月額約20万円で銀座に店が持てる! 複合型シェアサロン「サロンビレッジ」で実現するビューティシャンの理想空間【美容界ニュースORIGIN】
美容サロンの経営は、時代背景と働く美容師のマインドによって、形態が大きく変化することがある。業務提携サロン、シェアサロンの台頭も、美容サロン経営がビジネスとして成熟していく上での、一つの過程と言えるのだろう。
当初は単純な面貸しの色合いが濃く、利益追求型のドライな経営形態が特徴的であったが、いつの頃からか、ビジネスライクに偏らない形式で、新たな美容師の働き方を模索するケースも目立ち始め、昨今では、サロン経営の一分野として、システムも多様化傾向にある。
売上高は100%還元のサブスク式料金プラン
2021年2月11日、東京・銀座にオープンした複合型プライベートサロン「サロンビレッジ」も、流行りのサブスクリプションの面貸しシステムを採用し、美容師やネイリスト、エステティシャンなどの独立意欲を刺激する。
「美容業界は元来、美容師が独立して報われるのが前提の業界でしたが、自分も26歳の時に独立して約10年、良い時期は多少あったものの、美容室25万軒超というオーバーストアという中で、集客の悩みや収益化の難しさ、毎月の固定費や経費の支払いに追われるなど課題が多く、“報われた”という実感を得ることが難しくなっています」
と語るのは「サロンビレッジ」を運営する(株)WBPを今年1月22日に設立した山本 豊代表。以前から同じ銀座エリアで、業務委託サロンを運営している。そこで働く美容師の多くは、お金を貯めて数年後には独立したい、といった目標を口にする。
山本代表は、独立を夢見る美容師の背中をもっと後押しできるよう、自身のサロン勤務時代、そして独立後のサロン経営で得た経験から、シェアサロンの理想の形を模索して「サロンビレッジ」をオープン。「美容師になったことの幸福感を、より多く感じてほしい」という思いをその新たな器に込めた。
個室内は技術者が仕事のしやすいよう自由にコーディネイトできる。
東京メトロ「東銀座」にほど近いビルの地下1階。その中にサロンスペースとなる14の個室を設置。各個室は吹き抜けになっており、共有のラウンジもゆったりとしたスペースを取っているため、地下空間の閉塞感はない。
その各個室を月額で、美容師の場合は25万800円~、エステティシャン・アイリストには21万7,800円~、ネイル専用のシェアブースは6万6,000円というプランで設定。シザーズやコームの個人的な商売道具さえあれば、即座に自身の店舗(空間)として営業を開始できる。
ゆったりとしたラウンジスペースではドリンクの無料サービスも利用可能。
「売上は100%自身の収入で、歩合による利益の徴収はありません。サブスクリプションで一定の金額を払えば、努力次第でいくらでも収入を高めることが可能です」
個室型のシェアサロンとしたのは、山本代表が美容師として経験した中で行き着いた一つの結論だ。美容師が自分の仕事に集中するには、共用スペースは極力つくらない方がいい。
「あまり気にしない人も中にはいるのですが、床に落ちた髪の毛やシンクの汚れに我慢できなかったり、また、シャンプーブースで隣の会話が気になったり、通常のサロンでは、スタッフの数が多いほど、その環境によって自分のペースを乱されやすくなります。美容師として、目の前のお客さまをハッピーにすることに全力を注ぎたい。そう考える美容師は多いと思います」
自身は正にスタッフ時代、サロンスペースにおけるちょっとした乱れが気になり、集中力を欠くことがあったという山本代表。その経験から「サロンビレッジ」では、シンクを各個室に儲け、シャンプー台も移動式を採用するなど、各個室でお客さまへの施術が完結できることにこだわった。
お客さまと向き合った仕事がダイレクトな報酬に
個室タイプのシェアサロンは、美容師のみならず顧客にとってもメリットの多いスタイルであると、コロナ禍において特に実感したという。
「最初の緊急事態宣言が出た頃は、自店のお客さまがかなり減ってしまうのではないかと思っていました。宣言が明けてフリー客は減少しましたが、きちんと指名客の取れているスタッフは、確実に戻ってきてくれています。単に髪が伸びたから、きれいになりたいからだけではなく、担当の美容師に“会いに行く”という行為がお客さまにとって重要なことなのだと気付きました。
それを考えると、顧客が安心して施術を受けられる環境、こんな状況下で来てくれているお客さまのために、より集中して施術できる空間として、やはり個室タイプのサロンは時代の要求に合致していると思います」
オープン間もない現在、14ある個室はほぼ埋まった状態。利用するフリーランサーは「自分の理想に近い空間で仕事できる最高の環境」と手放しで絶賛する。山本代表も「利用者の方々それぞれ、個性ある空間づくりでしっかり集客されいます」とサロンへの高評価を喜ぶ。
「最高の仕事場です」と笑顔で答える個室オーナー。
「美容業界においてシェアサロンは、教育された美容師を刈り取っているというイメージを持たれがちですが、自分としては、独立を目指す美容師が報われるための一つの選択肢と考えています。
ですから当サロンを通して、教育というと語弊があるのですが、美容師がしっかり自立できるようアドバイスやサポートをすることで、そこからまた新たな経営へのヒントが見つかる可能性もあると思います」
自由な空間の提供。だからと言って売上が下がったら「ハイ、サヨナラ」ではなく、集客のケアなど、経営のフォローもしていきたいと山本代表。美容師がリスクなしで独立でき、お客さまと向き合った仕事がダイレクトに報酬に反映される、そんな仕組みづくりを、さらに追求していくという。
「サロンビレッジ」を運営する(株)WBPの山本 豊代表(写真右)。写真左の取締役ブランドマネージャーの重田愛衣さんは広報を担当する他、ウエブデザイナーの側面からビレッジ利用者の集客アドバイスを行う。