見出し画像

自己超越性とその測り方

人間、欲がなければ生きていはいけないが、自分の人生が自分の欲だけで終わってしまうのは、あまりに切ないものがある。

心理学的には自己超越性という概念があり、これは端的に言えば自分をより大きなものの一部として捉えるような心持ちである。より具体的に言えば、自分の体の境界を超え、自分が生きている時間を超え、さらには物質的概念すら飛び越え、自分を超越的に捉える傾向が自己超越性と呼ばれるものになる。

この自己超越性は、ある心理学的検査で定量的に評価することができるが、メンタルヘルスとの関連も深いことがわかっている。老年期のものを対象にした場合、自己超越性が高いほど抑うつ傾向が低いことが報告されていする。しかしより広い対象で見てみると、自己超越性の高さは摂食障害や大麻の使用リスクを引き上げることも報告されている。

さらに自己超越性は遺伝的傾向が高く、セロトニンやドーパミンに関連する遺伝子の影響がうかがわれてもいる。

欲求の5段階モデルを提唱したマズローは晩年、自己実現の上に来るものとして自己超越性を提示したが、遺伝的傾向が影響することを考えると、自己超越性を獲得するにはセンス(?)のようなものが必要にも思われる。

この論文は2010年のものではあるが、直近の研究についても探っていきたい。

【参考文献】
Garcia-Romeu, A. (2010). Self-transcendence as a measurable transpersonal construct. Journal of Transpersonal Psychology, 42(1), 26–47.


いいなと思ったら応援しよう!