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脳内麻薬と報酬系の関係とは?

人間を動かすにはアメかムチかのどちらかになると思うのですが(自己成長もある意味アメです)、これには性格的なものがあることがわかっています。

アメで動く傾向は行動活性化システム(BAS)、ムチで動く傾向は行動抑制システム(BIS)と呼ばれ、これを評価する尺度もあります。

今回取り上げる論文は、これらの傾向が脳の特徴とどのように関連しているかについて調べたものです。

行動活性化システムの感受性は脳のμオピオイド受容体の利用可能性と関連している
Karjalainen, T., Tuominen, L., Manninen, S., Kalliokoski, K. K., Nuutila, P., Jääskeläinen, I. P., ... & Nummenmaa, L. (2016). Behavioural activation system sensitivity is associated with cerebral μ-opioid receptor availability. Social Cognitive and Affective Neuroscience, 11(8), 1310-1316.

私達の脳は様々なホルモンで調整されているのですが、その中の一つに内因性オピオイドというものがあります。

これはいわゆる脳内麻薬と呼ばれるもので、多幸感や不安感の抑制、痛みの感受性低下などの働きがあり、手術で使われるモルヒネはオピオイドの一種となります。

この研究では、報酬実験を行い、その時、脳の中のどの部分で、どれだけオピオイドが作用していたかを調べています。

結果として、アメで動くタイプ(BASシステム)人は、報酬や痛みに関連する部分でオピオイドがよく作用していたことが示されています。それとは対照的にムチで動くタイプ(BISシステム)では、オピオイドは関係していませんでした。

このことからアメタイプはオピオイドが良く働くタイプであるなのではないかと述べられています。

不安障害やパニック障害では、オピオイド系がうまく働いていないということも聞きますので、このようなタイプの人は、アメやニンジン的なものでは動きづらいのかなと思いました。

明日読む論文:
オピオイド依存症、痛み、うつ病の交差点における内因性オピオイド:精密医療アプローチの探求
Emery, M. A., & Akil, H. (2020). Endogenous Opioids at the Intersection of Opioid Addiction, Pain, and Depression: The Search for a Precision Medicine Approach. Annual review of neuroscience, 43, 355–374. https://doi.org/10.1146/annurev-neuro-110719-095912

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