雀卓に歴史あり①
先駆者マグジャン
私が初めて入った雀荘は、駅近くの繁華街にある小さなビルの地下にあった。
雀卓は5卓ぐらいで、換気が悪く、タバコのにおいがする、狭くて暗い雀荘だった。
友人たちと「麻雀をしよう。」ということになり、とりあえず入った雀荘がそこだった。
昼の三時ごろなので、客はいないか、いても地元の遊び人のような人たちが一卓という程度、暇な店だった。
初めて入るにしてはずいぶん殺伐とした店だったが、私たちは特に気にせず、卓に座って麻雀を始めた。
当然牌を手で積むのだが、その雀卓にはボタンがついていて、そのボタンを押すと表を向いている牌が全てひっくり返り、ガタガタと円を描いて回りはじめた。
麻雀牌を積むとき、牌を全て裏向きにして積むのが結構面倒なのだが、これだと簡単に牌を積むことが出来る。
「すごいな。雀荘に来るとこんな便利な卓で麻雀が出来るんだ。」
私たちは近未来のマシーンに触れたような感動を覚えた。
この雀卓の名前を「マグジャン」という。
牌に磁石が埋め込まれていて、スイッチを入れると内部の磁石が起動して回る。
これによって全ての牌が裏返り、かき混ぜられるというものだ。
そんなに回らないし、あまりかきまざらないので 実際は手で混ぜる。
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