スパリゾートハワイアンズ

何と横浜からシャトルバスが出ている。
無料で、片道4時間。
横浜市交通局が運行。

交通費がかからないというアドバンテージはものすごく大きい。

2024年、夏。

車の免許を持っていない家族なので、休憩で立ち寄るサービスエリアに興奮する子どもたち。

バスはホテルに到着。

ホテル自体は至って普通の、観光地にある少し年季の入ったホテル。
ハワイ感が無いことに驚いた。

チェックインを済ませて通された部屋も和室。

綺麗だが年季は感じられて、でもお客さんで賑わっている。
まるで大手ホテルチェーンが経営のうまくいかないホテルを買い取ったかのような印象。

部屋着はアロハシャツ。
早速着替えてプールへ走る。


難点は1つ。
動線が難しい。

どこで着替えて、どうやってどこに移動するのか。
濡れたまま入っていいのか良くないのか。
ちょっとわかりにくかった。

計画的に作られた建物ではないような感じが、より居抜き感を感じさせた。

プールやスパは種類豊富で、全てを満喫するには1泊では足りない。
子どもたちが流れるプールに夢中で、何周したか分からない。

確かに楽しい。
楽しいが、ハワイではない。

17時頃から、次第にスライダー等の施設から営業終了していく。

そのタイミングでプールを出て、少し休んで夕食のビュッフェへ向かう。

このビュッフェが凄かった。


ビュッフェは、かなり複雑なバランスの上に成り立っている。
如何に人件費や原価を抑え、顧客満足を上げるか。

最近では目の前でローストビーフをカットしてくれたり、天ぷらを揚げてくれたり、エンターテイメントに人件費をかけるビュッフェも増えてきた。温度管理、鮮度管理の難しい刺身や寿司ももう珍しくない。

ハワイアンズのビュッフェには、この「ローストビーフ」「揚げたての天ぷら」「刺身」「寿司」、ビュッフェの目玉として4番を打てるメニューが全て並んでいた。

でもハワイアンズのビュッフェの4番DHを打っていたのは「生エビ」だったと思う。15センチはあろう生エビが山積み。

海老の原価は年々上がっている。
更に生エビなどは殻を剥かなくてはいけない。手が汚れるので紙おしぼりの消耗も早く、殻などの生ゴミを捨てるのだってタダではない。原価以上にコストがかかる。
その生エビを惜しげもなく山積みに。

ビュッフェには、原価をかけずに品数を確保するためのメニューを置く場合も少なくない。
冷凍食品を解凍しただけのようなたこ焼きなど、目にしたことがあるのではないだろうか。

だがハワイアンズのビュッフェには、そんな人数合わせのメンバーはいなかった。

もちろん全員が4番な訳では無いが、子供が喜ぶ唐揚げやソーセージから、サラダコーナーのポテトサラダたまごサラダまで、自分たちの仕事をする1番から9番、先発中継ぎクローザーまでが揃っていた。

過去約10年、ホテルのビュッフェの仕入れに関わってきて、色々な業務用食材を見てきたが、私の知る限り、解凍するだけ、パックを開封するだけで提供されている物が極力少ないビュッフェだったのではないだろうか。

私が今まで経験した中で、圧倒的トップに君臨するビュッフェだった。

そしてここでも、ハワイ感は無い。


食べ終わるとまたプールへ行く。
今度はハワイアンショーを観るために。

プールサイドのステージで、ファイヤーダンスとフラダンス。

驚かされたのは、人数と生演奏。


最近ではディズニーシーのビッグバンドビートも生演奏ではなくなり、魅力が半減したとがっかりしていたが、ハワイアンズは生歌生演奏。

そしてステージを埋め尽くすほどのダンサー。

1日に2回程度のショーのために、こんなにもパフォーマーを雇用するだろうか。

推測でしかないが、プールのその日の遅番シフトの従業員が、営業時間を終えてステージに上がっているのではないだろうか。

ショー中盤では、子供に限り希望すればステージに上がって一緒にフラダンスを踊ることができる。
人数に制限がなく、それこそステージを埋め尽くすほど子供が集まる。

やはりこれ。
受け取るだけでなく参加することで記憶に残る。

体験してから観る後半のダンスは少し観方も変わる。

プールで疲れた子どもたちの体力を考えて、途中で抜けて部屋に帰ろうと考えていたが、結局子どもは最後まで観たいと。

それほどに力が注がれたショーだった。


日光には徳川の歴史があって、それに基づいて江戸ワンダーランドがある。
だがハワイアンズは何も縁がない場所にハワイを創った。

随所に意地や熱意を感じる体験。
やっぱり人を感動させるのは人だ。

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