【コラム】「カビを落とし切れる」と思うのは間違い
浴室のなかで最もカビやすいのは、バスタブやバスフロアなどの素材のつなぎ目にある「ゴムパッキン」です。
入浴時に体を洗っているとき、シャンプーの石鹸カスや皮脂は、知らぬ間にゴムパッキンに引っかかって、浸透してしまいます。
カビは石鹸カスや皮脂を好むので、それらが浸透したゴムパッキンのなかで増殖し、いずれ黒カビに変化します。
黒カビを発見したとき、「カビ取り剤を使えば、完全に落とし切れる」と思っている人がいるかもしれません。しかし、実はそうではないのです。
カビはゴムパッキンの表面に付いているだけではなく、すでにゴムパッキンの内部に侵入しています。
元は白かったゴムパッキンが黒ずんで変色してしまったとき、 その原因はカビです。カビは浴室の素材そのものと合体して、「違うもの」に変身させてしまいます。
また、ゴムパッキンだけではなくタイルにも黒カビが現れることがあります。
そのとき、黒カビが付いたタイルをカビ取り剤で掃除しても、カビを落とし切ることは難しいでしょう。
ゴムパッキンと同じように、タイルの内部にまでカビが浸入しているからです。
私がこれまでリフォームしたお宅で、カビが多い浴室のタイルは割れていることがありました。
それは、本来は「耐久性が高いタイル」でも、カビによって「割れやすいタイル」に変化(劣化)し、少し力を加えただけで割れやすくなってしまうからでしょう。
このようにカビは素材そのものを変化させてしまいます。
一度そうなってしまった素材は、リフォームしなければ元通りには戻せません。