臨床推論 Case59
Cureus 16(1): e52350.
【症例】
35歳女性
【受診理由】
胸部画像陰影の精査目的
【現病歴/現症】
⚫︎ 関節リウマチを10年前に診断されMTXで治療されていた
しかし頻回に増悪し、ステロイド投与を繰り返していた
⚫︎ 3年前から自己中断されている
⚫︎ 激しい関節炎のため病院を受診し、ステロイド投与、リンヴォック15mg、MTX20mgで治療した
⚫︎ その際に肺結節陰影を指摘され精査目的で受診となった
⚫︎ 呼吸器症状はなく、発熱、体重減少、食欲不振などはない
⚫︎ 結核患者の接触歴や渡航歴、ペット飼育歴はない
⚫︎ 事務職についている
⚫︎ current smorkerである
⚫︎ バイタルサインは正常で、手指に皮下結節なし
⚫︎ 呼吸音清で心雑音なし
⚫︎ XPでは結節陰影あり
⚫︎ CTでは両下葉末梢側に大きさの異なる不定形の結節陰影を多数認めた
リンパ節は目立った腫脹はない
⚫︎ RF229.5U/mL、CCP12.60U/mL、WBC12460、Hb10.7、ESR563mm/hrであった
⚫︎ CTガイド下生検を施行し、病理では悪性腫瘍、感染、肉芽腫は認めず
マクロファージ、リンパ球、形質細胞が壊死した部分を取り囲んで集簇していた
What’s your diagnosis ?
【診断】
リウマチ肺結節
【考察】
⚫︎リウマチ肺結節は関節外症状の一つで有病率は報告によって様々である
Xpでは1%以下、CTでは20%前後認めるという報告あり
⚫︎ 皮下結節を有し、RF高値、男性、喫煙者がリウマチ肺結節を認めやすい
⚫︎ 診断は生検であり、生検しないのであれば慎重な経過観察が必要である
⚫︎ リウマチの肺病変は色々な病気がある
間質性肺炎、気管支拡張症、閉塞性細気管支炎、Caplan症候群、血管炎、感染症など
⚫︎ この中でも特に多いのは間質性肺炎である
⚫︎ 悪性腫瘍、結核、真菌感染の除外が必要である
⚫︎ リウマチ肺結節 vs リウマチ患者の胸部悪性腫瘍(Eur Radiol. 2019 Apr;29(4):1684-1692.)