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LF/HFは指標として適切ではない?

私達の体には自律神経系というものがあります。これは体の調子を整えるもので、交感神経系と副交感神経系で構成されます。

この自律神経系の働きを見る指標としてLF/HFというものがあります。LFは心拍データの低周波成分で、HFは同じく高周波成分になります。従来の考え方としては、LFが交感神経系、HFが副交感神経系の働きを反映しているため、LF/HFの割合を見れば、自律神経系が交感神経優位になっているか、副交感神経優位になっているかがわかると考えられていました。

今回取り上げる論文は、この考え方が誤っていると論じたものになります。

交感神経の心緊張の指標としての低周波心拍数変動の有用性:先行研究の再分析に重点を置いたレビュー
The utility of low frequency heart rate variability as an index of sympathetic cardiac tone: a review with emphasis on a reanalysis of previous studies

この論文によるとLF/HFが自律神経系のバランスを表すという前提として、

・LFは交感神経系の活動を反映する
・HFは副交感神経系の活動を反映する
・交感神経系と副交感神経系はどちらかが上がればどちらかが下がるという関係になっている

というったものがあったのですが、いずれも間違っていること、

具体的には

・LFは交感神経系の活動を反映しない
・副交感神経系の活動はLFとHFの両方に影響する
・交感神経系と副交感神経系の関係は複雑で、状況次第で、正の相関、負の相関、無相関の様々な関係性を持ちうる

ということが述べられています。

LF/HFが自律神経系のバランスの指標となるという概念は1980年代から90年代にかけて発表されたものですが、その後様々な実証実験から、この指標が自律神経系のバランスを示さないことが論じられています。

Q: LF/HFの絶対値について言及されていたが、これはどのようにして求めるのか?

明日読む論文
心拍数変動のパワースペクトル分析: 神経調節メカニズムを調査するツール
Power spectrum analysis of heart rate variability: a tool to explore neural regulatory mechanisms.

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