【インチキ医療】ジャガイモ湿布が組織の炎症を癒す証拠はありません。
「ジャガイモ湿布」は組織の炎症に効果的な治療法として実証されているのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。ジャガイモには一定の抗酸化作用と抗炎症作用がありますが、Lead Storiesは、ジャガイモ湿布が炎症を治療することが科学的に証明されているという証拠を見つけられませんでした。栄養学の専門家がLead Storiesに確認したところ、じゃがいも湿布について書かれた記事の大半が古く、逸話的なものだということが判明しました。
この主張は、2016年4月2日にYouTubeのロイヤルオーク教会チャンネルで共有された《27.02.2016 - Barbara O'neill - Natural remedies》というタイトルの2時間近い動画に端を発しています。動画の38分25秒のところで、O'Neillはジャガイモ湿布が組織の炎症を治すと主張しています:
このファクトチェックを書いた時点では、記事は以下のようになっていました:
シカゴを拠点とする登録栄養士であり、栄養・食事学アカデミーの広報担当者であるMelissa Prest氏は、どちらにせよ証拠は殆どないことを認めています。「湿布にジャガイモを使用することを支持する研究も支持しない研究も、最近発表されたものではありません」、と彼女は述べています。
この動画の録画は、2023年9月2日にFacebookに投稿されたものです。
ジャガイモには抗酸化作用がありますが、ジャガイモ湿布が炎症やその他の感染症を治療することが科学的に証明されている証拠はありません。
「ジャガイモには、レジスタントスターチ、ビタミンC、食物繊維、アントシアニンといった抗炎症作用のある栄養素が含まれています」と、Prest氏は2023年11月10日に受信した電子メールでLead Storiesに返信をしてくれています。
「一般的に、抗炎症作用の高い食品を摂取することが最も効果的ですが、その食品を直接肌に塗れば、皮膚から極少量吸収することが可能です。これは一般的にほんの僅かな量なので、栄養素を摂取することが最良の選択肢であり、炎症がある時には身体が栄養素を消化、吸収、利用することが可能になります」
この動画で話している女性はBarbara O' Neilという人物で、この2019年9月24日にオーストラリアのニューサウスウェールズ州の医療苦情委員会が発表した公的声明によりますと、「未登録の開業医」であり、「乳児の栄養、癌の原因や治療、抗生物質、予防接種に関して、エビデンスに基づかない、或いは主流医学によって支持されていない、怪しげで危険な健康上の主張をしている」人物だそうです。
湿布とは、新鮮なハーブを皮膚に直接貼ることで、多くは湿らせて砕き、布の上に広げて身体の一部を治療するものです。
一方、炎症とは、身体が免疫システムを活性化させることです。攻撃を受けると、身体は細菌を攻撃したり、傷ついた組織を治したりする炎症細胞を送り出します。クリーブランド・クリニックによりますと、炎症はウイルス、細菌、有毒化学物質を撃退し、傷ついた組織を治すために起こり、その結果、痣が出来たり、腫れたり、赤くなったりします。
「炎症は、病気や怪我を治すための体の自然な反応です。細菌やウイルスなどの異物を攻撃するために、白血球が活性化します。怪我をした部位に痛みや痛み、圧痛を感じたり、その部位が赤くなったり温かくなったりすることもあります。身体が治れば、それも治まります」とPrest氏はLead Storiesに語っています。
慢性的な炎症は、自己免疫疾患や感染症、毒素への暴露など、より深刻な状態を示すこともあります。慢性の炎症は、ジャガイモ湿布ではなく、医師の手によって治療さ れる必要があります。
炎症の治療は、炎症の種類によって異なります。慢性的な炎症に対しては、サプリメントや イブプロフェンといった非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド注射について、医療従事者に相談することを専門家は勧めています。食事、運動、健康的なライフスタイルの選択も炎症の改善に役立ちます。
Prest氏は次のように付け加えています::
ジャガイモには抗酸化作用があることが示されており、いくつかの研究では、ジャガイモの性質が創傷治癒の可能性があることが示されています。しかしながら、ジャガイモ湿布が人間の炎症を効果的に治療することが出来るという具体的な証拠はありませんし、推奨される治療法の代わりに使うべきではありません。
「湿布は何世紀にも渡って使われてきたもので、ハーブや アロエ等の植物から作られた湿布で症状が改善する可能性を示す研究もありますが、ジャガイモ湿布は炎症治療の最良の選択肢ではないでしょう」とPrest氏は付け加えました。
Google Scholarで「ジャガイモ 炎症」というキーワードで検索すると(アーカイブはこちら)、ジャガイモの摂取とある種の抗炎症作用との間に関連性を発見した研究が、in-vitro(実験室内)とin-vivo(生体内)の両方の研究を含めて何十件もヒットしました。
これらの研究の大部分は、人間の健康におけるポテトの役割をより明確にし、理解するためには、更なる研究と対照臨床試験が必要であると結論づけています。
重要なことは、ジャガイモで作った湿布が炎症を効果的に治療出来るというO'Neillの主張を裏付ける証拠はないということです。
Lead Storiesが以前に報じたように、O'Neillは、彼女の誤った情報の拡散がニュージーランドの無登録開業医の行動規範に違反していることが調査によって明らかになったため、2019年にニューサウスウェールズ州医療苦情委員会(HCCC)によって、一切の医療行為を永久に禁止されています。
Lead Storiesは、カイエンペッパーが胃潰瘍を治す、不自然な繊維でできたブラジャーが乳癌の原因になる、ひまし油湿布を腹部に塗ると大腸に効き、下痢や便秘の治療のためにといった、O'Neillによるその他の誤った健康主張を論破してきました。