血漿を薄めることで認知機能が改善する?
年齢に抗いたい、一生元気でいたいというのは人間の本能のようなものかもしれないが、果たして加齢に抗う方法はあるのだろうか。
一説によると若い血液と老いた血液を交換すると、認知機能が改善するともいう。これは若い個体と老いた個体を繋いで血液交換するような形で行われる。当然実験で行われているのはマウスであって人間ではない。とはいえ、一定効果があることも報告されている。
今回取り上げる論文は、大事なのは若い血液を入れることではなく、老いた血液を出すことではないかということを検証したものである。
この研究では老いたマウスを対象に血漿交換をおこなっている。血漿というのは、血液から白血球や赤血球などの細胞成分を除いた液性成分であり、血液全体の55%を占める。
この老いたマウスの血漿成分を生理食塩水や血清アルブミンに置きかけることで認知機能がどう変化するかについて調べたのがこの実験である。
結果として、認知機能が改善しており、このことから大事なのは若い血液を入れることではなくて、老いたマウスの血漿を薄めることではないかと論じられている。
考察として、老いたマウスの血漿中に含まれる特定の成分が脳の炎症症状を誘発しており、それゆえ血漿を薄めることで炎症症状が軽減され認知機能が改善されるのではないかと論じられている。
Q: 老いたマウスの血漿中のどの成分が脳の炎症症状を引き起こすのか?
明日目を通す論文:
脳の老化と認知機能低下に対する末梢細胞老化の影響
Effect of peripheral cellular senescence on brain aging and cognitive decline