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ブックカバーのすすめ 長く愛用できる本革から手作りカバーまで
購入した本たちを本棚にきちんとしまって大切にしていても、紙でできていて空気に触れている以上、どうしても古びてくるのを避けられない。「長い間読まずにいてごめんごめん」とばかりに、時々は外に連れ出して太陽の光を浴びさせてあげるのだが、くたびれた表紙を他人にジロジロ見られたり、背表紙のタイトルから人間性まで値踏みされた上うっかり話しかけられたりはしたくない(本を通じたすてきな異性との出会いをのぞいて)。そこで「ブックカバー」である。
本屋さんのレジでかけてもらう紙カバーも悪くない。それはそれで本屋さんの愛情に包まれていて、買ったばかり鮮度の高いままに本を保存しており合理的である。しかしながら、手ざわりのよいお気に入りのブックカバーは、乱雑なバッグの中で大切な本を守ってくれるだけでなく、おもむろに取り出して本を開くとき、ちょっと余計めに知的で大人っぽい印象を周囲に振りまいているに違いない(うん、きっとそうだ)。
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写真は左から、限りなく黒に近い深い緑色のトレンダーレザー、中央はソファーなどに使われるやわらかな合皮製、右端は無印良品からデニムパッチ用の丈夫な紙で作られたブックカバーである(いずれも文庫サイズ)。
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筆記具で知られるパイロットから発売されていた本革製ブックカバーは、「トレンダーレザー」の名称で展開された製品の一つ。比較的安価ながら、使い込むほどに革表面が飴色に変化して風合いを増し、愛着がわいてくる。
合皮ならではの、くたっとした柔らかさが特徴の黒いブックカバーは、本来はソファーなど家具に使われる生地を転用した一品だ。様々な本の厚みに広く対応できる帯状の作りで自由度が高い。
無印良品の紙製ブックカバーは、デニムパッチに使われる紙で作られている。紙とはいえ当然ながら水に濡れても簡単に破れないほど頑丈である。サラッとした、使うほどに柔らかく変化してくる手ざわりはどこか革製品にも似て、長く愛用できるブックカバーである。
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自宅でオリジナルのブックカバーをプリントアウトすることができる。写真は古くなった表紙をはぎ取って、手作りのブックカバーに交換したもの。ブックカバーのための様々なデザインをPDFで提供してくれるWebサイトがあり、丁寧にブックカバーのための折り方も紹介してくれている。
自宅の本棚には中学生の頃に買った本もある。古本屋さんで見つけた本、風呂の中で読むために分厚くふくれた本もある。そういった古い本たちが、表紙を新しくかけ変えるだけで、いっきに新鮮さを取り戻す。買ったばかりの時のような真新しい気持ちで、もう一度昔なじみの本を手に取りなおすことができる。