見出し画像

気の持ちようは長生きの秘訣?慢性ストレスと免疫系の関係

中年になってめっきり体が弱くなったが、これは若い時に色々と苦労しすぎたせいではないかと考えている。ストレスというのはどうも短期的にも長期的にも体にダメージを与えるものらしい。

今回取り上げる論文は慢性ストレスと免疫系の関係について論じた総説論文。

人間の免疫系内のテロメア/テロメラーゼの動態: 慢性感染症とストレスの影響
Telomere/telomerase dynamics within the human immune system: effect of chronic infection and stress

免疫系は様々な免疫細胞で構成されているが、その中の一つに細胞傷害性Tリンパ球(CD8)と呼ばれるものがある。これは癌細胞やウイルス感染細胞などを破壊する細胞だが、老化に伴ってこのCD8の性質が変わってくることが報告されている。

通常であれば、細胞は自己分裂して、一定の期間が経つと死んでしまう。この死は落ち葉が散るように予め設定されたもので、アポトーシスと呼ばれる。ところが細胞分裂を繰り返した細胞障害性Tリンパ球は、アポトーシスすることなく、ゾンビのように生き延び、必要以上に炎症性サイトカインを作り続けるというのだ。

また細胞の自己分裂能を示すものにテロメアと呼ばれるものがある。細胞分裂を繰り返すたびにテロメアが徐々に短くなっていくのだが、老化や身体的・精神的な慢性ストレスで、テロメアの短縮を促すテロメラーゼの活性が高まり、テロメア短縮が早くなること、さらにそのため、老化した細胞障害性Tリンパ球の割合が増え、癌などにもなりやすくなると。

さらにはストレス管理や瞑想、太極拳などの介入でテロメラーゼ活性を低下させることができると。

Q: 細胞障害性Tリンパ球のことをもうちょっと知りたい。

明日目を通す論文:
CD8 T細胞のホメオスタシスと感染症に対する免疫の加齢による変化
Age-related changes in CD8 T cell homeostasis and immunity to infection

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?