・・

二人:美月・・・!美月!





保健室


美月:んっ。ん~・・・!?○君!

美波:美月、大丈夫?

美月:美波・・・史緒里・・・○君は、○君は?!

史緒里:落ち着いて!

美月:・・・○君は?

保健の先生:まだ詳しいことは分かってないの。自宅のお風呂場で、手首を切った伊藤君を、お母さんが見つけたみたいで。今は、手術中みたいなの。

美月:そんな・・・手首を・・・

美波:あの、手首を切ったって事は、もしかして・・・?

保健の先生:ええ。状況から見ても、自殺だろうって。

美月:じさ、つ・・・?

保健の先生:救急隊の方に、そう言われたみたい。兎に角、詳しい事が分かったら、担任の先生に連絡するから、とりあえず教室に戻りなさい。山下さんは、もう少し休んでいった方が良いわ。

美月:・・・

史緒里:じゃあ、私達は戻ります。美月。とりあえず休んで。

美月:・・・うん・・・

美波:後でまた来るね。

美月:・・・


一時間後・・・


美月:教室に、戻ります。

保健の先生:大丈夫?早退させることも出来るわよ?

美月:大丈夫です。じゃあ。

保健の先生:うん。


教室


史緒里:あ、美月。

美波:・・・大丈夫?

美月:うん。心配掛けてゴメンね。

二人:ううん。

担任:みんなー!席に着いて。

美月:先生!○君は?!

担任:今から話すから。ええ、みんなも知ってると思うけど、伊藤君が病院に運ばれました。理由は、手首を切ったからだそうです。

クラス:・・・

担任:それから手術が行われたそうです。幸い、発見が早かったことで、命に別状は無いそうです。

美月:良かった・・・

中村:ちっ。

担任:そして、救急隊の見立てだと、自殺の可能性が高いそうです。

クラス:!?

美波:・・・

担任:今話せる事は以上です。

クラス:・・・

担任:ショックだと思うけど、いつか必ず帰ってくると、私は信じています。だからその時は、温かく迎えてあげてください。

クラス:・・・はい!

美月:○君・・・

中村:・・・(心:何度帰ってきても一緒だよ。)



美月:・・・

ピンポーン

・・・

美月:・・・居ない、か・・・

?:美月ちゃん?

美月:!?あ、おじさん、おばさん・・・

二人:こんばんは。

美月:こんばんは。

○父:・・・上がってくかい?

美月:あ、えっと・・・

○父:○○なら、目を覚ましたよ。

美月:!?ホントに?

○父:うん。

○母:上がって?

美月:でも・・・

○母:良いから。ね?

美月:・・・お邪魔します。


○○宅・リビング


○母:ご飯は食べた?

美月:あんまり、食欲無くて・・・

○母:じゃあ、何も食べてないの?

美月:はい・・・

○母:駄目よ?ちゃんと食べなきゃ。まあ、私達も食べてないんだけど・・・

○父:流石にね。

美月:○君、自殺したんですか?

○母:・・・うん。コレ。

美月:・・・これって、手紙?

○父:○○の遺書、だそうだ。

美月:遺書・・・

○父:俺達も呼んだ。美月ちゃんにも、呼んでもらった方が良いと思ってね。○○の自殺には、クラスの人間が関わっているっぽいんだ。

美月:!?読みますね。

○父:うん。


遺書


 この手紙を呼んでいるという事は、僕は死んだのかな。きっと死ねてないんだろうね。僕は何も出来ないから、自殺もまともに出来ない。やっぱり無能なんだ、僕は。彼の言うとおりだった。まず、父さん、母さん。こんなに使えない息子でごめんなさい。がっかりさせちゃってごめんなさい。最期の最期まで迷惑掛けて、本当にごめんなさい。勝手だなと思うだろうけど、二人の子供に生まれて幸せでした。本当に、今までありがとうございました。それから、みっちゃん。こんな彼氏でごめんなさい。よくよく考えたら、なんで僕みたいな人間が、みっちゃんみたいな人と付き合えてたんだろうね。ホントに不思議です。みっちゃん。こんな僕と付き合ってくれてありがとう。それから、僕という重い鎖を巻き付けてごめんなさい。これからは、僕の事は忘れて、幸せになってください。改めてみんなに言いたいことが有ります。今まで本当にありがとうございました。


                  ○○

美月:グスッ😢バカっ・・・なんで・・・なんで相談してくれなかったの・・・

○母:心配掛けたくなかったのね・・・

○父:・・・○○・・・美月ちゃん。

美月:グスッ😢はい・・・

○父:明日、見舞いに来てくれるかな?

美月:・・・はい・・・行きます・・・

○父:ありがとう。


翌日・・・


美月:此処に、○君が・・・

○父:うん。入るよ?

美月:はい。

コンコン🚪ガラガラ

○父:良いか?

○母:うん。今は眠ってるけどね。

美月:○君・・・

○○:😔

美月:・・・

○父:美月ちゃん。聞きたいことが有る。

美月:はい。

○父:場所を変えようか。

美月:分かりました。

○父:母さんはどうする?

○母:私は此処に居るわ。

○父:分かった。行こっか。

美月:はい。


中庭


美月:聞きたい事って?

○父:遺書に書いてあった、"彼"とは、誰のことなのかな?

美月:・・・多分、中村というクラスメイトです。

○父:中村・・・中村の父親は?

美月:?確か、中村商事の社長さんです。

○父:なるほど。俺は、その中村というクラスメイトが、○○の自殺の原因だと考えている。

美月:・・・

○父:・・・"潰さないといけない"な。

美月:え?

○父:俺の息子が命を落とし掛けたんだ。潰さない訳にはいかない。

美月:えっと・・・

○父:美月ちゃん。お願いが有る。

美月:・・・はい。





月曜日・・・学校・屋上


🚪ガチャ

中村:山下。

美月:ゴメンね、中村君。いきなり呼び出しちゃって。

中村:気にすんなよ。で、どうしたんだ?

美月:死んだの。○○が。

中村:マジ!?

美月:うん。

中村:そっか・・・それは・・・残念だったな。(心:これで邪魔者は居なくなったわけだ。)

美月:残念?ふふっ。何言ってるの?

中村:え?

美月:全然、悲しくもなんともないから。

中村:おいおい、どうしたんだ?

美月:むしろ清々したんだよね。だって彼奴めんどくさいんだもん。すぐ落ち込むし。正直うざかったんだ。それでも彼奴と付き合ってたのは、私の名誉の為。

中村:名誉?

美月:落ち込みやすい彼氏を支える健気な彼女、っていう名誉だよ。お陰で、私は良い人認定された。でも、彼奴が死んだ今、そんな事をする必要も無くなった。

中村:・・・あんた、最低だな。

美月:ふふっ。

🚪ガチャ

美月:あ、美波、史緒里。どうしたの?

美波:・・・あんた。今の言葉、本気なの?

美月:?あぁ~、彼奴がうざいっていう話?うん。ホントだよ。私の本心。

史緒里:・・・最低だよ。酷いよ美月!○○君は、美月の事を・・・

美月:そういうのがうざいんだってば。何。二人は彼奴の味方なの?止めた方が良いよ?どうせ彼奴はもう居ないんだから。

美波:・・・どうやら本気みたいね。

美月:だったら?

美波:・・・

パチン🙂✋

中村:!?おいおい・・・

 美波は美月にビンタした。

美月:いったいなぁ・・・何すんのよ!

美波:アンタとは絶交よ。そんな人間だとは思わなかった。

史緒里:み、美波・・・

美月:ふふん。良いよ。絶交でもなんでもしてやる!

美波:・・・史緒里。行くよ。

史緒里:・・・美月・・・

美月:・・・何?早く行けば?

史緒里:ねぇ、ホントに裏切ったの?ねえ!

美月:しつこい!

史緒里:きゃっ!

美波:!?史緒里!

美月:邪魔。どっか行け。

史緒里:!?・・・グスッ😢

美波:ほんとに最っ低!史緒里・・・行こ。

史緒里:・・・

 二人は屋上を後にした。

美月:はぁ~・・・

中村:なあ、良かったのか?親友だったんじゃ・・・

美月:良いの。私を好きにならない人間は邪魔だから。

中村:お、おう・・・で?話って、コレのことか?

美月:ううん。単刀直入に言うね。

中村:あ、ああ・・・

美月:中村君。私と付き合ってくれない?

中村:は?えっと・・・え?なに言ってんだよ。どういう事?

美月:そのままの意味だよ。私の彼氏になってよ。

中村:俺が?

美月:うん。ホントは、ずっと前から気になってたんだ。中村君の事。

中村:・・・

美月:だから、付き合って?🥺

中村:うっ!(心:やべぇ!コレは夢じゃねぇよな。彼奴を苦しめたら、自殺するかもとは思ったけど、ホントに自殺したし。しかも山下まで手に入った。俺の運は最高潮だ!)

美月:ねえ。返事は?

中村:俺で良ければ、宜しく。

美月:やった!大好き!ギュッ

中村:お、おう・・・(心:アッハハハ!やっぱり最高だな!アッハハハ!)

美月:ねぇ、中村君?

中村:なんだ?美月。

美月:もう名前で呼んでくれたの?ふふっ。嬉しい!それでね、一つだけ聞いても良い?

中村:おう、良いぞ。

美月:ずっと引っかかってるんだよね。彼奴の部屋に、遺書が有ったんだけどさ。その遺書に、"彼の言うとおりだった"っていう文があったの。その彼っていうのはさ、中村君の事?

中村:・・・

美月:どうも、その彼が自殺の原因だと考えているらしいんだよね。ねえ。どうなの?ホントの事を教えてよ。

中村:彼奴の事、ホントに嫌いになったんだよな?

美月:うん!だから、教えて?

中村:・・・美月の言うとおりだよ。彼奴に言ってやったんだ。役立たずで無能で雑魚だって。一週間言い続けてたら、自殺したんだよ。ハハッ。馬鹿みたいだよな。それぐらいで自殺するとか。な?

美月:・・・そうだね!ホント、馬鹿みたいだよ・・・

中村:そんな事より美月。せっかく付き合ったんだし、キス、とか・・・したいな?

美月:また今度ね。今日、彼奴の葬式が有るの。一応、行っとかないと。それから、私達が付き合った事は、秘密ね?

中村:おう!

美月:じゃあ、またね。

中村:おう!また明日。

🚪ガチャ

美月:・・・よし。コレでいけるはず・・・


一週間後・・・土曜日


中村商事


中村父:ようこそいらっしゃいました。ささどうぞ!

?:どうも。

中村:こちらをどうぞ。

?:ありがとう。

中村父:しかし、突然どうされました?伊藤社長。

○父:今日は、息子の事で来ました。

中村父:息子・・・

○父:君だよ。中村君。

中村:え?俺?

中村父:どういう事でしょう?

○父:単刀直入に言います。中村商事との契約を破棄したいんです。

二人:え!?

○父:うちの子が自殺を図ったのはご存知ですよね?

中村父:はい。

○父:その原因はアナタに有る。中村純一。

中村:何のことだか。言いがかりは止めてください。

?:言い掛かりなんかじゃないよ。

中村:ああ?美月!?梅澤と久保まで。どういう事だ?お前等、絶交したんじゃ?

三人:絶交なんかしてない!

美月:コレを聞いてください。

中村:それは・・・

○父:録音機だよ。僕が彼女に持たせたんだ。覚えてるだろ?

中村:!?まさか!

 録音機から、あの屋上でのやり取りが再生された。

中村:コレは、冗談で言っただけで・・・

○父:そんな嘘は通用しない。本人の事実確認も済んでいる。

中村:本人?彼奴は死んだんだろ?

美月:死んでなんかないよ。アナタから聞き出すための嘘。

中村:じゃあ、俺が好きっていうのは?彼奴がうざいっていうのは?

美月:全部嘘。私が好きなのは○君だけ。アナタなんかちっとも好きじゃない。○君を傷付けるような人を、好きになるわけないでしょ。

中村:騙してんだな・・・ずっと!

○父:そんな事はどうでも良い。今問題なのは、お前が○○を傷付けたという事だ。

中村:くっ!

中村父:純一!お前はなんて事を・・・

中村:違うんだよ。父さん!

中村父:黙れ。言い訳など聞きたくない!

中村:・・・ふざけんな・・・ふざけんな!

○父:ふざけてなどいない!

中村:あの屋上でのやり取りは、全部嘘だったのか?

美月:そうだよ。全部が演技。まあ、ビンタはガチだったけど・・・

美波:ゴメンね。ちょっと力入っちゃって。

美月:史緒里もゴメンね。突き飛ばしたりして。

史緒里:気にしないでよ。"ちょーっと傷ついたけど"!

美波:そうだね。

美月:ホントにゴメン!

史緒里:今度奢りね。

美波:じゃあ私も。

美月:分かった。

中村:・・・なんで・・・なんで彼奴よりも上の俺が・・・

美月:そういうことを言ってる時点で、アナタは○君に遠く及ばない。アナタは○君の事を、役立たずとか無能とかだと言うけど、アナタよりは優秀だよ。

中村:何処がだ!?

美月:アナタは知らないの?○君が、常に成績上位ってこと。

中村:何?

美波:○○君は、学年成績上位を保ってるの。それに比べて貴方はどう?常に成績下位で、酷いときは学年最下位の時も有る。

中村:それは・・・

史緒里:この時点で、アナタより有能だって分かるでしょ?

美月:○君が成績上位を保ってる理由、分かる?

中村:どうせカンニングだろ?

美月:違う!○君は常に努力してるの。いつも必死に努力してる。自分は周りの誰よりも劣ってるからって。全然そんなことないのに。

中村:そういうことしないと勝てないからだろ?

美月:努力する事はいけないことなの?常に努力してる人の方が、何倍もカッコいいよ。

中村:・・・でも、弱いだろ?

美月:確かにそうかもしれない。でも、いざという時は守ってくれる。助けてくれる。そんな○君が、私は大好きなの。貴方みたいに努力もしてない人に、○君をバカにする資格はない!

中村:・・・

○父:社長さん。

中村父:は、はい!

○父:どうでしょう?ここは、穏便に済ますという事で。

中村父:と、言いますと?

○父:とりあえず、中村純一は退学処分。そして、中村家との絶縁。

中村:え!?

○父:社長さんとしても、契約破棄は困るでしょう?

中村父:はい・・・

○父:もともと言えば、アナタの教育がなってないからこんな事になったんだ。よって、それぐらいするのは普通でしょ?

中村父:分かりました。

中村:待ってくれよ、父さん!

中村父:黙れ!お前はもう、うちの子じゃない!出て行け!

中村:・・・くっ!

 純一は、部屋から出て行った。

中村父:それで、伊藤社長。コレから・・・どうなるのでしょうか?

○父:息子に言われたんです。社長にはお咎め無しにして、と。

中村父:え?ご子息が?

○父:はい。


💭



○○:父さん。

○父:なんだい?

○○:契約破棄とか、しないよね?

○父:・・・するつもりだよ。

○○:・・・しないで。

○父:○○?

○○:破棄はしないで。

○父:どうしてだい?

○○:社長さんは関係ないでしょ?だから巻き込まないで?

○父:中村純一がああなったのは、彼の教育方針に問題があるからだ。だから社長も。

○○:お願い。今契約破棄したら、中村商事は倒産しちゃうんだよ?

○父:・・・見たのかい?中村商事の営業成績。

○○:うん・・・勝手に見てゴメン。

○父:いや、気にするな。

○○:お願い!契約破棄はしないで!社長さんが路頭に迷うことになる。それだけは駄目だよ。だから、お願い!

○父:○○・・・



中村父:ご子息がそんな事を・・・

美月:○君らしいや。

○父:そうだね。社長さん。一度、見舞いに来てください。

中村父:ありがとうございます。必ず行きます。

○父:その時は、馬刺をお願いします。

中村父:馬刺?

○父:○○の好物なんです。

中村父:分かりました。

📱Prrrrrrrr

○父:もしもし。うん。うん。分かった。

📱ピッ

○父:退院が決まったよ。

美月:じゃあ・・・

○父:うん。迎えに行こう。美波ちゃんと史緒里ちゃんも来るかい?

二人:はい。

○父:では、失礼します。

中村父:はい。ホントにありがとうございました!


病院


○母:帰ろっか。

○○:母さん、ゴメンね。

○母:何度も言ってるでしょ?気にしないの。

○○:でも、迷惑掛けちゃったし。

○母:バカね。家族なんだから、迷惑なんていっぱい掛けなさい。

○○:・・・ありがとう、母さん・・・

○母:ふふっ。ナデナデ👋

美月:○君!

○○:!?みっちゃん・・・

美月:・・・

○○:・・・えっと、その・・・ゴメ・・・

ギュッ

○○:!?みっちゃん・・・

美月:グスッ😢・・・バカ・・・

○○:・・・ゴメン・・・😢

美月:なんで、相談してくれなかったの?

○○:迷惑、掛けたくなくて・・・

美月:なんも相談しないで、勝手に居なくなる方が迷惑だよ。

○○:ゴメンね・・・😢

美月:迷惑なんて、いっぱい掛けてよ。そういう所も全部受け止めるから。

○○:良いの?迷惑しか掛けないけど・・・

美月:良いの。私も、○君をいっぱい支えるから。

○○:・・・ゴメン・・・

美月:もう・・・ここはありがとうでしょ?

○○:うん・・・ありがとう・・・😂

美月:うん!😂

美波:良かった。

史緒里:うんうん!

○母:どうなったの?

○父:終わったよ。全部。

○母:そう。良かった。

美月:ねぇ、学校は?いつからなの?

○○:一応、月曜日から行けるみたい。

美月:そっか。クラスのみんなも心配してるよ。

○○:・・・

美月:すぐにじゃなくても良いけど、皆待ってるから。もちろん私達も。

○○:・・・ありがとう。

美月:うん!○君。大好き!ギュッ

○○:僕も・・・大好き・・・ギュッ

四人:🙂

 その後、中村純一は退学処分。○君も学校に通うようになった。そして、八年後・・・


🚪ガチャ

美月:おかえり。チュッ

○○:ただいま。

美月:お疲れさま。

○○:うん・・・

美月:どうしたの?

○○:良かったのかなって。

美月:会社?

○○:うん・・・僕のコンサルティングで良かったのかなって。

美月:ちゃんと立て直せたんでしょ?

○○:うん・・・

美月:大丈夫。その会社の人も感謝してるよ。これまでだって、沢山の会社を復活させたんだから、自信もって。ね?

○○:うん・・・じゃあ、いつもの。

美月:はいはい。ギュッ

○○:ギュッ

美月:いつもお疲れ様。今日もよく頑張りました。偉い偉い。ナデナデ👋

○○:えへへ。

美月:ふふっ。(心:可愛い。)じゃあ、ご飯食べよ?

○○:うん!

美月:今日はハンバーグだよ。

○○:やった!

美月:ふふっ。

 ○君は大学卒業後、コンサルティング業に勤め、数多くの会社を復活させてきた。そして一年前、私と○君は結婚した。今でも考えすぎちゃう所は有るけど、ちゃんと相談してくれている。それが凄く嬉しい。私はこれからも、○君を支えていく。それが私の、幸せだから。

○○:みっちゃん。

美月:何?

○○:いつもありがとう。大好き。

美月:ふふっ。どういたしまして。私も大好きだよ。

二人:🙂

チュッ



       ~fin~









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?