コミュ力は遺伝するのか?
コミュニケーション能力はあるに越したことがないと思うのですが、これはどこまで遺伝でどこまでが環境によって決まるのでしょうか。
ある研究では双子を対象に調査を行い、コミュニケーションの様々な要素について、どれが遺伝的影響が強いかについて調べています。
この研究では、コミュニケーション適応性尺度(Communicative Adaptability Scale (CAS))と呼ばれる質問紙を使って、コミュニケーション能力を図っています。
この評価尺度で測っているのは、以下の5つとなります。
社会的な落ち着き
機転
明確な表現
社会的確認
適切な自己開示
社会的な落ち着きは、どれだけ落ち着いてコミュニケーションをとれるかの尺度で、例えばパーティや初対面での会話などで落ち着いてコミュニケーションを取れる力になります。
機転は状況に合わせて場を和ますことを言える能力で、失敗したような状況でも笑いを取れるような人が機転の高い人に当たります。
明確な表現は文法や語法、言葉の表現を適切に使える能力で、自分の伝えたいことを言葉足らずとならずに伝えられる能力になります。
社会的確認はコミュニケーションの状況を確認しながら話を進められる能力で、相手がどう思っているか、話が伝わっていうかを気遣って話せる力になります。
適切な自己開示は、TPOに応じて自分のことを適切に開示できる能力になります。
結果としては、以下の遺伝率が示され、コミュニケーションに関わる要素によって違いがあることがわかりました。
社会的な落ち着き:88%
機転:90%
明確な表現:0%
社会的確認:36%
適切な自己開示: 0%
つまり、コミュニケーション場面における緊張のしやすさや機転のきかせ方はセンスが問われるものの、言葉の選び方や相手への気遣い、自己開示は学習によって改善の余地があると考えることもできます。
コミュ力は生まれ持ったものもありますが、変えられるものもあるようです。生まれ持ったカードを上手に使って生きていきたいものです。
【参考文献】
Beatty, M. J., Marshall, L. A., & Rudd, J. E. (2001). A twins study of communicative adaptability: Heritability of individual differences. Quarterly Journal of Speech, 87(4), 366-377.