【トンデモ】CERN衝突型加速器の再稼働がタイムトラベルを引き起こしたという証拠はありません。

2022年7月5日、CERNの素粒子衝突型加速器の実験が再開されたことで、フランスとスイスの国境沿いにある組織本部でタイムトラベルが発生したのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。そのようなことが起こったという証拠はありません。

大型ハドロン衝突型加速器(LHC)のアップグレードは、 #霊能者#超能力者#破滅論者 、自称 #予言者 達の想像力をかきたてるものでした。この現象に関連する人気のハッシュタグや用語には、 #マンデラ効果 、ポータル、 #5次元#タイムシフト / #タイムジャンプ 等があります。

#タイムトラベル の主張は、2022年7月7日にFacebookの投稿に登場しました。冒頭は以下の通り:

CERNは私達の目の前でタイムトラベルをしたのか、それとも実は生中継していたと嘘をついたのか? どうなってるんだ...、と思うのですが、皆さんが判断して下さい。教えて下さい。笑
#CERN #WHATDAYISIT

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/07/fact-check-no-evidence-restart-of-cern-collider-caused-time-travel.html 

執筆時のFacebookでの投稿は以下のような感じでした:

(出典: 2022/07/08 金曜日 17:11:18 2022 UTCに取得されたFacebookのスクリーンショット)

65秒の早回しの映像は、2022年7月5日の実験再開のライブ映像配信中に背景に現れたCERN(名称はフランス語のConseil Européen pour la Recherche Nucléaire、欧州原子力研究会議の頭文字に由来)のディスプレイを映し出すところから始まっています。そこには、衝突型加速器が再稼働してから僅か3日後の2022年4月25日という日付が記されています。赤い楕円が目印で、"April? "と思考中の絵文字🤔が添えられています:

(出典:2022/07/08 金曜日 21:42:29 UTCに取得したFacebookのスクリーンショット)

次にナレーターが登場し、CERNのALICE実験の画面に映し出された別の日時を指差して説明を始めます。この時刻--15時19分(午後3時29分)--もまた、タイムトラベルが発生したことを示す指標であると彼女は主張します。2022年7月5日という日付は、CERNでの再起動が起こった時なので問題はありません。欧州では、日/月/年(形式)の表記(なの)で、2022年7月5日と表示されます。(一方、)アメリカでは、月/日/年(形式の表記ですから)、2022年5月7日となります。

2枚目の画像は、現地時間午後4時47分に行なわれた再始動後の質疑応答の様子です。1時間以上前の時刻が表示されているため、タイムトラベルの証拠と主張しています:

(出典:2022n年7月8日 金曜日 21:59:41 UTCに取得したFacebookのスクリーンショット)

ビデオで指摘された時間の参照が時計からだった場合、ナレーターはタイムトラベル事件の始まりを持っているかもしれませんが、それは、これらが何であるかではありません。ディスプレイは、LHCの様々な側面の性能を監視しています。衝突型加速器で当時何が起こっていたかを示すスナップショットとして考えてみて下さい。

再稼働前

公式のリスタートの前と後 - CERNのウェブサイトに投稿されたライブストリームのビデオは、チェックアウトする時間の参照が沢山含まれています。ビデオの10:41で、画面左上の時計は午後4時頃を示しています:

(出典:2022年7月8日 金曜日 22:15:14 UTCに取得したFacebookのスクリーンショット)

その約1分後、動画の11:39に、壁の時計とレポーターの腕時計が午後4時過ぎであることを示しています:

(出典: 2022年7月8日 金曜日 22:21:22 UTCに取得したFacebookのスクリーンショット)

約42分後の映像53分1秒、刻々と更新される時計が表示されたコンピューター画面には、16時44分(午後4時44分)という時刻が表示されています:

(出典:2022年7月8日 金曜日 22:37:30 UTCに取得したFacebookのスクリーンショット)

同じ画面の拡大画像はこちら。少しぼやけていますが、2022年7月5日(⇦ママ) 16:44:19、つまり午後4時44分(プラス19秒)と読み取れます:

(出典: 2022年7月8日 22:37:30 UTCに取得したFacebookのスクリーンショット)

再稼働後

さて、ライブストリームが始まって57分ほど経ったところで壁掛け時計に戻ると、午後4時48分を指しています。つまり、実験が正式に再開されてから1分後で、丁度衝突型加速器が過去最高のエネルギーレベルに達して、科学者が歴史的瞬間を笑顔で迎えているところです:

(出典:2022年7月8日 金曜日 22:59:29 UTCに取得されたFacebookのスクリーンショット)

CERNでの実験が正式に再開される前も後も、ライブ映像とそこに映っている時計は互いに相関しています。タイムシフトもタイムジャンピングもないように見えます。

しかし、科学的に明確にしておくと、アルバート・アインシュタインが20世紀初頭に発表した相対性理論では、タイムトラベルは可能であり、少なくとも不可能ではないとされています。相対性理論では、我々は4次元の連続体(時空)の中に生きており、その中では空間と時間は交換可能であるとされています。

Lead Storiesは以前、CERNでの再開に関わる他の主張を論破しています。

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