解離性人格障害の脳科学
「わたし」というのは、いったいどのようなものなのだろうか。自分と言っても、それは一枚岩ではない。親の前での自我と職場での自我は違うし、反応パターンも行動パターンも同じではない。とはいえ、それでも「自分は自分」という自我の一体性は保たれている。
この自我の一体性がなくなり、複数の「わたし」が独立して活動してしまうような状態は解離性人格障害と呼ばれる。過去に多重人格障害と呼ばれたものである。では、解離性人格障害では脳活動はどのようになるのだろうか。
ある研究では過去に行われた研究を紐解き、解離性人格障害では特徴的な脳活動が見られることを述べている。
解離性人格障害では、人格が乖離している時(標準的な人格ではない時)、前頭前野の活動が低下し、デフォルト・モード・ネットワークの活動が増加しているという。
前頭前野は知性の中枢で、お酒や薬物などによるトランス状態て低下する領域である。またデフォルト・モード・ネットワークは、自我の中枢で、過去と今現在の「自分」の情報が処理される場所でもある。
これがなぜ人格の乖離につながるかについては、おって文献を探っていきたい。
【参考文献】
Modesti, M. N., Rapisarda, L., Capriotti, G., & Del Casale, A. (2022). Functional Neuroimaging in Dissociative Disorders: A Systematic Review. Journal of personalized medicine, 12(9), 1405. https://doi.org/10.3390/jpm12091405
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