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【有名人になれば幸せになれるのか】

私たちは、テレビやSNSなどで活躍している有名人の姿を見ると、
「いいなぁ、あれだけテレビに出てたらお金もどんどん入って来るんだろうなぁ」
「いいなぁ、あれだけSNSでフォロワーがいて見てもらえれば楽しいだろうなぁ」
と、うらやましく思い、さぞかし幸せなんだろうなぁ、とあこがれますね。

しかし、有名人になればなったで、それだけ多くの人から見られるということですから、ちょっと気晴らしに散歩でもしたいと思ってそのまま街を歩くと、すぐ「あ、あの人テレビに出てる人じゃない!?」ということになりますから、軽く変装して外に出るようになります。昔みたいに気楽に外を歩くことはできなくなります。
また、ちょっとでも不祥事が発覚すると、謝罪しなければなりません。今まで築き上げてきた名声が、一転、地に落ちるのです。引退まで追い込まれる芸能人は毎年のように後を絶ちません。なので、常に、気を張っていないといけないのです。

SNSで人気者になったら、今度は、今の人気を維持しなければと、常に不安に駆られます。ちょっとでも、投稿をサボッたりすると、フォロワーが減ってしまうのではなかろうかと思ったり、ネタが尽きたり、現状を維持するのに苦労します。

無名のときは「有名になれば幸せになれるのに……」とうらやみ、有名になったらなったで「無名時代のほうが気楽でよかったなぁ……」と昔に戻りたくなります。
仏教では、これを「有無同然」といいます。有っても無くても苦しみは変わらないのです。
ちょうど有る人は金の鎖で縛られていて、無い人は鉄の鎖で縛られているようなものです。鎖の材質は違えど、縛られて苦しんでいるという状況は一緒なのです。

お金が有っても無くても、地位が有っても無くても、独身でも結婚しても、子供がいてもいなくても、資本主義でも共産主義でも、容姿が良くても悪くても、日本でもアメリカでも中国でも、暑くても寒くても、昭和でも平成でも令和でも、若くても年をとっても……、どんな人でも「なんで人生は苦しいのかなぁ……」と、愁嘆の声が聞こえてきます。
2600年前、お釈迦さまは「有無同然」とおっしゃられたのですが、どうやら当時から現代まで、これから何年たっても、有無同然の実態は少しも変わらないようです。

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