見出し画像

臨床推論 Case109

Mod Rheumatol Case Rep. 2023 Dec 29;8(1):26-32.
PMID:37249440

【症例】
50歳 女性 

【既往歴】
線維筋痛症:10年前に指摘されデュロキセチンとプレガバリンで治療されている

【現病歴/現症】
⚫︎ 全身の痛みでリハビリテーション科を受診された
⚫︎ 朝起きると腰痛があり、足をつくと踵が痛む
⚫︎ 朝から腰と約30分続く両手のこわばりがある

⚫︎ 関節に腫脹や圧痛はなかったが、アキレス腱に圧痛を認めた
⚫︎ FABERテスト、FADIRテストは陽性であった
⚫︎ CRPは高値であった
⚫︎ ウイルスや自己抗体は陰性であった

⚫︎ 画像検査は仙腸関節の硬化、アキレス腱の踵部骨棘あり

What’s your diagnosis ?








【診断】

体軸性脊椎関節炎

【経過】
⚫︎ ASASの診断基準に従い上記診断となった
⚫︎ アセメタシンで治療されたがCRPは改善なく経過
⚫︎ TNFα(シムジア)導入し、CRPと症状はともに改善した

【考察】
⚫︎ 線維筋痛症FMの症状は多彩で多彩で認知機能障害(集中力低下、記憶低下など)、外的刺激に対する過敏、月経困難、自律神経障害、多臓器症状(疲労、レイノー現象、sicca症状、過敏性腸疾患、うつ病、不安神経症など)を呈する

⚫︎ そのため他のリウマチ疾患と症状がにるため誤診されることがある
⚫︎ 精神or身体的ステレスが引き金になることがある
  外傷、感染症(ライム Q熱 HIV 肝炎ウイルスなど)など
⚫︎ さらにややこしいのがSLEやRA、OAなどリウマチ疾患に併存することもある
⚫︎ 全身性のリウマチ疾患の25%はFMの診断基準をみたす

⚫︎ 鑑別は症状だけでは区別がつかないことがあるため、抗体や画像で判断することもしばしばあり
⚫︎ axSpAは早期にMRIで仙腸関節の異常を呈するがこれはFMには見られない
⚫︎ axSpAは主に仙腸関節、軸椎、末梢関節、および靭帯に障害がでる慢性炎症疾患である
⚫︎ 仙腸関節炎を伴う炎症性背部痛が特徴で、ぶどう膜炎や指炎を伴うことがある

⚫︎ FMとややこしいのがaxSpaはしばしば痛みと関連し不安、うつ、倦怠感、不眠を呈する
⚫︎ そのため特にFMとSpAは混同されやすいし合併しやすい
⚫︎ FMは一般人口の2-8%とされるが、axSpAではFMの有病率は4-25%とされている
⚫︎ リウマチ疾患などによる慢性疼痛によって中枢性疼痛が発生し、FMを生じるのは女性に多い
⚫︎ 女性はFMが起きやすいことにより他の疾患を見逃してしまうリスクである

いいなと思ったら応援しよう!