子宮頸癌末期患者の発生率に関するUCLAの研究は、HPVワクチンの無効性を示すものではありません。

保守的な政治団体America's Frontline Doctorsがツイートした動画は、女性の進行性癌に関するUCLAの研究を強調し、HPVワクチンはHPV関連癌の減少に効果がないという誤った主張をしています。

同団体のTwitterアカウントが10月31日に公開した動画では、「AFLD Doctor」と名乗るPeterson Pierre医師が、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究で子宮頸癌の進行例が増えているため、HPVワクチンが効かないことを示唆していると述べています(こちら)。

「HPV関連癌の数は、ワクチンが男女に広く普及しても減少していない」とPierreは動画で述べています。「もし、我々が信じてきたように、HPVワクチンが癌を減少させないのなら、CDCと保健当局は、ずっと我々に嘘をついていたことになります」

UCLAの研究の主執筆者であるAlexa Andrea Francoeur博士は、彼らの研究で使用したHPVワクチン接種とパパ検診のデータベースは、癌発生率データに使用したデータベースと異なるため、HPVワクチン接種と癌発生率の間に相関関係は描けないとロイターに対して電子メールで語っています(ijgc.bmj.com/content/32/9/1115)。

Francoeur氏によりますと、2022年8月に初めて発表されたこの研究は、ステージ4の子宮頸癌のみを調べたものですが、米国女性の子宮頸癌の発生率は全体として減少しているとのことです。

Francoeur氏らは、2001年から2018年にかけて、進行子宮頸癌(膀胱や直腸に転移した癌)の新規診断の割合を調べました。その結果、この期間中にこれらの進行癌の発生率は年間約1%~3%上昇し、白人女性の0.92/10万人に対して黒人女性は1.55/10万人と全体で最も高かったが、40代前半の白人女性は年間4.5%と最も上昇したことが明らかになりました。

また、黒人女性と比較して、白人女性はガイドラインに沿った子宮頸癌検診を受けていない可能性が2倍高いことも判明し、これが彼らの癌がより遅い段階で発見されている理由の一つかもしれない、と著者らは指摘しています。

Francoeur氏はロイターに対し、彼女の研究グループによる別の最近の研究で、「HPVワクチンが発売された時に接種対象となった若い年齢層では、子宮頸癌の発生率が大幅に低下している」ことが分かったと述べています(こちら)。

また、スウェーデンの160万人以上の少女と女性を対象とした別の研究でも、HPVワクチン接種と子宮頸癌の罹患率の低下が関連していることが分かりました(こちら)。

「子宮頸癌検診とHPVワクチン接種は、子宮頸癌の後期発症を防ぐために不可欠です」とFrancoeur氏は述べています。「白人女性で増加している理由としては、ガイドラインに基づく検診やワクチン接種の割合が低いことが考えられます」

CDCのデータでは、HPVワクチンが利用可能となった時に対象となった若い女性の間で子宮頸癌の発生率が下がり続けていることも示されています(こちら)。米国国立癌研究所の2014年から2018年の報告書によりますと、子宮頸癌は米国全体の女性の癌の中で13番目に多く、その発生率はその間安定していましたが、子宮頸癌による死亡は1%近く減少しています(こちら)。

【評定】誤り

  • 米国女性の進行子宮頸癌率に関するUCLAの研究は、子宮頸癌全体の率の傾向を反映しておらず、著者は、HPVワクチン接種とその研究で分析した末期癌の増加の間に相関関係は認められないと述べています。


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