大人になった私が考える『モノノ怪』:アニメレビュー第1話
お疲れ様です、木彫りマシンです。Netflixはほぼ毎日見ているのですが、かなりセンセーショナルな衝撃を受けたので久しぶりにアニメレビューします。最近、YouTubeの広告で頻繁に目にする『モノノ怪』。どうやら劇場版が公開されるとのことですが、そのビジュアルと雰囲気に引き込まれ、まずはNetflixで配信されているアニメ版を観ることにしました。今回は第1話を観た感想をお伝えします。それではよろしくお願いいたします。
独特なアートスタイルが生み出す世界観
最初に驚かされたのは、そのアートスタイル。『モノノ怪』の映像は日本画や浮世絵を思わせるような色使いと構図で、伝統的でありながらも斬新。全体的に派手な装飾が多く、現実感を一切持たない異世界を見せつけてくれます。それでいて、不気味で妖しい雰囲気が漂い、視覚的なインパクトが非常に強いです。襖がパシンパシン閉まって場面転換があるのがなんか講談の張り扇を叩く場面みたいでわかりやすいと思いました。
ただ、最初は情報量の多さに圧倒されました。背景やキャラクターデザインに細かい装飾が施されているため、どこに注目すればいいのか迷ってしまう瞬間もありました。でも、それが『モノノ怪』の世界観を形作る重要な要素なのだと感じます。かと思えばキャラクターに対する説明も少なすぎるような気もするくらい物語がバンバン進んでいくので考えが全く追いつかないところもありました。
若い頃と今、作品の捉え方の違い
この作品を観ながら、ふと自分が若い頃にエヴァンゲリオンを観ていた時のことを思い出しました。当時、父は「よくわからない」と言っていたのを記憶しています。なんでロボットに乗るのか?何でそんなに暗い話なのか?よく親父に聞かれたものです、その時の私は、新しい情報を素直に受け入れる姿勢があったので、どんなに抽象的な内容でも興味を持てました。というか「未知の情報」が当たり前だったのでなんかこんなもんなのかなとか次の物語に進みたいところもあって強引に納得かなぁと考えることができたと思います。
しかし、『モノノ怪』を観ながら感じたのは、もしかすると自分もあの時の父のようになりつつあるのではないか、ということ。大人になるにつれて経験や知識が増える一方で、新しいものを純粋に受け入れるよりも、自分の中の「既知の情報」と照らし合わせて間違い探しをしてしまう心理が働いているのではないかと思いました。
例えば、『モノノ怪』の独特なアートスタイルや語り口についても、「過去に観た作品と似ているか」「何かのオマージュではないか」と分析的に捉えてしまうことが多い気がします。若い頃のような「ただ感じるままに楽しむ」という姿勢が少し薄れている自分に気づき、この作品を通じて改めて心を開くことの大切さを考えさせられました。
登場人物と物語の謎めいた魅力
主人公である「薬売り」は、どこか掴みどころのない不思議な人物です。控えめな物腰と低い声が、彼の冷静さとミステリアスさを強調しています。過去や目的が謎に包まれている分、彼の言葉や行動の一つひとつに興味を惹かれます。というかもう単純にかっこいいです。多分自分が子供の頃の古畑任三郎のような感じで見ることができれば楽しいのかなと思いました。ちょっと変わった人が事件を解決していくみたいな感じなのかなぁと。
第1話では、とある宿場町を舞台に、そこに巣食う「モノノ怪」と呼ばれる怪異の存在が描かれます。薬売りがその正体を暴きます、その中で重要になってくるのが退魔の剣です。この退魔の剣は彩なら抜くための条件があり、その条件はモノノ怪の「形(かたち)」「真(まこと)」「理(ことわり)」という3つの要素を示し、解き明かしていく独自の展開が魅力的です。ただ敵を倒すのではなく、怪異が生まれた背景や人間の感情が絡み合う複雑な物語が深みを与えています。
怖さと美しさの絶妙なバランス
『モノノ怪』の魅力は、その「怖さ」と「美しさ」が絶妙なバランスで共存している点だと感じました。幽霊や怪異を題材にした作品にありがちな直接的な恐怖演出ではなく、じわじわと迫る不気味さや心理的な緊張感が特徴的です。
例えば、第1話では狭い宿場町の閉塞感や登場人物たちの恐怖心がじっくりと描かれ、観ているこちらまで息苦しさを覚えました。それと同時に、画面に映る色彩や模様がどこか美しく、怖いけれど目を背けたくないという不思議な感覚を味わえます。番傘や花の模様が和風でそれも独特な雰囲気を醸し出していると思いました。
初見の印象と今後への期待
正直なところ、第1話を観終わった時点ではまだ謎が多く、全体像を掴むのは難しいです。というかエピソード完結型なのかどうか、全体的なつながりがあるのかも全くわからないです。しかし、それがこの作品の狙いなのかもしれません。各話が独立したエピソードでありながらも、共通するテーマや世界観があるようで、今後の展開が気になります。
また、薬売りの過去や彼が何者なのか、モノノ怪が人々の心にどう関わっているのかなど、掘り下げられる余地が多く、これからも観続けたくなる予感がします。
まとめ
『モノノ怪』第1話は、一言で言うと「異質で美しい不思議な体験」でした。新しいものに対して心を開く重要性を思い出させてくれる作品であり、独特な世界観や深いテーマ性が魅力です。劇場版に向けて、引き続きアニメ版を追いかけていこうかなと思います。
もしまだ観たことがない方は、ぜひ一度試してみてください。過去の自分と向き合うきっかけになるかもしれません。
本日もお疲れ様でした。明日も素敵な1日をお過ごし下さい。それではお先に失礼いたします。