私の彼氏は考えすぎる
私の名前は山下美月。私には、○○君という幼馴染みの彼氏がいるのだけど、その彼氏には、あらゆる物事を考えすぎちゃう癖が有ります。
ピンポーン
○母:はーい。
ガチャ🚪
○母:あ、おはよう。美月ちゃん。
美月:おはようございます。○君を迎えに来ました。
○母:そう。いつも悪いわねぇ。
美月:いえ。好きでやってますから。まだ寝てますか?
○母:起きてるわ。でも、今日は行きたくないって言っててね。
美月:行きたくない?それってもしかして?
○母:ええ。また見ちゃったみたいなの。
美月:・・・とりあえず、上がっても良いですか?
○母:もちろん。どうぞ。
美月:お邪魔します。
○○の部屋
コンコン🚪
美月:○君?おはよう。美月だけど・・・入るよ?
ガチャ🚪
美月:○君?
部屋に入ると、○君は布団にくるまっていた。
美月:○君。おはよう。
私が話しかけると、彼はそっと頭を覗かせた。
○○:・・・みっちゃん?
美月:うん。おはよう。
○○:おはよう・・・
美月:おばさんに聞いたよ。また見ちゃったんだって?
○○:うん・・・みんなが僕を見て笑ってるんだ・・・なんも出来ない無能だって!クラスみんなが僕を見て笑ってる。生徒だけじゃなく先生も・・・現実でもそうなっちゃうんだ。だから・・・学校なんて行きたくない。
美月:いつも言ってるじゃん。現実ではそんな事無いから。
○○:有るよ!みんなで僕を馬鹿にしてるんだ!きっとそうだ!
美月:○君。ギュッ
○○:・・・みっちゃん・・・
美月:大丈夫。何があっても、私はアナタのそばに居るから。ね?
○○:・・・うん・・・
美月:じゃあ、学校に行こ?
○○:・・・行かなきゃ駄目?
美月:一緒に行きたいなぁ。
○○:じゃあ・・・行く。
美月:☺️分かった。下で待ってるね。
○○:うん・・・
リビング
美月:おばさん。
○母:あ、美月ちゃん。どう?
美月:行くそうです。
○母:ホント?!良かったぁ~・・・ありがとね。
美月:いえ😊
数分後・・・
○○:おまたせ・・・
美月:あ、もう・・・ネクタイ、曲がってるよ。
○○:え?あ・・・
美月:ふふっ。はい。オッケー!
○○:ありがとう。
美月:いえいえ。
○母:ふふっ。なんか、夫の世話を焼く妻みたいね。
○○:な、何言ってんのさ/////
美月:そ、そうですよ/////
○母:ふふっ。ほら、いってらっしゃい。
美月:いってきます!
○○:・・・
美月:ほら○君。行くよ?
○○:・・・うん・・・いってきます・・・
○母:いってらっしゃい!
通学路
私達は、手を繋いで学校に向かっていた。
美月:今日も良い天気だね。あ、ほら!あの雲、鳥みたいじゃない?
○○:・・・違うね。
美月:えぇ~?そうかな・・・
○○:・・・いつもゴメン。
美月:?どうしたの?
○○:・・・迷惑かけてゴメン。
美月:迷惑だなんて思ってないよ。何度も言ってるけど、私が好きでやってるんだよ。
○○:でも、僕が居なければ、もっと友達と青春を謳歌出来ただろうし・・・
美月:ふふっ。青春を謳歌って・・・彼氏と一緒に学校生活を送る。これも立派な青春だよ?それに、友達とも、ちゃんと楽しんでるよ。良い友達が居てくれるし。
?:美月、○○君。おはよう。
美月:あ、おはよう。史緒里、美波。
史緒里:今日もお熱いですね、お二人さん。
美波:そういうんじゃないでしょ。また見たんだね?
美月:うん。
この二人も、○君の事情は理解している。
史緒里:で、なんの話してたの?
美月:青春を謳歌してるって話。
二人:?
○○:友達って、この二人?
美月:そうだよ!私の大事な親友じゃん!
史緒里:・・・よく分かんないけど、私からしても、美月も美波も大好きだよ!
美波:ふふっ。私も同じ気持ち。美月も史緒里も大好きだよ。
美月:ほらね?
○○:・・・うん。でも、僕って、友達居ないし。
二人:え?
○○:え?
史緒里:じゃあ、私達は・・・
美波:友達じゃないの?
○○:だって二人は、みっちゃんの友達でしょ?
史緒里:うん。だから・・・
美波:私達も○○君の友達だよ。
○○:・・・
美月:ふふっ。良かったね。
○○:・・・うん・・・
教室
🚪ガラガラ
三人:おはよう。
クラス:おはよう。
クラスの女子:おはよう伊藤君。
○○:あ、お、おは、よう・・・
クラスの女子:ふふっ。おはよう。
美月:ね?だれも笑ってないでしょ?
○○:うん・・・
美月:だからさ・・・
?:相も変わらず暗いなぁ・・・伊藤。
○○:・・・中村君・・・
中村:一人じゃ何も出来ないもんな、へっぽこ伊藤君?
○○:っ!・・・グスッ😢ダッ🏃💨
美月:あ、○君!
中村:・・・ダッせ・・・
美月:😒最っ低!ダッ🏃💨
中村:・・・な、なんだよ・・・事実を言ったまでだろ。
美波:ちょーっと良いかな?😊💢
中村:ひぃっ!
美波:いつも言ってるよね、中村君。○○君を傷付けたら、許さないって・・・
中村:お、落ち着けよ、梅澤。な?
美波:私は落ち着いてるよ?
中村:アハハハ😅助けて久保!
史緒里:同情の余地なし。安心しなさい。二人でみっちり、お仕置きしてあげるから😊💢
中村:アワワワワワワ😖
二人:覚悟!
中村:ぎゃあーーーーっ!
クラス:・・・自業自得。
美月:○君・・・屋上かな・・・
屋上
🚪ガチャ
美月:○君?居る?居たら返事して?
ガタッ
美月:・・・やっぱり此処にいた。
○○:・・・みっちゃん・・・ゴメン。
美月:・・・ううん。大丈夫?
○○:・・・ゴメン・・・ゴメン・・・
美月:気にしちゃ駄目だよ。私は、○君の良い所、ちゃんと分かってるから。
○○:みっちゃん・・・
美月:教室に戻ろう?
○○:・・・フリフリ
美月:○君・・・
○○:・・・
美月:分かった。気が向いたら、戻ってきてね。
そう言って立ち上がった。でも・・・
ギュッ
美月:・・・○君?
○○:・・・行っちゃヤダ・・・一人に、しないで・・・
美月:・・・じゃあ、一緒に居るよ。
○○:ゴメン・・・無茶言って・・・嫌だよね。こんな彼氏でゴメン・・・ゴメンね😢
美月:もう・・・泣かないの。
○○:うっ・・・ヒグッ・・・グスッ
ギュッ
美月:大丈夫だから。
○○:うぅ~・・・ウワアアアアン😭
美月:○君・・・ギューーッ
○○:ウワアアアア😭
教室
中村:うぅ~・・・す"み"ま"せ"ん"!
美波:まったくもう・・・
史緒里:大丈夫かな・・・○○君・・・
美波:大丈夫だよ。美月が居るから。
史緒里:うん。
🚪ガラガラ
担任:おはよう。
クラス:おはようございます。
担任:ホームルーム始めるよ。あら?伊藤君と山下さんは、休み?
美波:二人とも、多分屋上です。
担任:・・・中村君。
中村:はい!
史緒里:もう復活してる。
中村:なんですか、先生。あ・・・もしかして、デートのお誘いですか?
担任:ふふっ。そうね。行きましょう?
中村:よっしゃー!何処に行く?
担任:彼処しか無いでしょ?
中村:え、何処だろ?もしかして、ホテル?
担任:密室よ。
中村:おぉ~ほっほ~!
美波:先生!本気で言ってるんですか?
担任:本気よ。じゃ、行きましょうか・・・
中村:はい!
担任:"生徒指導室"に。
中村:はい!は?
クラス:プッ😙
中村:え、え?嘘💦
担任:どうせまた伊藤君を傷つけることを言ったんでしょ。いつも言ってるでしょ?彼は考えすぎちゃうから、変な事を言わないようにって。へたをすれば、命に関わるのよ?そこんところ、ちゃんと考えなさい。
中村:はい・・・(心:くそっ・・・なんで俺が怒られなきゃいけないんだよ・・・伊藤○
○・・・山下も山下だ・・・なんで俺じゃなくて彼奴を・・・そうだ!ふっ😏良いこと思い付いた・・・ププププッ)
担任:じゃあ、放課後ね。
中村:はい。
担任:梅澤さん、久保さん。後で、様子見てきてくれる?
二人:分かりました。
担任:お願いします。じゃあ、改めて、ホームルームを始めます。
ホームルームが終わり、二人は屋上に向かった。
美月:落ち着いた?
○○:うん・・・ゴメン・・・また迷惑、掛けちゃったね・・・
美月:気にしないでって言ったでしょ。
○○:・・・
🚪ガチャ
美月:?
美波:やっぱり居た。
美月:美波・・・
史緒里:大丈夫?
美月:史緒里・・・うん。取り敢えずね。
史緒里:そっか・・・
○○:・・・
美月:どうかした?
○○:ううん・・・なんでも無い・・・
美月:ホームルームは?
美波:もう終わったよ。
美月:そっか。先生は、なんか言ってた?
史緒里:中村が生徒指導室に呼ばれた。
美月:へぇ~・・・ほら、言ったとおりでしょ?先生は○君の味方なんだから。ね?
○○:うん・・・
美月:どうする?教室に戻る?
○○:・・・うん・・・
美月:よしっ!じゃあ、行こ?🖐️
○○:・・・✋ギュッ
美月:😊
二人:😄
教室
🚪ガラガラ
クラスの女子:あ、おかえり。
○○:・・・どうも。
クラスの女子:大丈夫だったみたいだね?
美月:うん。
その後、何事も無く時は過ぎ、放課後になった。
美月:○君、先に帰っといてね。
○○:あ、此処で、待ってるよ。
美月:そっか。分かった。じゃあ、行ってくるね?
○○:うん・・・いってらっしゃい。
美月:美波、史緒里、行こ?
二人:分かった。
数分後・・・
○○:・・・遅いな・・・みっちゃん・・・
?:あれれ?伊藤じゃん。
○○:?あ、な、中村君・・・
中村:今は一人?
○○:うん・・・
中村:ふうん。ところでさ・・・お前なんで山下と付き合ってんの?
○○:え?
中村:いや・・・正直さ、ずっと謎だったんだよ。どうしてお前みたいな、何の取り柄も無い奴が、山下の彼氏なのかなぁって・・・何が言いたいかというと、釣り合ってねぇんだよ。お前と山下は。
○○:・・・
中村:一人じゃ何にも出来ない、役立たずのお前と、クラスのマドンナみたいな山下。流石のお前でも分かるだろ?山下と今すぐ別れろ。
○○:っ!
中村:ははっ!役立たず、無能、雑魚。👂️死ね。
○○:!?あ、あぁ・・・ダッ🏃💨
中村:・・・プッ😙アッハハハハハ!あぁ~おもしれぇ。
下駄箱
○○:🏃💨
美月:あ、○君!
○○:っ!み、みっちゃん・・・
美月:ごめんね、遅くなっちゃって・・・
美波:片付けに時間掛かっちゃって。
史緒里:ちゃんとLINE見てたんじゃん。
美月:うん。
○○:LINE?
美波:部活終わったっていうLINEだよ。
○○:そっか・・・
美月:どうかした?
○○:・・・
美月:○君?
彼女の手が近付いてきた。けど・・・
(中村:釣り合ってねぇんだよ。お前と山下は。)
(中村:山下と今すぐ別れろ。)
(中村:役立たず、無能、雑魚。👂️死ね。)
○○:っ!パシッ
彼女の手をはねのけてしまった。
美波と史緒里:!?
美月:え?
○○:あ・・・
美月:えっと・・・○君?
○○:っ!止めろ!触るな!
美月:○君。どうしたの?
○○:・・・いや・・・止めて・・・
美月:○君、落ち着いて?大丈夫だよ。どうしたの?何かあった?ねえ、○君?
○○:・・・来るな!触るな!近付くな!
美月:どうしたの?ねえ!○君!
美波:待って美月・・・なんか変だよ。
史緒里:○○君?どうしたの?
○○:・・・ダッ🏃💨
美月:あ、○君!○君!・・・そんな・・・どうして・・・
美波:美月・・・
史緒里:大丈夫?
美月:・・・うん・・・
重苦しい雰囲気の中、私達は帰路についた。○君が私を避けるようになったのは、翌日からだった。そして、一週間後・・・
ピンポーン
○母:はーい!
🚪ガチャ
○母:あ、美月ちゃん。おはよう。
美月:おはようございます。あの、○君は?
○母:ごめんなさいね。ちょっと熱が有るみたいで、今日はお休みさせるわ。
美月:そう、ですか・・・分かりました。じゃあ。
○母:うん。いってらっしゃい。
美月:いって、きます・・・
🚪ガチャ
美月:・・・○君・・・
○○の部屋
○母:○○?大丈夫?
○○:・・・
○母:・・・お休みの連絡、入れとくからね。
○○:・・・
○母:😞
○○:・・・やっぱり僕なんて・・・
(中村:役立たず、無能、雑魚。👂️死ね。)
○○:・・・"死んだ方"が良いんだ。
学校
担任:はーい、ホームルーム始めるよ。えっと、伊藤君は休みっと・・・伊藤君以外はみんな居るね。
美月:・・・(心:○君・・・一体何があったの?教えてよ・・・)
昼休み
史緒里:美月、大丈夫?
美月:う、うん・・・大丈夫、だよ。
美波:嘘だね。
美月:え?
史緒里:何年友達やってると思ってるの?すぐに分かるよ。
美波:○○君の事、でしょ?
美月:敵わないなぁ・・・そうだよ。○君の事。
美波:やっぱり・・・それにしても、何があったんだろう。
史緒里:部活の前は、普通だったもんね。
美月:うん。
美波:ということは、私達を待ってる間に何かあったのかも。
史緒里:問題はその、何があったか、だね。
美月:うん。
史緒里:あれから話したの?
美月:何も。声掛けても無視されるし、電話掛けても出ないし、LINEも既読無し。連絡取ってたとしても、○君は何も話さないよ。すぐ一人で抱え込んじゃうから。
二人:・・・一体どうすれば・・・
美月:・・・
🚪ガチャ
クラスの女子:あ、山下さん!
美月:どうしたの?そんなに慌てて・・・
クラスの女子:伊藤君が、伊藤君が・・・!
美波:落ち着いて。伊藤君がどうしたの?
クラスの女子:伊藤君が・・・"病院"に運ばれたって!
二人:病院!?
美月:え・・・フラッ
三人:!?
二人:美月!
美月:・・・
二人:美月・・・!美月!
保健室
美月:んっ。ん~・・・!?○君!
美波:美月、大丈夫?
美月:美波・・・史緒里・・・○君は、○君は?!
史緒里:落ち着いて!
美月:・・・○君は?
保健の先生:まだ詳しいことは分かってないの。自宅のお風呂場で、手首を切った伊藤君を、お母さんが見つけたみたいで。今は、手術中みたいなの。
美月:そんな・・・手首を・・・
美波:あの、手首を切ったって事は、もしかして・・・?
保健の先生:ええ。状況から見ても、自殺だろうって。
美月:じさ、つ・・・?
保健の先生:救急隊の方に、そう言われたみたい。兎に角、詳しい事が分かったら、担任の先生に連絡するから、とりあえず教室に戻りなさい。山下さんは、もう少し休んでいった方が良いわ。
美月:・・・
史緒里:じゃあ、私達は戻ります。美月。とりあえず休んで。
美月:・・・うん・・・
美波:後でまた来るね。
美月:・・・
一時間後・・・
美月:教室に、戻ります。
保健の先生:大丈夫?早退させることも出来るわよ?
美月:大丈夫です。じゃあ。
保健の先生:うん。
教室
史緒里:あ、美月。
美波:・・・大丈夫?
美月:うん。心配掛けてゴメンね。
二人:ううん。
担任:みんなー!席に着いて。
美月:先生!○君は?!
担任:今から話すから。ええ、みんなも知ってると思うけど、伊藤君が病院に運ばれました。理由は、手首を切ったからだそうです。
クラス:・・・
担任:それから手術が行われたそうです。幸い、発見が早かったことで、命に別状は無いそうです。
美月:良かった・・・
中村:ちっ。
担任:そして、救急隊の見立てだと、自殺の可能性が高いそうです。
クラス:!?
美波:・・・
担任:今話せる事は以上です。
クラス:・・・
担任:ショックだと思うけど、いつか必ず帰ってくると、私は信じています。だからその時は、温かく迎えてあげてください。
クラス:・・・はい!
美月:○君・・・
中村:・・・(心:何度帰ってきても一緒だよ。)
夜
美月:・・・
ピンポーン
・・・
美月:・・・居ない、か・・・
?:美月ちゃん?
美月:!?あ、おじさん、おばさん・・・
二人:こんばんは。
美月:こんばんは。
○父:・・・上がってくかい?
美月:あ、えっと・・・
○父:○○なら、目を覚ましたよ。
美月:!?ホントに?
○父:うん。
○母:上がって?
美月:でも・・・
○母:良いから。ね?
美月:・・・お邪魔します。
○○宅・リビング
○母:ご飯は食べた?
美月:あんまり、食欲無くて・・・
○母:じゃあ、何も食べてないの?
美月:はい・・・
○母:駄目よ?ちゃんと食べなきゃ。まあ、私達も食べてないんだけど・・・
○父:流石にね。
美月:○君、自殺したんですか?
○母:・・・うん。コレ。
美月:・・・これって、手紙?
○父:○○の遺書、だそうだ。
美月:遺書・・・
○父:俺達も呼んだ。美月ちゃんにも、呼んでもらった方が良いと思ってね。○○の自殺には、クラスの人間が関わっているっぽいんだ。
美月:!?読みますね。
○父:うん。
美月:グスッ😢バカっ・・・なんで・・・なんで相談してくれなかったの・・・
○母:心配掛けたくなかったのね・・・
○父:・・・○○・・・美月ちゃん。
美月:グスッ😢はい・・・
○父:明日、見舞いに来てくれるかな?
美月:・・・はい・・・行きます・・・
○父:ありがとう。
翌日・・・
美月:此処に、○君が・・・
○父:うん。入るよ?
美月:はい。
コンコン🚪ガラガラ
○父:良いか?
○母:うん。今は眠ってるけどね。
美月:○君・・・
○○:😔
美月:・・・
○父:美月ちゃん。聞きたいことが有る。
美月:はい。
○父:場所を変えようか。
美月:分かりました。
○父:母さんはどうする?
○母:私は此処に居るわ。
○父:分かった。行こっか。
美月:はい。
中庭
美月:聞きたい事って?
○父:遺書に書いてあった、"彼"とは、誰のことなのかな?
美月:・・・多分、中村というクラスメイトです。
○父:中村・・・中村の父親は?
美月:?確か、中村商事の社長さんです。
○父:なるほど。俺は、その中村というクラスメイトが、○○の自殺の原因だと考えている。
美月:・・・
○父:・・・"潰さないといけない"な。
美月:え?
○父:俺の息子が命を落とし掛けたんだ。潰さない訳にはいかない。
美月:えっと・・・
○父:美月ちゃん。お願いが有る。
美月:・・・はい。
月曜日・・・学校・屋上
🚪ガチャ
中村:山下。
美月:ゴメンね、中村君。いきなり呼び出しちゃって。
中村:気にすんなよ。で、どうしたんだ?
美月:死んだの。○○が。
中村:マジ!?
美月:うん。
中村:そっか・・・それは・・・残念だったな。(心:これで邪魔者は居なくなったわけだ。)
美月:残念?ふふっ。何言ってるの?
中村:え?
美月:全然、悲しくもなんともないから。
中村:おいおい、どうしたんだ?
美月:むしろ清々したんだよね。だって彼奴めんどくさいんだもん。すぐ落ち込むし。正直うざかったんだ。それでも彼奴と付き合ってたのは、私の名誉の為。
中村:名誉?
美月:落ち込みやすい彼氏を支える健気な彼女、っていう名誉だよ。お陰で、私は良い人認定された。でも、彼奴が死んだ今、そんな事をする必要も無くなった。
中村:・・・あんた、最低だな。
美月:ふふっ。
🚪ガチャ
美月:あ、美波、史緒里。どうしたの?
美波:・・・あんた。今の言葉、本気なの?
美月:?あぁ~、彼奴がうざいっていう話?うん。ホントだよ。私の本心。
史緒里:・・・最低だよ。酷いよ美月!○○君は、美月の事を・・・
美月:そういうのがうざいんだってば。何。二人は彼奴の味方なの?止めた方が良いよ?どうせ彼奴はもう居ないんだから。
美波:・・・どうやら本気みたいね。
美月:だったら?
美波:・・・
パチン🙂✋
中村:!?おいおい・・・
美波は美月にビンタした。
美月:いったいなぁ・・・何すんのよ!
美波:アンタとは絶交よ。そんな人間だとは思わなかった。
史緒里:み、美波・・・
美月:ふふん。良いよ。絶交でもなんでもしてやる!
美波:・・・史緒里。行くよ。
史緒里:・・・美月・・・
美月:・・・何?早く行けば?
史緒里:ねぇ、ホントに裏切ったの?ねえ!
美月:しつこい!
史緒里:きゃっ!
美波:!?史緒里!
美月:邪魔。どっか行け。
史緒里:!?・・・グスッ😢
美波:ほんとに最っ低!史緒里・・・行こ。
史緒里:・・・
二人は屋上を後にした。
美月:はぁ~・・・
中村:なあ、良かったのか?親友だったんじゃ・・・
美月:良いの。私を好きにならない人間は邪魔だから。
中村:お、おう・・・で?話って、コレのことか?
美月:ううん。単刀直入に言うね。
中村:あ、ああ・・・
美月:中村君。私と付き合ってくれない?
中村:は?えっと・・・え?なに言ってんだよ。どういう事?
美月:そのままの意味だよ。私の彼氏になってよ。
中村:俺が?
美月:うん。ホントは、ずっと前から気になってたんだ。中村君の事。
中村:・・・
美月:だから、付き合って?🥺
中村:うっ!(心:やべぇ!コレは夢じゃねぇよな。彼奴を苦しめたら、自殺するかもとは思ったけど、ホントに自殺したし。しかも山下まで手に入った。俺の運は最高潮だ!)
美月:ねえ。返事は?
中村:俺で良ければ、宜しく。
美月:やった!大好き!ギュッ
中村:お、おう・・・(心:アッハハハ!やっぱり最高だな!アッハハハ!)
美月:ねぇ、中村君?
中村:なんだ?美月。
美月:もう名前で呼んでくれたの?ふふっ。嬉しい!それでね、一つだけ聞いても良い?
中村:おう、良いぞ。
美月:ずっと引っかかってるんだよね。彼奴の部屋に、遺書が有ったんだけどさ。その遺書に、"彼の言うとおりだった"っていう文があったの。その彼っていうのはさ、中村君の事?
中村:・・・
美月:どうも、その彼が自殺の原因だと考えているらしいんだよね。ねえ。どうなの?ホントの事を教えてよ。
中村:彼奴の事、ホントに嫌いになったんだよな?
美月:うん!だから、教えて?
中村:・・・美月の言うとおりだよ。彼奴に言ってやったんだ。役立たずで無能で雑魚だって。一週間言い続けてたら、自殺したんだよ。ハハッ。馬鹿みたいだよな。それぐらいで自殺するとか。な?
美月:・・・そうだね!ホント、馬鹿みたいだよ・・・
中村:そんな事より美月。せっかく付き合ったんだし、キス、とか・・・したいな?
美月:また今度ね。今日、彼奴の葬式が有るの。一応、行っとかないと。それから、私達が付き合った事は、秘密ね?
中村:おう!
美月:じゃあ、またね。
中村:おう!また明日。
🚪ガチャ
美月:・・・よし。コレでいけるはず・・・
一週間後・・・土曜日
中村商事
中村父:ようこそいらっしゃいました。ささどうぞ!
?:どうも。
中村:こちらをどうぞ。
?:ありがとう。
中村父:しかし、突然どうされました?伊藤社長。
○父:今日は、息子の事で来ました。
中村父:息子・・・
○父:君だよ。中村君。
中村:え?俺?
中村父:どういう事でしょう?
○父:単刀直入に言います。中村商事との契約を破棄したいんです。
二人:え!?
○父:うちの子が自殺を図ったのはご存知ですよね?
中村父:はい。
○父:その原因はアナタに有る。中村純一。
中村:何のことだか。言いがかりは止めてください。
?:言い掛かりなんかじゃないよ。
中村:ああ?美月!?梅澤と久保まで。どういう事だ?お前等、絶交したんじゃ?
三人:絶交なんかしてない!
美月:コレを聞いてください。
中村:それは・・・
○父:録音機だよ。僕が彼女に持たせたんだ。覚えてるだろ?
中村:!?まさか!
録音機から、あの屋上でのやり取りが再生された。
中村:コレは、冗談で言っただけで・・・
○父:そんな嘘は通用しない。本人の事実確認も済んでいる。
中村:本人?彼奴は死んだんだろ?
美月:死んでなんかないよ。アナタから聞き出すための嘘。
中村:じゃあ、俺が好きっていうのは?彼奴がうざいっていうのは?
美月:全部嘘。私が好きなのは○君だけ。アナタなんかちっとも好きじゃない。○君を傷付けるような人を、好きになるわけないでしょ。
中村:騙してんだな・・・ずっと!
○父:そんな事はどうでも良い。今問題なのは、お前が○○を傷付けたという事だ。
中村:くっ!
中村父:純一!お前はなんて事を・・・
中村:違うんだよ。父さん!
中村父:黙れ。言い訳など聞きたくない!
中村:・・・ふざけんな・・・ふざけんな!
○父:ふざけてなどいない!
中村:あの屋上でのやり取りは、全部嘘だったのか?
美月:そうだよ。全部が演技。まあ、ビンタはガチだったけど・・・
美波:ゴメンね。ちょっと力入っちゃって。
美月:史緒里もゴメンね。突き飛ばしたりして。
史緒里:気にしないでよ。"ちょーっと傷ついたけど"!
美波:そうだね。
美月:ホントにゴメン!
史緒里:今度奢りね。
美波:じゃあ私も。
美月:分かった。
中村:・・・なんで・・・なんで彼奴よりも上の俺が・・・
美月:そういうことを言ってる時点で、アナタは○君に遠く及ばない。アナタは○君の事を、役立たずとか無能とかだと言うけど、アナタよりは優秀だよ。
中村:何処がだ!?
美月:アナタは知らないの?○君が、常に成績上位ってこと。
中村:何?
美波:○○君は、学年成績上位を保ってるの。それに比べて貴方はどう?常に成績下位で、酷いときは学年最下位の時も有る。
中村:それは・・・
史緒里:この時点で、アナタより有能だって分かるでしょ?
美月:○君が成績上位を保ってる理由、分かる?
中村:どうせカンニングだろ?
美月:違う!○君は常に努力してるの。いつも必死に努力してる。自分は周りの誰よりも劣ってるからって。全然そんなことないのに。
中村:そういうことしないと勝てないからだろ?
美月:努力する事はいけないことなの?常に努力してる人の方が、何倍もカッコいいよ。
中村:・・・でも、弱いだろ?
美月:確かにそうかもしれない。でも、いざという時は守ってくれる。助けてくれる。そんな○君が、私は大好きなの。貴方みたいに努力もしてない人に、○君をバカにする資格はない!
中村:・・・
○父:社長さん。
中村父:は、はい!
○父:どうでしょう?ここは、穏便に済ますという事で。
中村父:と、言いますと?
○父:とりあえず、中村純一は退学処分。そして、中村家との絶縁。
中村:え!?
○父:社長さんとしても、契約破棄は困るでしょう?
中村父:はい・・・
○父:もともと言えば、アナタの教育がなってないからこんな事になったんだ。よって、それぐらいするのは普通でしょ?
中村父:分かりました。
中村:待ってくれよ、父さん!
中村父:黙れ!お前はもう、うちの子じゃない!出て行け!
中村:・・・くっ!
純一は、部屋から出て行った。
中村父:それで、伊藤社長。コレから・・・どうなるのでしょうか?
○父:息子に言われたんです。社長にはお咎め無しにして、と。
中村父:え?ご子息が?
○父:はい。
💭
○○:父さん。
○父:なんだい?
○○:契約破棄とか、しないよね?
○父:・・・するつもりだよ。
○○:・・・しないで。
○父:○○?
○○:破棄はしないで。
○父:どうしてだい?
○○:社長さんは関係ないでしょ?だから巻き込まないで?
○父:中村純一がああなったのは、彼の教育方針に問題があるからだ。だから社長も。
○○:お願い。今契約破棄したら、中村商事は倒産しちゃうんだよ?
○父:・・・見たのかい?中村商事の営業成績。
○○:うん・・・勝手に見てゴメン。
○父:いや、気にするな。
○○:お願い!契約破棄はしないで!社長さんが路頭に迷うことになる。それだけは駄目だよ。だから、お願い!
○父:○○・・・
中村父:ご子息がそんな事を・・・
美月:○君らしいや。
○父:そうだね。社長さん。一度、見舞いに来てください。
中村父:ありがとうございます。必ず行きます。
○父:その時は、馬刺をお願いします。
中村父:馬刺?
○父:○○の好物なんです。
中村父:分かりました。
📱Prrrrrrrr
○父:もしもし。うん。うん。分かった。
📱ピッ
○父:退院が決まったよ。
美月:じゃあ・・・
○父:うん。迎えに行こう。美波ちゃんと史緒里ちゃんも来るかい?
二人:はい。
○父:では、失礼します。
中村父:はい。ホントにありがとうございました!
病院
○母:帰ろっか。
○○:母さん、ゴメンね。
○母:何度も言ってるでしょ?気にしないの。
○○:でも、迷惑掛けちゃったし。
○母:バカね。家族なんだから、迷惑なんていっぱい掛けなさい。
○○:・・・ありがとう、母さん・・・
○母:ふふっ。ナデナデ👋
美月:○君!
○○:!?みっちゃん・・・
美月:・・・
○○:・・・えっと、その・・・ゴメ・・・
ギュッ
○○:!?みっちゃん・・・
美月:グスッ😢・・・バカ・・・
○○:・・・ゴメン・・・😢
美月:なんで、相談してくれなかったの?
○○:迷惑、掛けたくなくて・・・
美月:なんも相談しないで、勝手に居なくなる方が迷惑だよ。
○○:ゴメンね・・・😢
美月:迷惑なんて、いっぱい掛けてよ。そういう所も全部受け止めるから。
○○:良いの?迷惑しか掛けないけど・・・
美月:良いの。私も、○君をいっぱい支えるから。
○○:・・・ゴメン・・・
美月:もう・・・ここはありがとうでしょ?
○○:うん・・・ありがとう・・・😂
美月:うん!😂
美波:良かった。
史緒里:うんうん!
○母:どうなったの?
○父:終わったよ。全部。
○母:そう。良かった。
美月:ねぇ、学校は?いつからなの?
○○:一応、月曜日から行けるみたい。
美月:そっか。クラスのみんなも心配してるよ。
○○:・・・
美月:すぐにじゃなくても良いけど、皆待ってるから。もちろん私達も。
○○:・・・ありがとう。
美月:うん!○君。大好き!ギュッ
○○:僕も・・・大好き・・・ギュッ
四人:🙂
その後、中村純一は退学処分。○君も学校に通うようになった。そして、八年後・・・
🚪ガチャ
美月:おかえり。チュッ
○○:ただいま。
美月:お疲れさま。
○○:うん・・・
美月:どうしたの?
○○:良かったのかなって。
美月:会社?
○○:うん・・・僕のコンサルティングで良かったのかなって。
美月:ちゃんと立て直せたんでしょ?
○○:うん・・・
美月:大丈夫。その会社の人も感謝してるよ。これまでだって、沢山の会社を復活させたんだから、自信もって。ね?
○○:うん・・・じゃあ、いつもの。
美月:はいはい。ギュッ
○○:ギュッ
美月:いつもお疲れ様。今日もよく頑張りました。偉い偉い。ナデナデ👋
○○:えへへ。
美月:ふふっ。(心:可愛い。)じゃあ、ご飯食べよ?
○○:うん!
美月:今日はハンバーグだよ。
○○:やった!
美月:ふふっ。
○君は大学卒業後、コンサルティング業に勤め、数多くの会社を復活させてきた。そして一年前、私と○君は結婚した。今でも考えすぎちゃう所は有るけど、ちゃんと相談してくれている。それが凄く嬉しい。私はこれからも、○君を支えていく。それが私の、幸せだから。
○○:みっちゃん。
美月:何?
○○:いつもありがとう。大好き。
美月:ふふっ。どういたしまして。私も大好きだよ。
二人:🙂
チュッ
~fin~
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