ソーシャルメディアの投稿に反して、中絶のための薬草レシピは、証明されておらず、危険である可能性があります。

SciCheck Digest

中絶を引き起こすために規制されていないハーブカクテルを飲むことは危険なことがあると、産科医は警告しています。 しかしながら、自己誘発による「流産」のためのレシピは、その中には潜在的に有毒な成分を含むものもあり、最高裁がロー対ウェイド裁判をひっくり返して以来、ネット上で出回っています。

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6月24日に最高裁がロー対ウェイド裁判をひっくり返し、中絶する権利の連邦政府の保護を解体した後、「流産」を引き起こすと称する家庭薬や薬草を調合した投稿がネット上で広まり始めました。

FacebookInstagramTikTok等の主要なプラットフォームで出回っている投稿の多くは、危険性のある成分を用量を明示せずに提供しており、ハーブで中絶を誘発出来るかのような印象を与えています。

あるInstagramの投稿では、ホメオパシーの成分リストを詳細に説明した上で、ウインクの絵文字を添えて、「つまり、他にどうやって不慮の流産を避けるのかってことじゃないかしら?あなたも十分賢いんだから」なんてぬかしてやがります(=_=)。

「安全な薬草による中絶という神話が蔓延しています」と、 女性の健康に関する本を書いている産婦人科医のJen Gunter医師は、この問題を取り上げたSubstackの投稿中で説明しています。 「それは、古代の治療法の魔法の力という信仰に訴え、自然が一番なのは勿論のことだとする2つの誤った考え方の組み合わせです。」

しかし、彼女は、「植物性医薬品で中絶を誘発する安全で効果的な方法は存在しない」と言っています。

調合薬の中には、中絶をもたらすものもあるかもしれませんが、それは、女性の体内の毒の副産物でしかないかもしれません。「多くのハーブの堕胎剤は、文字通り毒物なのですから」と彼女は説明しています。

例えば、最もよく宣伝されている植物の1つが、ヨーロッパからアメリカに持ち込まれたミントの一種であるペニーロイヤルです。インターネット上のしつこい主張と同じように、ここにも真実の一端があります。ペニーロイヤルは、古代ギリシャに遡りますと、歴史的に中絶に関連しています。

しかしながら、国立衛生研究所によりますと、ペニーロイヤルが実際に中絶を引き起こすことが出来るという証拠は十分ではありません。むしろ、NIHの国立医学図書館は、ペニーロイヤルオイルが「深刻な肝臓や腎臓の損傷や神経系の損傷」を引き起こす可能性があるため、摂取することは安全でない可能性が高いとしています。

更にNIHは、「ペニーロイヤルオイルが、子宮を収縮させることによって、中絶を引き起こすことが出来るといういくつかの証拠がありますが、中絶を引き起こすために必要な量は、母体を殺すか、生涯続く腎臓と肝臓の損傷を引き起こす可能性があります。」と述べています。

また、SNSでリストアップされている植物にパセリがありますが、これは無害に聞こえますが、濃縮して摂取すると毒性があり、挿すことが推奨されることもあるそうです。2018年にはパセリを使って妊娠を終わらせようとした結果、敗血症性ショックと感染症でアルゼンチンの女性が死亡したと報じられています

一般的に、医師や健康専門家は、中絶のために検査され、規制された薬を使うことを推奨しています。CDCの最近の報告によりますと、物理的な処置をするのではなく、薬を飲んで行なう薬による中絶は、2016年の早期中絶の約28%を占めました。ミフェプリストンとミソプロストールという2種類の薬を飲んで行うのが一般的で、自宅で行なうことが出来ます。

米国産科婦人科学会フェローのNisha Verma医師は、FactCheck.orgに提供した声明の中で、「人々は、地域組織や医療専門家の支援を得て、何十年にもわたって中絶を自己管理してきました」と述べています。

「私たちは、ミソプロストールのような薬で中絶を安全に自己管理出来ることを確認しています。しかし、一部の人々は、他に選択肢がないと感じた時、或いはソーシャルメディアで集めている情報に基づいて、安全でない中絶方法に走ることもあります」と述べています。

「ソーシャルメディアの投稿は信頼性が低く、時には誤った情報を伝播する可能性があることを理解してもらうことが重要です。誤った情報は、人々に安全でない方法で妊娠を終わらせようとさせ、深刻な身体的被害に遭わせる可能性があるため、有害となり得ます。人々は安全な方法で中絶を自己管理することが出来ますが、安全でない中絶方法についての誤った情報を広めることは非常に危険です」とVerma氏は述べています。

編集部注:FactCheck.orgは、ソーシャルメディア上で共有される誤った情報を否定するためにFacebookと協力している(=国別のアクセス制限の為日本からは見えません)いくつかの組織のうちの1つです。過去の記事はこちらでご覧いただけます。Facebookは私達の編集内容をコントロールすることは出来ません

Sources

Kiely, Eugene and Lori Robertson. “What Happens if Roe v. Wade Is Overturned?” FactCheck.org. Updated 24 Jun 2022.

Gunter, Jen. “Don’t Take Advice from TikTok on Herbal Abortifacients.” Substack. 29 Jun 2022.

Nelson, Sarah. “Persephone’s seeds: Abortifacients and contraceptives in Ancient Greek medicine and their recent scientific appraisal.” 2009.

National Institutes of Health. National Library of Medicine. Pennyroyal. Updated Feb 13 2020.

Ciganda, Carmen and Amalia Laborde. “Herbal infusions used for induced abortion.” Journal of Toxicology: Clinical Toxicology. 5 Dec 2003.

Brennan, David. “Woman Dies After Using Parsley to Induce Miscarriage, First Death Since Argentina Senate Rejected Abortion Bill.” Newsweek. 15 Aug 2018.

Kaiser Family Foundation. “The Availability and Use of Medication Abortion.” 6 Apr 2022.

Jatlaoui, Tara, et al. “Abortion Surveillance — United States, 2016.” Centers for Disease Control and Prevention. Morbidity and Mortality Weekly Report. 29 Nov 2019.

Verma, Nisha. Fellow, American College of Obstetricians and Gynecologists. Statement emailed to FactCheck.org. 1 Jul 2022.

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