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中国は日本に攻めてくるのか 

新年早々、おかしなことを書いて目立とうとしている、と思われるかもしれませんが、一応まじめです。少し敏感な内容になるので有料記事にしようかとも思いましたが、一人でも多くの人に読んでほしいと思ったので一般公開にします。

昨日、ある方の記事を読んでとても感銘を受けました。
中国が日本に攻めてきたらどうするか、という御夫婦の会話です(勝手に引用するのは気がひけるので、詳述は避けます)。


「中国は日本の領海を頻繁に侵犯している困った国だ。いずれは尖閣諸島を乗っ取るつもりだろう。もしかしたら沖縄やその先にも侵略の手が伸びるかもしれない。中国は最も警戒しなければならない仮想敵国だ」

こう思っている日本人はけっこういるのではないでしょうか。
ここまでではなくても、「中国は危険な国」「中国は領土的野心が大きい覇権主義の国」といった見解はかなり浸透しているのではないかと思います。

でも、逆を考えてみたらどうでしょう。
尖閣諸島は、日本にとっては日本の領土ですが、中国にとっては中国の領土です。日本がいくら自国の領土だと主張しても、領土問題は明らかに存在しています。
それを前提に先の文の「中国」と「日本」を入れ換えたら、多くの中国人が抱いている見解になります。
つまり
「日本は中国の領海を頻繁に侵犯している困った国だ。いずれは釣魚島を乗っ取るつもりだろう。もしかしたら台湾やその先にも侵略の手が伸びるかもしれない。日本は最も警戒しなければならない仮想敵国だ」

日本人からしたら「日本は尖閣諸島を守るだけだ。中国を攻めるなんて馬鹿げた話だ」と思うかもしれませんが、中国人からしたら「中国は釣魚島を守るだけだ。日本を攻めるなんて馬鹿げた話だ」ということになります。

多くの日本人は「日本は平和を愛し、世界平和にも貢献している」と思っています。
でも、多くの中国人(単純に人口比で較べれば日本人の十倍以上に相当する中国人)も「中国は平和を愛し、世界平和にも貢献している」と思っています。

そして中国には日本に侵略された過去があるので、「日本は平和を愛する国」と聞いたら多くの中国人が「バカを言うな」と思うでしょう。「中国人は平和を愛する民族だが、日本人は好戦的な民族だ。豊臣秀吉も倭寇も抗日戦争も、全て日本が大陸にしかけたことではないか」と反論してくるはずです。

逆に日本人が「中国は平和を愛する国」と聞いたら「バカを言うな」と思うでしょう。「中国はウイグルを侵略したではないか。台湾にも侵攻しようとしているし、今でも着々と覇権を拡大している」と反論するはずです。

ここで歴史やウイグル問題、台湾問題の是非を論じるつもりはありません。
重要なのは、日本が中国を危険だと思っているのと同じかそれ以上に、中国は日本を危険だと感じている、ということです。

「隣国になめられるな」「隣国が攻めてくるかもしれない」「防衛のためにはそれなりの軍備が必要だ」
お互いの国でこういった論調がエスカレートしたらどうなるでしょう。

でも、本当に中国が日本を攻撃すると思いますか?
冷静かつ客観的に考えたら、日本が先手を打って中国を攻撃することはないのと同じように、中国が先手を打って日本を攻撃することはありえません。中国にはその必要がないですし、メリットもないからです。

戦争になる可能性がないのに戦争に備えて、結果として対立を招くというのは、全く愚かなことです。今必要なのは戦う準備ではなく、対立を解消することです。
政治家は外交によって領土上の衝突を極力小さくしていくべきであり、メディアも中国脅威論を吹聴して国民を煽るべきではありません。
(そもそも、尖閣諸島の領有権は「棚上げ」されていたはず。それを一方的に「国有化」してしまった日本にも大きな問題があるのでは?)
そして国民は、扇動に惑わされることなく、敵だと思っている国の考えにも耳を傾けてみるべきです。

日本の常識的な考えから少し距離を置いて、冷静な視点で国家間の矛盾を考えた時、「中国脅威論」とか「中国が攻めてくる」といった論調がどれだけ無意味で、しかも日本にとって危険なことか、理解できると思います。

中国は外からの情報を規制しているので、知識に偏りがある人はとても多いです。
一方の日本はどんな情報でも入手できる恵まれた環境にあります。それなのに、こと国際関係においては自国の主張だけを信じて視野を狭くしている人が多いように思えます。これはあまりにももったいないことです。

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サノマ(中国生活をつづったり、写真・画像を整理するノート)
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