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ぽんこつ広報がZOOMワークショップで新しい視点を獲得した話

自分(の身の回りにあるもの)を知ること

先日、トナリノ広報部さん主催の「『誰に向けて届ける?』ステークホルダーを分解して考えるワークショップ」に参加しました。(以下WS)

誰に向けてどんな風に、どのようなメッセージを届ければいいのか。その肝心なステークホルダーが一体どんな人たちなのか。ステークホルダー図解を通し、広報コミュニケーション活動を見直し、新たなアイデアを考えるワークショップです。

今回はZOOM上で行われたWSレポを含め、自分のお仕事観みたいなものを振り返りつつ、どんな手ごたえがあったかを書いていこうと思います。

きっかけは文フリ、動機はモチベアップ

このワークショップに参加したきっかけは、きてん企画室の中田一会さんがゲスト講師を務めると聞いたから。中田さんのことは、文学フリマで超クールなおもしろマガジン『工夫』を作っているステキな方として知りました。

その後も、中田さんは様々な場所で広報のお仕事に長く携わってきたということをキャッチし、企業広報1年目の私は食い入るようにnoteをちょくちょく拝読しておりました。

「伝わらないスライド」への処方箋(デザインのあしらいに気をつけよう)|中田 一会(きてん企画室) 

WSを通じて、そんな中田さんのお仕事観に体験として触れることができたら。モチベーションも、こう、俗にいうところの、爆上がりなのではないか。さらに、ほかの受講者の方々の意見も聞けたら、自分の物差しを作っていくうえで非常に参考になるかもしれない。
気後れが追い付く前に速攻で予約を入れました。
文フリとモチベアップ、これが私のきっかけと動機です。

企業広報1年生が感じた、方向性の大切さ

業界系の新聞記者を3年務めて企業広報になり、携わる媒体が紙面から、社内誌やプレスリリースなどに変わりました。

ものを書くこと自体変わりはありませんが、主観を交えずにありのままを書くことよりも、誰にどんな方向性で伝えたらいいか、を意識しなくてはならない場面が増えました。

例えば、長年お付き合いのあったサッカーチームのサポーター向けに、スポンサー終了のプレスリリースを発表しなくてはならないとき。下手に出て炎上してしまっては当社のイメージダウンにつながりかねませんし、地元企業ではない当社を温かく迎えてくれたサポーターの方々に、あまりにも不誠実です。
そこで、地元スポンサーに座を譲ることで、さらに地域に根差したチームになりますように、という願いを込めた方向性の文面にしました。

スポンサーを打ち切ります、と事実をそのまま伝えてしまっては、意図を読者に丸投げすることになり、憶測が次第に真実になりかわってしまう可能性がある。それでは不本意です。この行動の意図と、あくまで「この結果となってしまった」ことを、スポンサーに近い立場から発信して、ひとまずはことなきをえました。WSで中田さんがおっしゃっていた「ターゲットを見据えたら、そこに合わせた角度や方向投げ方を考える」ということはこういうことなのかもしれないなあ、と、感じています。

ぽんこつ広報は業界を知らない

こんな偉そうなことを言っておりますが、私は業界未経験。社内外にメッセージを伝えようにも、専門用語も業界のお作法もわからない。私が担当する社内報を読む社員のほとんどは、業界経験豊富な方々ばかり。私のような別業界から入る専門職は少なく、皆さん中途入社でも必ずといっていいほど関連した業務を経験されています。

他部署に協力してもらって記事を作成したり、新しい企画を立てたり、仕事をするなかで業界の常識がわからず慌てる機会も少なくありません。そんなぽんこつ広報が果たして、「社員のためになる」社内誌を作ることができるのか――。

WSに参加するまで、せわしなく業務に追われながら、漠然とそんなことを考えておりました。

なんじゃいステークホルダー

ということでWSが始まりました。
イベントの題名にもあった「ステークホルダー」。聞きなれない言葉だと思います。私も聞いたときは、すてーくほるだー、すてほる、なんじゃい状態でした。

ステークホルダーとは、ある物事のその周辺で関わりあっている人々のことを指すそうです。今回の大まかな流れは、自分を取り巻くステークホルダーの種類や規模感を洗い出して紙に書き、可視化することでやるべきことを見つけていこう、というもの。

私の場合は、社内報を読む社員、そしてその社員がサービスを提供して関わる顧客。そして広報部署で直接かかわりのあるスポンサー、そしてそのチームのファンの皆様が真っ先に思い浮かびました。ステークホルダーがなんとなく見えたら、実際に紙へ書き入れていきます。

この図を作成していく際に非常に重要なのは、具体性。その人々が何人いるのか、数や箇所、規模感を把握しながら、中心に置いた自分との距離を考えなくてはいけません。これがとても難しかった。

概念的に社員の組織図は知っていたものの、部門に総勢何人社員がいるのか、その人たちがどんなところで働いているのか、なにを考えているのか、私はまったく知りませんでした。なので、これを距離に置き換えて、社員の人々は中心より少し遠くに書き入れました。

そして対照的に、広報部隊がマターとなっているスポンサー関係、とくにサポーターを近くに置きました。企業公式Twitterにコメントやいいねをこまめにくれるサポーターは、私にとって社員よりも身近に感じるステークホルダーだということが明らかになったのです。

中田さんのひとことに閃き走る

「社員が知りたいこと」以前に、もっと私が社員を知るところからスタートしなくてはならないなあ。具体性をまったく帯びていないステークホルダーの分布図を作りながら痛感しました。

非常に大きい宿題を見つけてしまったと、ちょっぴり途方もない気持ち。WS参加者の皆様も、素敵なつながりを次々と披露してらっしゃる。非常に勇気づけられるとともに、皆様の素晴らしい活動に感動しながらも感じる、妙な焦り。

そんなとき、フィードバックの時間に中田さんが私の図を見てふと、言いました。「外部の人と、社員を結び付けるような仕組みを作ることはできないか」。

そのとき、閃き走る。
そうです、たしかにそうなんです。

業界の知識を問われる場所に身を置こうとするから前途多難なのであって、「外からみた会社のイメージ」は、社員の人々が持っていない価値観のひとつだ、ということに気付きました。

広報活動を通じてつながっているサポーターなどの「外部から見た会社の姿・イメージ」を、社員へ伝える。他者を通じて自分の仕事の価値を再発見する。それが社員のモチベーションアップに通じるのではないだろうか。いまの私でもできることあるじゃん。大発見です。目から鱗が落ちました。

あなたも、「すてほる」?

今後の自分の道筋として、「外から見た会社の姿」を社員に伝えモチベーションアップを図れるような「外と中をつなぐ」企画について社内報の立案をしていくとともに、業界への知識を並行して学んでいけたらいいかな、と思っています。

WSを通じて、自分の身の回りに散らばる色々なものを見直すことで、新しい角度からの発見がありました。改めて開催してくださった皆様、そしてアドバイスをくださった中田さんに、この場をお借りして感謝をお伝えしたいと思います。

そして、この記事をご縁があって読んでいただいた皆様。広報という枠組みを超えて、あなたの周りを取り巻く人々をリストアップすることで、何かが見えてくるかもしれません。私にとってワークショップでの体験は、すてほる、自分の既存の見方を捨てて(すて)、自分の在り方を掘り下げる(ほる)ものでした。

そのときはぜひ、私もお手伝いをさせてください。新しい視点を、一緒に探しにいきましょう。

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