劉備はすごい この年になって実感する(記事70)
映画にしてもドラマにしても、見た時の年齢や環境、心境によって見え方が変わってきます。マンガや小説もそうです。
私は子供の頃から『三国志』が好きでしたが、物語前半の主人公ともいえる劉備はあまり好きではありませんでした。諸葛亮を迎え入れるまでは「頑張っているけど空回りしている可哀そうな人」ですし、赤壁の戦い以降は「ちょっと卑怯なペテン師」のようにも思えてきて。
若い頃の私にとっては、はっきり言って劉備はかっこよくなかったです。
でも、50歳を手前にした今思うと、劉備はすごい人だと実感します。
私は最近、体力がますます低下し、記憶力も衰え、目も老眼になり、肩はこるし腰は痛くなるし、酒も弱くなったし、髪は抜けるし白くなるし、家族が後ろから撮った写真を見るとザビエル化が進んでいるし…。
身体上の衰えにともない、精神的にも老化が進んでいると実感しています。若いころはどうしてあんなに元気だったのだろう、と自分が信じられなくなるくらい、今はいろいろな事に対して消極的です。何をやるにも「面倒くさい」が先に立ちます。
それに対して劉備は、呉と連合して曹操を破った赤壁の戦いの時(208年)、すでに47歳。今の私の一歳下です。
蜀(四川)で初めて確固たる基盤を得た時には既に53歳(214年)でした。
しかも1800年も昔(日本は弥生時代)なので、今の我々よりももっと老いていたのではないかと思います。
もうあきらめて誰かの傘下に入る、という選択肢は常にあったはずなのに、中国中をかけ巡って中年、というより初老になってもまだ挑戦し続けたパワー、まったくすごいです。私ならとっととあきらめて誰かの傘下で静かに暮らす道を選ぶと思います。
そんな劉備に感心しつつ、「劉備が独り立ちした時と同じくらいの年齢だ。私も頑張ろう」と思えないところが、やっぱり老いたなあ、とつくづく思います。
今回の画像は『三才図絵』から劉備(蜀漢照烈皇帝)の肖像です。