運に対する課税?
ヒトの不幸を見るのは悲しい。世の中の悲しい事件が起これば、犯人を叩くのは簡単だけど、その背後にある世の中の不条理を見逃すのはどうかと思う。そういったこともあり、世の中の仕組み、とりわけ税制、所得の再分派について興味がある。
今回取り上げる論文は、最適な税制とは何かという点について数学的モデルを用いて論じたもの。
Generalized social marginal welfare weights for optimal tax theory
最適税理論の一般化された社会的限界厚生の重み
正直なところを言うと難しすぎて内容は理解できなかった。子引きのピケティの論文を読んでみると、この論文で示されているアイディアは「運」に対する課税が含まれているという。
確かに「運」というのは資産を作る上で重要な役割を果たす。例えば所得上位5%の家に生まれた子供と、所得下位5%に生まれた子供では、確率論的に上位1%の所得層へ移行する確率は同じではない。
ビジネスにおいても、努力以外にも運が大きく作用するので、成功者の所得はすべてが本人の努力に還元はできない。運によって得られた利益は社会に還元されるのが筋というような気もする。
IQが上位5%の遺伝子を持って生まれてくるのと、下位5%の遺伝子を持ってくるのも、これも高所得になる確率は異なってくるので、ある種の社会的グループは税制においても何らかの配慮を受ける必要がある。
などなど、運に対する課税というのは、理には適っているなあと思う。
Q: ベーシックインカムについての議論、研究ってどうなってるんだろう?
明日目を通す論文:
福祉の罠を取り除く:フィンランドのベーシックインカム実験における雇用の反応
Removing welfare traps: Employment responses in the Finnish basic income experiment
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