心拍変動はどのようにして測ることが出来るのか?
人間の心拍というのは機械で動かすように一定なものではなく、ある程度ばらつきがある。時にはゆっくり時には早くとある程度のランダム性を持って動いている。心拍変動というのは、このランダム性を図る指標である。今回取り上げる論文は心拍変動の基本的な仕組みとその指標について論じた総説論文。
心拍を動かすのは洞房結節と呼ばれる部位だが、この部位は様々な要因によって影響される。それは交感神経刺激であったり、副交感神経刺激であったり、さらには概日リズム、睡眠周期、代謝、体温およびホルモン系の変化、血管圧受容器などの影響も受ける。
また心拍変動の指標には以下のようなものがある。
以下に、心拍変動を示す主な指標とそれらの意味を示す一覧を示します。
LF (Low Frequency)
低周波数帯域の心拍変動を表す指標。交感神経活動に関連する。
HF (High Frequency)
高周波数帯域の心拍変動を表す指標。副交感神経活動に関連する。
LF/HF
LFとHFの比率を表す指標。交感神経と副交感神経のバランスを示すと考えられている。高い値は交感神経優位を示し、低い値は副交感神経優位を示す傾向がある。
SDNN (Standard Deviation of NN intervals)
心拍間隔の標準偏差を表す指標。心拍変動の全体的な変動度を示し、自律神経の活動性や心臓の健康状態を評価するのに使用される。
RMSSD (Root Mean Square of Successive Differences)
連続する心拍間隔の差の平方根の平均を表す指標。副交感神経活動に関連しており、心拍変動のリズムや変動のパターンを評価するのに使用される。
NN50
50ミリ秒以上の連続する心拍間隔の差の数を表す指標。心拍変動の非線形性を評価するのに使用される。
pNN50
NN50の割合を表す指標。心拍変動の非線形性の程度を示す。高い値は非線形性の増加を示し、副交感神経活動の増加を反映する場合がある。
Q: 血圧が上がると血管内の圧受容器が反応して心拍変動にフィードバックがかかるという。この辺をもう少し詳しく知りたい。
明日目を通す論文:
呼吸性洞性不整脈:感情調節不全および精神病理学のトランス診断的バイオマーカー
Respiratory sinus arrhythmia: A transdiagnostic biomarker of emotion dysregulation and psychopathology
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