ヘアモード誌上コンテスト【2月号_審査結果】テーマ/顔周りをマッシュラインにしたヘアデザイン
若手ヘアデザイナーの育成とスキルアップを目指し、厳しい視点での評価を行なっている「ヘアモード誌上コンテスト」。時代性、テーマ性、デザイン構成、モデルへの似合わせなど、投稿フォト作品をヘアモード編集部がさまざまな視点から厳正に審査。
自分の基礎力を見つめ直したい、 力を試したいという方は、ぜひ挑戦を。
【今月の課題】顔周りをマッシュラインにしたヘアデザイン(ヘアモード2021年2月号)
【総評】ベーシックなカットテクニックと似合わせ力が上位と下位の差に
今回は出題文に記載したように、レトロの再現ではなく、時代性が感じられるヘアデザインを求めていました。ヘアカラーの使い方や、面を強調するだけではない髪の動かし方、隙間のあるバングなど、今っぽさを表現しようとする意識が随所に感じられる作品が多く、見応えがありました。
マッシュのフォルムについては、上位の作品は顔周りのラウンド具合に工夫が見られました。しかし、下位の作品に関しては、マッシュという言葉通りつくられているものも多く、レトロな印象を脱していないものや、反対に、マッシュラインが感じられないものが多かったです。印象の強いマッシュラインをモデルそれぞれに似合わせるには、マッシュの「山」をどこに設定するか、幅や奥行きをどのくらいに設定するのかを、事前に構成立てる必要があります。特に、応募の多かったマッシュウルフは、厚めのマッシュバングにスリムなバックという相反する構成です。そのバランスを取るためには、初めから計画的につくらなければデザインは成り立ちません。
いつも同じようにマッシュラインを切っているのか、お客さまごとにオーダーメイドの表現をできているかが上位と下位の分かれ目となりました。今後のサロンワークでも改めて意識していただくことで、モデルへの似合わせ力も一層パワーアップするはずです。
ヘアモード編集部 小林真紀、有本 彩、山田 翼
<佳作1位>
bassy nv7(東京都目黒区)
広島美容専門学校卒(美容歴12年)
抜け感のあるマッシュラインや、アシンメトリーのバランス感、センターに配したグリーンのインナーカラーすべてがオシャレにまとまっていますね。顔周りは素晴らしかったですが、バックが物足りない印象でした。(小林)
「マッシュとはこうあらねばならぬ」という固定観念を覆す、かっこいい作品でした。アシンメトリーなマッシュラインが斬新で、程よいグリーンカラーのアクセントとイメージがマッチしていました。(山田)
顔周りはもちろん、その他の部分も素晴らしい! 表面とマッシュラインを一部ディスコネしてラフな軽さを出している点やベースをレイヤーでカットした点など、重軽のバランスが非常に巧妙です。(有本)
<佳作2位>
kimu nv7(東京都目黒区)
札幌ビューティ・メイク専門学校卒(美容歴15年)
いい意味での野暮ったさがオシャレに効いているマッシュウルフです。顔周りのレイヤー、ハイライトの入れ方の工夫によって、無理なく軽やかな印象にもつながっています。モデルにもよく似合っていました。(小林)
マッシュウルフを限界まで「ウルフ側」に寄せたアプローチが新鮮でした。明るい、まだらなヘアカラーもおしゃれですね。スタイリングは、ややラフ過ぎというか、もう少し髪自体を綺麗に見せてくれたほうが好きです。(山田)
個人的には、応募作の中で最もあか抜けたヘアデザインだと思いました。マッシュ、ウルフ、ハイライト、緩い毛先のカールが調和しています。ただしフォト作品として見ると、細部の美しさがもう一歩。(有本)
<佳作3位>
kuru nv7(東京都目黒区)
北海道理容美容専門学校卒(美容歴19年)
マッシュラインを直線的に見せつつ、モデルの顔立ちに上手に似合わせています。正面はとても斬新でサイバー感のある雰囲気に仕上がっていますが、両サイドの見せ方にもうひと工夫欲しかったです。(小林)
強めのレイヤー感と、コントラストの強い色の組み合わせが、マッシュを新しく見せています。正面から見たときのかたちが秀逸! ……なのですが、その分サイドのバランスは、色・かたちともに再考してもいいかも。(山田)
マッシュラインの頂点をやや左側にずらし、アシメにしているのが新しい! また、前髪内側を厚めに取って暗く染め、表面のハイトーン部分を束で動かしてマッシュバングに軽さを演出する技も面白いです。(有本)
<佳作4位>
★★ 坂本朋広 VISAGE(千葉県市川市)
ハリウッド美容専門学校卒(美容歴16年)
美しくカットされたマッシュバングに赤のポイントカラーがモデルのクールさを引き立てていました。襟足を外ハネにしたり、顔周りにフリンジを入れたりと工夫を感じましたがレトロな印象が強いです。(小林)
マッシュのラインとはっきりしたフォルムをしっかり見せた、王道のデザインだと感じました。非常にきれいにつくられていますが、時代性、ということを考えると、もう1 歩、と思いました。(山田)
テーマがていねいに表現されていますね。赤のハイライトも主役のマッシュバングを引き立てています。ヘアだけ見るとかわいらしい印象があり、クールなモデルへの似合わせ方に疑問を感じました。(有本)
<佳作5位>
中川まどか SHISEIDO(東京都港区)
高津理容美容専門学校卒(美容歴11年)
数少ないウエービーヘアでのマッシュへの挑戦でしたね。とてもオシャレな作品でしたが、毛束をほぐさない分、毛先の表情や、アウトラインの毛束の見せ方はもっとていねいにつくる必要がありそうです。(小林)
クリクリのカールが全体について、面白いアプローチですね! 他の応募作にはないキャラクターが表現されていると思います。スタイリングが難しかったのでしょうか、トップのつぶれた印象などが気になりました。(山田)
ライン感をあえて排除し、ハードなカールを配すチャレンジに拍手! レイヤーカットされたスタイルへのこのアプローチは新鮮で、オシャレだと感じました。ただ、アイロンワークがやや雑だと思います。(有本)
<準佳作>
伏谷拓真 資生堂美容室(東京都千代田区)
資生堂美容技術専門学校卒(美容歴11年)
目元ギリギリのマッシュバングで、モデルの瞳をより印象的に仕上げています。シンプルな分、スタイリングの雑さ、サイドからバックへの不自然さが目立ってしまったようです。(小林)
松井 怜 SHISEIDO(東京都港区)
ヴェールルージュ美容専門学校卒(美容歴12年)
内側と表面のヘアカラーのコントラストや、レイヤーベースの構成などアプローチ自体は素晴らしいのですが、オーバーが重い! モデルの骨格にもフィットしていないようです。(有本)
★吉川達朗 ANNABEL(京都府京都市)
関西美容専門学校卒(美容歴15年)
マッシュのシルエットと、裾周りのライン感を組み合わせたのは斬新で面白かったのですが、その2つの要素が調和していたかは疑問でした。右サイドのバランスも再考の余地あり。(山田)
佐々木麻衣 佐々木美容院(岩手県花巻市)
盛岡ヘアメイク専門学校卒(美容歴16年)
ワイドに切り込んだマッシュバングの大胆さと裾のワッフルアイロンのウエーブ感など、工夫が見られました。ただ全体としては今っぽさに欠ける印象でした。(小林)
尾花佑輔 資生堂美容室(東京都中央区)
早稲田美容専門学校卒(美容歴12年)
ヘアカラーやカットベースのつくり方はステキですが、肝心のバングがウイッグのように、のっぺりと重いのが気になりました。ここが解消できていれば、違う評価だったと思います。(有本)
佐藤はづき VISAGE(千葉県市川市)
東京ベルエポック美容専門学校卒(美容歴5年)
長めのレングス設定が個性的。マッシュラインに切ったかどうか分からないくらいに動いており、諸々の判断に迷いました。スタイリングはもう少し丁寧なほうが良いと思います。(山田)
小市匡也 VISAGE(千葉県市川市)
早稲田美容専門学校卒(美容歴14年)
ベースは上手に切られたマッシュショートなのですが、モデルに似合ったアイロンワークができておらず、雑な仕上がりに見えて残念です。スタイリングに再考の余地あり。(小林)
木多成明 Atelier JD PARIS(東京都大田区)
専門学校岡山ビューティモード卒(美容歴8年)
表面のハイトーンカラーとカットベースが相まって「キノコ」っぽさはあるのですが、今回求めていたのは顔周りを包み込む前上がりの顔周りなので、それが感じられませんでした。(有本)
澤田純希 VISAGE(千葉県柏市)
国際理容美容専門学校卒(美容歴14年)
くびれとコンパクトなフォルム、ヘアカラーの組み合わせが大変かわいらしいスタイルです。キノコ調のシルエットではあるものの、マッシュなのかどうか微妙な線でした。(山田)
室 晶子 資生堂美容室(東京都中央区)
資生堂美容技術専門学校卒(美容歴3年)
ヘアカラーの工夫など感じましたが、内側をストレート、表面をウエーブという構成に強い違和感を持ちました。テーマが主役になっていないヘアデザインとなっていました。(小林)
【2021年5月号のテーマ】ツインテール(応募締切2月16日(火)必着)
髪を両サイド2つに分け、それぞれひと束にまとめたヘアデザインです。
ツインテールは子ども向きのデザインで、
幼く、かわいらしい雰囲気を表現するスタイルですが、
今回は大人にも似合い、時代性に合った
オシャレ感のあるツインテールを表現してみてください。
2束にまとめられていれば、レングスや束ねる高さ、位置、
バングの有無は自由とします。
当コンテストで初出題のテーマとなりますが、
バランス感覚や表現力を発揮し、ぜひトライしてみてください。
誌上コンテストへの応募要項と応募方法
■応募資格 美容師免許を取得した方。
■システム
ヘアモード編集部による厳正な審査の結果、お送りいただいた作品のうち優秀と認められたものは、誌面にて寸評とともに掲載する。
12カ月を通して、月間賞を3回獲得された方は、年間最優秀賞受賞者として表彰する。なお、各月間賞の年間賞に対する有効期限は1年間。たとえば、2021年2月号で獲得した月間賞は、2022年1月号まで有効。
※応募者の名前の横についている★マークは、その方の月間賞獲得回数
※新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、既に月間賞を受賞している方の★の有効期限を2カ月延長します
■特典
年間最優秀賞受賞者は、新人ヘアデザイナーとして企画「THE DEBUT!」をはじめ、「ヘアモード」誌での活躍の場が優先的に設けられる。
■応募方法
1.モデルは女性に限る。
2.作品はバストから上を写し、服は写さない。ピアス、イヤリングなどの装飾品は使用不可。
3.写真はカラーに限る。また、背景は白か灰色で撮影する。
4.1作品につき、3枚以上。正面と左、右など、アングルに明確な差をつけ、髪がしっかり見えるものを。
◎紙焼きの場合
作品をキャビネットサイズ(2Lサイズ)にプリントし、①テーマ名 ②氏名・サロン名 ③住所 ④電話番号 ⑤卒業学校名(正式名称を明記)⑥美容歴(現在)を記入した別紙とともに郵送。
【宛先】〒107-0062 東京都港区南青山5-15-9-201
(株)女性モード社 ヘアモード誌上コンテスト係
◎データの場合
「紙焼きの場合」と同様の①~⑥を明記の上、作品データ(タテ2200ピクセル以上×ヨコ1800ピクセル以上)をzipファイルにまとめてメールに添付し送付。件名は「HM1 誌上コンテスト_(テーマ名)/作品送付/氏名(サロン名)」とする。
【宛先】mezase-gekkansyo@j-mode.co.jp