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マルマンのスケッチブックと「きまぐれオレンジ・ロード」

いろいろなことにどっぷりハマってしまうことが人生の中でたびたびある私は2021年頃、絵を描くことに没頭していた。朝起きたら描き、仕事から帰ったら深夜まで描き、週末になると一日中絵を描いていた。

写真はその当時よく使っていた小さなスケッチブックとイラスト。100均でも手に入るマルマンのスケッチブックは、色鉛筆を塗り込んでも水彩絵の具をたっぷりの水でにじませても発色がよく、風合いがあってお気に入りの画材である。

マルマン・スケッチブックは私が描く落書きにはもったいないくらい描き心地がよい(マルマン公式では「図案スケッチブック」という)。このスケッチブックに出会う前は、無印良品の落書き帳がお気に入りだった。無地の紙は、やや乳白色でコシがあり裏抜けなどはしなかったが、紙の厚さが薄く、水彩を使うと表面がデコボコに波打ってしまうのがやや難点だった。適度な厚みがあって水彩に十分耐えられるマルマンのスケッチブックの紙質は画用紙そのもの。どこでも比較的手に入れやすく、安価で高品質なのが大きな魅力である。

マルマン「図案スケッチブック」 上が通常版、下がダイソー版

マルマンのスケッチブックはダイソーでの取り扱いがある。黄色を基調色としたシンプルな表紙がダイソー商品。スーパーの文具コーナーなどで販売されている通常版は、おなじみのツートンカラーである。表紙と裏表紙のデザインが異なる以外、頑丈なツインリングも手で触った感触もまったく同じ商品に見える。ただし価格と紙の枚数に違いがある。通常版が24枚で200円前後であるのに対し、100均のダイソー版は18枚と、6枚少ない構成である。

ページトップ写真の中の、2021年当時描いたイラストで、1980年代に「週刊少年ジャンプ」で連載されテレビアニメ化もされた「きまぐれオレンジ・ロード」の「鮎川まどか」を描いていると分かってくれる人は、完全におじさん世代のはずだが、描いてみたくなったのは、何かのきっかけで唐突にこみあげてきた懐かしさから、原作者まつもと泉氏の近況が気になったのもあってのことだった。以前から病気療養中のニュースは知っていたが、前年の2020年に永眠されているのを知って大きな衝撃を受けた。

「きまぐれオレンジ・ロード」は、高橋留美子氏の「めぞん一刻」とともに、原作もアニメも、中学生だった当時の私がどっぷりハマってしまった作品の一つだった。

アニメで鮎川まどか役をつとめた鶴ひろみさんの声はイメージにぴったりだった。鶴ひろみさんも残念ながら若くして亡くなってしまった。2008年公開のアニメ「RD潜脳調査室」で演じたキャラクター、評議会書記長という役で、あらためて鶴ひろみさんの声の魅力を再確認したばかりだった。本当に残念でしかたがない。

アニメのキャラクターデザインは、関連ビジュアルをほとんどすべて手がけている高田明美氏によるもので(ほかにも「機動警察パトレイバー」や「めぞん一刻」など多数のキャラクターデザイン、ビジュアルイメージを手がけている)、この方の描いた鮎川まどかをはじめとする「オレンジ・ロード」のキャラクターはどれも美しくあどけなさがあって、原作者の描いたキャラクターたちのイメージを壊すことなく、さらに魅力を倍増させている。

iPhoneのミュージックアプリの中に専用フォルダを作って主題歌がいつでも聴ける。

中原めいこ、和田加奈子、長島秀幸、池田政典、彼らが歌う主題歌の数々は今では青春すぎて目がくらむほど眩しいが、いつでも口ずさめるほど耳にはっきり残っているし、You tubeなどで現在でも当時のままに聴くことができる。

「きまぐれオレンジ・ロード」は、私を一瞬で中学生の頃の自分に脳内タイムスリップさせてくれる作品である。お気に入りの作家の画風に影響を受けやすかったその当時の私は、原作コミックスの絵柄をまねてよくイラストを描いていた。もちろん「めぞん一刻」の高橋留美子氏とまつもと泉氏の絵柄はまるで違うものなのだが。30年も過ぎて当時を思い出すようにスケッチブックに描く絵は、もはや当時のものではないが、絵を描いている自分はこれから何を目指しているのか、そんなことすら頭から消え去ってしまうほど絵を描くことを楽しんでいた頃が懐かしい。

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