見出し画像

働き方の哲学から仕事を考える


働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える
·    著者名:村山昇【著】/若田紗希【イラスト】
働き方の哲学から考察する
寓話 三人のレンガ積み


中世のとあるヨーロッパの町。
建築現場に3人の男が働いていた。
【何をしているのか?】ときかれ。それぞれの男はこう答えた。
レンガを積んでいる。最初の男は言った。
カネを稼いでいるのさ!2人目の男は言った。
3人目の男は明るく顔を上げていった。
【後世に残る町の大聖堂をつくっているんだ!】

働き方の哲学によると
①    の男は作業としてレンガを積んでいる。
②    の男は生業、稼業、商売としてレンガを積んでいる。
③    の男は作品、功績、志と考えレンガを積んでいる。
と本には書いてあり、まず自分が仕事に対しどのような軸で仕事を行っているか?を問いている。
勿論③の男のように志を高く仕事に取り組んでいくようにと説いているが、周りの働いている人たちを見ていると、①や②の考えで働いている人も少なくない、そこで少し目線を変えて各男を考察してみようと思う。
 
〇本当に③の男は賞賛されるか?
自己啓発の中での題材のため、勿論③の男が素晴らしいとなるわけだが、果たして仕事をしている中で
理想論や、突拍子な考え方を賛同できるのか?
(新しい考え方に臆病にならないか?も重要になってくる)
 
〇仕事をやらされていると思っている場合。
①    の男は、社畜になんてなりたくないと思っているのではないか?
問題は、レンガを積んでいるという面では一緒であるが、自分軸の考え方で
働く意味が全く異なっていくことである。
やらされていると思っているのでは、どんな仕事も奴隷的な仕事、労役と考えるのではないか?
労役と考えている場合、報酬アップなどでは満足がいかないのでは?
 
〇科学的管理方法(テイラー)
*経済的刺激を活用することで、劇的に労働者の能率を向上させることができた。
非常に構造的、合理的に仕事を捉えており報酬アップが各人のモチベーションにつながるという考え方で考察すると。
①    の男は、今更報酬を上げてもずっと前から生活は苦しんだ何を今更!
②    の男は、報酬が上がればモチベーションも上がる。
③    の男は、報酬が上がったことに感謝し、その報酬でみんなをどう喜ばせようと考える。
今現在も給与の増加=従業員のやる気、モチベーションにつながるという考えはこれに基づく
逆に1+1=2ではあるが、単純な報酬アップがモチベーションにつながるとは考えずらい。
特に①の状態で働いている男は、合理的な判断は受け入れられない可能性が高い
 
〇社会人の人間観(メイヨー)
*生産性は物理的要因や経済的条件よりむしろ職場の人間関係や経営の参加意識、誇り、責任感などによって大きく影響を受けると考え、内発的刺激による勤労意欲の醸成こそが重要と考えた。
この考えは、現在の心理的安全性につながる考えであり③の男の考えがチームを作り夢や希望をもって
仕事に取り組めるのではないか?と推測する。
逆に①や②の男にこのような考えを無理強いしてもなかなか動いてくれないのではないか?
また心理的安全性は大事であるが、どうにもならない時(ピンチの時)は統率を取ってほしいと要求が強くなり全体主義的な判断が正しいと思われる場合がある。
 

〇自己実現の人間観(マズロー)
*人間の欲求を5つの段階に分けて説明
生理的な欲求
安全の欲求
愛と所属の欲求
尊重の欲求
自己実現の欲求
この考えからは、①の男は底辺の生理的な欲求(食べれない)やきちんとした家に住めないなどの欲求が満たされていないから、尊重や自己実現欲求にたどりつけないのではないか?と推測する。
逆に、まず報酬を上げ生理的、安全の欲求を満たせれば自己実現欲求にたどり着くとも考えられる。
物質的な要求のあと、精神的な要求がくるというのも納得がいく。
 
〇XY理論(マクレガー)
X理論は、人は生まれつき怠け者で厳しい処罰で統制しなければ働こうとしない
Y理論は、人は怠惰でも受け身でもなく、適切に動機づけされれば目標達成に向けて努力する。
この考えは、経営者(マネジメントする側)から考察すると面白い
マネジメントする側から①の男を考えると、厳しい処罰で統制しなければと感じる。
またマネジメントする側から③の男を考えると、適切に動機づけされれば目標達成ができると考える。
逆に考えると、マネジメントする側の見方で働く側の考え方が変わるのではないかと思った。
 

〇時間管理のマトリックス(コビィー)
時間管理のマトリックスを見ての通り、①の男は重要度が低い仕事を緊急度的に高く捉え仕事をしていると感じる。またその場しのぎの仕事になっている場合はこの領域から抜け出せなくなる。③の男は重要度が高く、緊急度が少ない領域で働いていることになり少し遊びがあるので余裕を持った考えができていると感じる。
総合的に考察したことをまとめると(マネージメント側から見た場合)
・性悪説で従業員を見るのではなく、自己実現欲求を感じてもらうようなプラットフォームは用意するが、規範に反する行為や行動は厳しく注意しなければいけない。
・経済的な刺激は必要ではあるが、それがすべてではない、従業員からの報酬だけの意見は眉唾もので
 ある程度の物質的な欲求を満たされた条件の後は、動機づけによる欲求を満たす施策が必要
・単純に①②③の男がよいとか?悪いではなく、どのような考えかたでそのような意見になっているのか?を分析しなければいけない。
・センター運営することで規範や規則にないが良いか?悪いか?を判断しなければならない場合がある、安易な道徳心や同調する倫理観などを軸に判断すると判断を間違えてしまうことがある。マネージメントする側は判断を図る軸をストックするとともに、自分軸をはっきり持たなければいけないと感じた。
・仕事の構築を考えた場合、緊急度が高い仕事を常にさせていないか?を確認しなければいけない
 現場に張り付いて、何もしていないと【ぼーっとしているんじゃない!】というような統制でなく
 従業員がやりやすい仕組みをどうしたら造れるか?を共鳴しながら組織をつくることが重要だと思った。
 
次回は、ヘーゲルの哲学から仕事を考えたいと思います。
 
 

いいなと思ったら応援しよう!