幸せは解像度で決まる?エゴ発達と幸福度
最近、『ゲーテとの対話』という本を読んでいる。内容は若き文学者と晩年のゲーテとの語り合いが記されたものだ。老ゲーテの深い洞察が散りばめられている。
週刊誌の対談記事でも読むような語り口で、フランス革命後の世情やヘーゲル、カントなどの哲学者の様子が語られるのも楽しい。
この本を読んでいて感じるのは、ゲーテが持つ解像度の高さである。人や出来事のありかたについて、微細に、かつ巨視的に、本質をつかみ取り、提示する。
ある研究によれば、幸福な人生を送るためには大事なものが2つあるという。一つは、困難を乗り越えて成長してきたという自己認識と、もう一つは、ゲーテが持つような世界に対する深い洞察力である。
物事や人物のあり方を簡単な成功失敗として捉えるのでもなく、単純な善悪で捉えるのでもない。
より深く、より微細に認識できることが幸福な人生にとって大事ではないかというのだ。いわば人物や出来事に対する味覚が大事だということになるのだろうか。
残りの人生がさほど長いわけでもないが、どうにか味わい深い時間を送りたい。
【参考文献】
Bauer, J. J., McAdams, D. P., & Pals, J. L. (2008). Narrative identity and eudaimonic well-being. Journal of happiness studies, 9, 81-104.