エモいって何？-50歳上司からの質問について-

うちの会社は12時キッチリにみんなで昼休みに入る会社なので、大体午後3時頃は昼休みと定時のちょうど中間。なのでタバコ休憩や軽くティーブレイクしたりなど職場の雰囲気が全体的に弛緩する時間になる。そんな先日の水曜日の午後3時頃、50歳男性の課長から神妙な面持ちでこんな質問をされた。

「〇〇くんさ、エモいってあるじゃない、あれって結局どういう意味なんだろう。インスタ映えするってこと？」

うーん、ちょっと合ってるけど絶妙に違います課長、というかどうしたんですかいきなり。でも僕、そんな質問待ってました。

僕はいわゆる「エモい」ものが好きです。
Apple Musicに「エモ」というプレイリストを作りエモい曲をかき集め、昔住んでいた街をふらっと散歩しては感傷に浸り、もちろんSNSでエモい風景や名言を見つけた時はいいね•保存は欠かせません。

また、常日頃から抽象的なフレーズの持つ意味を考察することが好きな僕は、当然「エモい」についても、その全体像を客観的に説明できるくらいには考えていたので、日頃の考察の成果を披露する絶好のチャンスです。

「そうですね、インスタ映えしているものの中にも、エモいものはあります。でもエモい＝インスタ映えではないというか。
『エモい』を一言で言い表すとしたら、美しいもの、懐かしいもののうち、刹那的でちょっとチープなものだと思います。
日本って昔から言葉では言い表せない感情を「趣深い」とか、書き言葉だと「筆舌に尽くしがたい」とかって表現しますよね。
エモいもそれと同じで、言葉では言い表すのが難しい感情をエモいと表現しているんです。」

「なるほど。」

「これはちょっと余談なんですが、エモいっていう言葉の意味がぼんやりしてるのは、エモいっていう言葉一つでいろんな感情を表現することができるからで、それは「ヤバい」と似てると思うんです。
ピンチな時の「ヤバい」、嬉しくて「ヤバい」、悲しくて「ヤバい」とか色んなヤバいがありますよね。エモいも同じで、綺麗で「エモい」、懐かしくて「エモい」、儚くて「エモい」とか、色んなエモいがあるから意味がぼんやりしてるんですよ」

「ふーんなるほど、難しいんだな。ありがとう！」

会話は終了。何事も無かったかのようにまたPCに向き合い始める50歳の課長。
課長、この話いつから飽きてたんですか？

おわり。