臨床推論 Case22
Clin Med(Lond).2020 Mar; 20(2): 224–226.
PMID:32188666
【症例】
71歳 女性
【主訴】
頭痛
【経過】
⚫︎ 1週間続くmoderate-severeな間欠的な目の周囲の頭痛が出現した
⚫︎ 頭痛発症2週間後に水平性の複視を自覚した
⚫︎ 顎跛行やPMR症状なし
⚫︎ 眼科評価で右動眼神経麻痺を認めた
⚫︎ 眼底検査では黄斑外ドルーゼンを認めた
⚫︎ ESR9mm/hr CRP0.47mg/dL 血算は正常
⚫︎ 血管造影は正常、MRIも正常
⚫︎ この時点で鑑別が眼球運動障害を伴う片頭痛または微小血管による動眼神経麻痺の疑いとなった
⚫︎ また脳卒中予防薬とアミトリプチン処方され経過観察となった
⚫︎ 一旦退院となったが症状は改善せず再度血液検査したところESR67mm/hrになっていた
⚫︎ PSL30mgを開始したところ3日以内に頭痛と複視が改善し著効した
What’s your diagnosis?
【診断】
巨細胞性動脈炎
【経過】
⚫︎ ステロイド開始後の3ヶ月後に側頭動脈生検で診断がついた
⚫︎ 治療は遅れたが後遺症なく経過した
【考察】
⚫︎ 2002年のメタアナリシスでESR>100mm/hrはTAB陽性尤度比1.9であった
⚫︎ 逆に生検陽性患者でESR正常は4%のみであった
⚫︎ 764人の患者でESR上昇は感度84% CRP上昇は86%であった
しかし特異度は30%に過ぎなかった
⚫︎ 炎症マーカーはあくまで目安である
⚫︎ 他のstudyでも発症時は炎症正常でもあとで遅れて上昇してくる報告はある
⚫︎ 生検はステロイド加療後はTAB陰性になることがある
⚫︎ 治療後9ヶ月では生検陽性50% 12ヶ月後は25%という報告あり
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?