サバイバー
私はサバイバーだ。
がんサバイバーは聞いたことがあった。
がんの宣告から治療をし生存し続けている人々と理解していた。
それに加え、戦場から生き残った人間のことを指して言う言葉とも。
生存者である。
生き残りである。
つまり「死」がそこにあったということだ。
誰よりも近くに。
もっというなら、死んでもおかしくなかったが生き残った者と言った方がいいだろうか。
このサバイバーと私は同じ立ち位置になるらしい。
私の戦場は
虐待とDVという暴力の日常だった。
家から一歩出るときは、平然としたどこにでもいる年齢相応の人間という
仮面をつけて出発しなければならない。
心の支えは、この親たちを惨めに残酷に捨て去り、自分の足で立ち成功を手に入れた私が、いつか悉く何もかも「見返す」という夢を描いていたことだ。
ただでさえ「忙しい」日常を送っているというのに、私がつけている仮面のせいで、高校時代「人をバカにしている」と思われていたらしい。
なるべく感情を出さず、自分のことは語らず。
自分から見える立ち位置から話したことが上から目線だったらしい。
ため息しかでない。
そんなもん知ったこっちゃない。
こっちは生きるのに必死だというのに。
彼らはわかっていない。
年相応の悩みを持てることの贅沢さを。
当時の彼女らは集まれば「男」と「恋愛」の話しで盛り上がり、付き合う別れる振り振られる、たまに進路の悩みしか浮上しない同世代に何を望むのか。
もちろん、彼女らにも言えない悩みはあっただろう。
しかし、そんなんところでも私の話は重過ぎる。
まさか、一般家庭で起きている「犯罪」の中で生きているとは知るよしもないだろう。