認知疲労:グルタミン酸が溜まって脳が働かなくなる?
どんなに頭がいいヒトでも一日中頭を使っていると、さすがにヘバッてきて、ミスも増えて生産性も落ちてしまいます。
このような現象は認知疲労と呼ばれているのですが、脳科学的にはどのようなものとして説明できるのでしょうか。今回取り上げる論文は、この認知疲労に関わる仕組みについて解き明かしたものです。
A neuro-metabolic account of why daylong cognitive work alters the control of economic decisions
一日中の認知作業が経済的意思決定の制御を変える理由の神経代謝学的説明
この研究では被験者を二群に分け、片方には丸一日簡単な課題を、もう片方には丸一日難しい課題をさせます。すると難しい課題を行った群では認知に関わる脳領域にグルタミン酸が溜まること、さらには意思決定課題を行わせると、簡単な意思決定を選ぶ確率が増えたというのです。
これは認知課題を行わせることで、認知に関わる脳領域(外側前頭前野)にグルタミン酸がたまり、頭を働かせるコストが高まったことが背景にあるのではないかと論じられています。
また難しい課題を行うことで生じる認知疲労は以下の図式で説明できるのではないかと論じられています。
認知パフォーマンスを維持するためにはグルタミン酸を貯めないように、こまめに休みながら仕事をするのが大事なのかなと思いました。
Q: 精神疲労から回復するためにはどうすればよいのか?
明日読む論文
精神疲労にどう取り組むか:考えられる対策とその根底にあるメカニズムの系統的レビュー
How to tackle mental fatigue: a systematic review of potential countermeasures and their underlying mechanisms