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氷河期世代が(省エネで)行く!④
「蕎麦にうるさいヤツはうるさいヤツが多い」というエッセイを書いています。
#RTした人の小説を読みに行く #小説家さんと繋がりたい
— 城西腐 (@josephhvision) February 19, 2025
蕎麦にうるさいやつと至高のせいろと。
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2025年2月20日(木) 晴れ Amazonの配達業者がピンポンダッシュして去った後の残務の話 - 蕎麦にうるさいヤツはめんどくさいヤツが多い - カクヨム https://t.co/B55XaQzqr7 pic.twitter.com/hNBY5WFFKM
週末遊ぶのも大阪に移ってからで良いと、土曜日の夜も21時には女王の教室や野ブタをプロデュース、22時にはエンタの神様、23時からは恋のから騒ぎやナイナイサイズ、スーパーサッカーのフルコースを観終えて床につければ大満足であった。
東急日吉駅から、常駐先の九段下までは1時間半くらいを要したが、毎朝7時くらいに家を出て、武蔵小杉駅で目黒線の各停の始発に乗り換えると、座ったまま永田町まで移動出来、8時半には九段下へ到着する。9時の始業まで30分弱。早朝から空いている駅前の書店で立読みをしていると、ドイツ語やフランス語を学習したくなった。英語をやっておけばよかったものを、通勤しながらフランス語の基礎文法を習得することが出来た。
業務では時折り栃木県のデータセンターへ籠り、UNIXへのソフトウェアインストールなどの初期設定や構築業務に勤しんだが、どれもプライムベンダーのSEが仕上げてくれた手順書通りにコマンドを叩いていれば事足りた。先輩と2人組でそれらのコマンドをTeratermで只管叩いて行くというものであった。
チームのリーダーは寺田さんという年齢にしてはオデコの光った気の良いオジサンだった。データセンターと九段下の拠点でのやり取りのために、チームには3台の業務用携帯電話を備えていた。最初の出張の際に、出発前日にドキュメント類の紙出しや準備を進める中、その携帯電話の電源を入れてみると待ち受け画面は笑顔の寺田さんだった。
「何で待ち受け寺田さんなんすかw」
「このクソ忙しい時に手元が狂うではないか」と、若干イラっとしながら先輩に突っ込むと、先輩が他の2台も持ってきて電源を入れた。待ち受け画面はいずれも別のカットの笑顔の寺田さんだった。こういうユーモアのセンスは嫌いではなかった。
私は、もしかしたらリーダーの名が寺田だから業務で使うフリーソフトも語呂合わせにTeratermを利用しているのではないかと勘繰ってしまった。
ある日、九段下の居室の中でチーム共通で利用している最新のマスターパスワードを、「ど忘れしたのだが何だったか…」と言い出す人がいてザワついた。寺田さんがすかさず「だからみんなもパスワードは『haruka』にすれば良いんですよ~~」と言っていた。寺田さんの娘さんはハルカといった。隣の座席の先輩が「うっせーハゲw」とぼやいた。
半蔵門線の永田町駅のホームから改札に上がるエスカレーターは酷く長い。ある日うしろから男性に声を掛けられて時刻を聞かれた。腕時計に目をやりそれとなく返すと、再度話題を変えて話かけてくるではないか。きっと私のように故郷から都心部へ移り出て来て仕事をしている寂しいサラリーマンなのだろう。何なら友達になっても良いのではないかと電話番号を交換した。ストリートでナンパをしている際にも、似たようなエリアで活動する男性とは連絡先を交換し合うこともあった私は、受ける側でもオープンでフッ軽だった。
22時過ぎに電話が鳴った。何の話かと思えば「新宿2丁目が~~」と言っておりゲイだった。