入試への「情報Ⅰ」追加について琉球大学が受験生へメッセージを発表
11月30日、琉球大学は令和7年度大学入学者選抜に新科目「情報Ⅰ」を追加することについて、受験生向けのメッセージを公開しました。
令和4年度の新学習指導要領から導入された新科目「情報Ⅰ」では、これまで多くの高校生が学習していた「社会と情報」の内容に加え、PythonやJavaScript、VBAなどのテキストプログラミングを学習することや、統計やデータ処理の基礎を学習します。
新科目であることや学習範囲の拡大から教員不足や教材不足が言われ、大学入学共通テストへの追加については受験生の負担増が言われるなど、受験生本人にとって不安な状況が見られます。
本来、このような不安は国や大学入試センター、そして通学している高校が取り除くべきですが、この度琉球大学が受験生にメッセージを公開し、とても画期的だと思いましたので共有させていただきます。
なぜ情報Ⅰを入試に追加するのか、なぜ情報Ⅰを勉強する必要があるのか、丁寧に疑問に回答してくれています。
(以下、「琉球大学を目指すみなさんへ 令和7年度琉球大学入学者選抜における 「情報Ⅰ」の活用について」から引用)
なぜ新教科「情報Ⅰ」が必要なのか
みなさんの中には「自分が受験のときに教科が増えるなんて・・・」と思っている人もいるでしょう。大学入学共通テストに新しく教科が追加されるのは,前身の大学入試センター試験,共通一次試験を通して初めてのことです。これには次のような理由があります。
Society5.0 超スマート社会がやってくる
Society5.01とという言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは「超スマート社会」とも呼ばれ,AI,ビッグデータ,IoT等の先端技術が高度化して,社会に浸透し,社会の在り方そのものが大きく変わった新しい世界のことです。この社会はもう目の前に迫っており,みなさんは将来的にこの新しい世界で生きることになります。このような世界では,ただ情報を集めた知識だけ持っていて,その情報に振り回されるだけでは,「適応できている」とは言えないでしょう。その膨大なデータを有効活用し,数理的に扱い,その他の知識と結び付けて新たな知識や価値を生み出すことで,「適応する」ことができるようになると考えられます。
データを扱う能力・スキルはみんなに必要
新しい社会に適応して生きるために必要な能力・スキルですから,分野を問わず,すべての大学生が適切にデータを扱えるようになる必要があります。そのために今,教育が変わっています。その一部が,高校で「情報Ⅰ」が必修化されたことです。そして,それがどの程度身についているのかを評価するために,大学入学共通テストの「情報Ⅰ」が課されることになりました。大学入学共通テストで「情報Ⅰ」を課すことで,大学入学後の教育のための準備が,どのくらいできているのかを評価するのです。
琉球大学の取り組み
みなさんが学んできた,データを扱う能力・スキルは入試で評価されて終わりではありません。むしろ社会に出てからより必要になる能力・スキルなので,大学ではさらに磨きをかけます。琉球大学では,すべての学部の学生が,「データを分析し,その中にある情報や知識を読み取り,それを基に論理的に思考して解釈し,さらに議論をすることができるようになるための科目」を履修します。そして,卒業までに「数理的な思考力」と「データを分析する能力・スキル,活用する能力」を身に付けることを目標としています。 琉球大学は,文部科学省の事業である「島嶼地域社会の自律的・持続的発展に向けた地域共創型数理・データサイエンス・AI教育モデル普及展開事業」(社会科学分野,ダイバーシティ)に認定されており,データを扱う能力・スキルについての高度な教育を,広く深く受けることができます。
まとめ
みなさんが高校で身に付けた能力・スキルは,大学入試において評価され,それが大学でさらに磨かれ,Society5.0の中でよりよく生きるために,みなさん自身が活用していくことになります。 「情報Ⅰ」が大学の入学者選抜に取り入れられた理由は理解いただけたでしょうか?琉球大学だけでなく,多くの大学が「情報Ⅰ」を入試で課しています。それだけ今後のために必要な能力であると,国も大学も考えているのです。このことを理解し,日々の学びを大切にしてください。